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【石油・天然ガス】

シェールガス探鉱権落札企業の一部に撤退の兆し (13/05/28)
2013/6/3
中国【石油・天然ガス】

 《経済参考報》記者が掴んだ情報によると、国土資源部第2期シェールガス探鉱権落札企業は目下落札した鉱区の探査実施計画案を策定中であり、基本的に探査実施段階には未だ進んでいないが、一部企業には撤退や鉱区の譲渡、国内外のパートナーの引き入れなどの兆しが生じている。

 シェールガス探査レベルが低いこと、鉱区の資源状況が不透明であること、開発コストが高いこと、生産量が小さくしかも不安定であること、支援政策が不十分であることなどは中国のシェールガス開発の阻害要因であり、投資リスクは極めて高いものになる。そのことは、中国石油化工(SINOPEC)や中国石油天然ガス(CNPC)の態度にも表れている。そうした状況では、下半期の実施が喧伝されている第3回シェールガス探鉱権公開入札の進展に影響する恐れもある。

 2012年末に国土資源部が第2回シェールガス探鉱権公開入札を実施した。入札対象となった20ヵ所の鉱区の中で資源条件に最も優れる重慶の黔江鉱区と酉陽東鉱区は多くの企業が争い、最終的に重慶市能源投資集団及び当時その傘下にあった重慶鉱産公司が落札した。重慶市能源投資集団は3年内に黔江鉱区へ17.34億元投入しなければならない。落札価格はSINOPECの入札価格の10倍に上った。

 しかし、あれから半年も経たないうちに、重慶市能源投資集団は重慶鉱産公司の株式の65%を譲渡する形で、酉陽東鉱区を華能集団に譲渡した。今では華能集団と中聯煤層気有限責任公司による黔江鉱区の協力をめぐる交渉が最終段階に入りつつある。

 「シェールガス開発は企業の投資が巨大であり、基本的に赤字経営になる。重慶能源は探査開発の巨大な投資リスクに迫られて、鉱区を譲渡し、リスクを引き下げることにした」と、シェールガス開発現状の調査研究に参加している関係政府部門の幹部が記者に告げた。

 同氏が明らかにしたこところでは、第2回シェールガス探鉱権落札企業の大部分は目下鉱区の探査実施計画案を策定中であり、基本的には未だに探査段階に進んでいない。

 第2回シェールガス入札の執行に関わった専門家は「殆どの企業は落札するため最低価格の数倍もの価格で入札したが、落札はしたものの開発する能力がない。鉱区の条件が良くないこともあって、共同開発を希望する企業もなく、多くは据え置きか様子見中である。例えば、貴州鳳岡鉱区を落札した民営企業の北京泰坦通源天然気資源技術有限公司がそうだ」と述べた。

 延長石油集団総地質師の王香増氏によると、一部の上場企業は自身ではシェールガス探査開発技術を持たず、鉱区落札後に譲渡や外資導入を図ろうとしているが、これでは真の実力を有する企業がシェールガス市場に進出する上で影響を及ぼす。

 しかしながら、前出の国土資源部関係者は、精力的に開発してきた炭層ガスが10数年かけてようやく年産20億m3に過ぎないことを挙げて、シェールガスの探査開発は炭層ガスよりもはるかに困難であり、投資の問題だけでなく技術など様々な要素にわたるため、企業に探査開発の進捗を督促するとともに、理解と支援が得られるようにしなければならないと指摘する。同氏は、企業に対する支援について国土資源部が地方政府と折衝を進めていることを明らかにし、企業が土地や水利用の面で支援を受けられるようにして、シェールガス探査開発に対して前向きであり続けるようにしたいとの希望を表明した。

 (経済参考報 5月28日)