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【新エネルギー】

投資額1000万元超のメタン発酵ガス発電プロジェクトが牛糞のため休眠状態に (13/05/24)
2013/5/31
中国【新エネルギー】

 投資額1,500万元のハイテクプロジェクトが結局、牛糞のために休眠を余儀なくされている。これは黒龍江省杜爾伯特モンゴル族自治県で発生した怪事である。

 2011年、牛糞を利用してメタン発酵ガスを生産して発電を行うとともにバイオガス残留物により肥料を生産するという総合システムが杜爾伯特県で試験運営を開始した。このプロジェクトは黒龍江省科学院が1,500万元を出資したが、試験運営から1年、設備は休眠状態にある。原因は牛糞がないこと。この事業を誘致した杜爾伯特県は牛の飼育で有名である。

 このシステムは黒龍江省科学院がカナダのアルバータ研究所と共同で開発した。システム全体はクローズドループ方式であり、運転始動時を除いて外部からの電力供給を要しない。年間1万トンの牛糞を処理し、7.5万m3のメタン発酵ガスを生産することが出来る。二酸化炭素の排出を5,000トン削減し、バイオ肥料2,000トンを生産し、120万kWの発電を行うことが可能。発電した電力は約8,000世帯の家庭の1ヵ月に使用に供することが出来る。

 黒龍江省科学院科学インキュベーションセンターの徐暁秋氏によると、このプロジェクトの立地先を選定する際に、多くの地方が誘致に名乗りを上げたが、「省科学院は最終的に杜爾伯特県を選定した。同県は牛飼育産業の面で規模を備えていたことが大きな理由であった」。

 2010年の杜爾伯特県の牛飼育数は16.5万頭であったが、2011年には18万頭を突破した。県全体の牛から発生する牛糞によってメタン発酵ガスを十分供給できるはずであった。

 徐暁秋氏によると、省科学院と杜爾伯特県政府が合意文書に調印した際に、県政府が牛糞の収集と供給を行うことになった。しかし、この約束は未だに実行されていない。

 1年間の試験運営期間中、省科学院の職員が研究費を使って牛飼育農家から牛糞を購入していた。しかし、限られた経費では試験運営中の牛糞需要をかろうじて賄えたものの、長期的には不可能である。その上、研究員が牛糞を集めるため奔走していては通常の業務に影響が出ていた。杜爾伯特県政府はなぜ当時このプロジェクトを誘致したのか。県は合意文書の中で県政府が責任をもって牛糞を収集するとしていたが、いかなる態度であるのか。本紙記者が5月17日、杜爾伯特県委員会宣伝部に電話して取材を申し込んだところ、担当職員は、宣伝部は先に状況を調査した上でどの部局の責務であるか検討すると回答した。

(北極星省エネ環保網 5月24日)