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中国
【石炭】

低品位炭輸入禁止をめぐって中国のエネルギー業界に溝 (03/06/13)
2013/6/23
中国【石炭】

 中国国家能源局は5月、低品位炭(カロリーの低い石炭)の輸入禁止を提議した。この提議が実施されると、中国が輸入する石炭の約5分の1(毎年5,000万トン)が禁止の憂き目に遭う。今のところ未だこの提議は採用されていないが、中国の発電企業(中国の電力の70%は石炭火力発電)はコスト上昇を懸念して、この提議への反対を説いて回っている。発電企業は、石炭企業を助けるべきではなく、マーケットが石炭企業にコスト抑制と生産性向上を強いるべきだと明瞭に主張する。

 インドネシアなど発電用石炭輸出大国が最も大きな潜在的負け組になる。アナリストの試算によると、能源局の提議はインドネシアの石炭輸出の3分の1が停止されることを意味する。一方、輸入禁止を支持するのは中国各地に数百万人の炭鉱労働者を雇用する石炭企業である。これら企業は労働者に賃金を支払うことが出来なくなると警告する。

 今回の争論は中国エネルギー産業が直面する政策的ジレンマを際立たせている。エネルギー産業は国内経済の減速に対応することが難しく、電力事業は深刻な打撃を受けている。昨年の全国電力需要の伸び率はわずか5.5%であった。

 国際石炭価格は2011年末の水準から3分の1下がったが、中国の需要の伸び率低下はその主要要因の一つであり、中国の炭鉱企業に極めて大きな問題をもたらしている。これら企業は世界の石炭生産量の半分近くを占め、しかも世界で最もコストが高い炭鉱である。中国の古くからの石炭企業数社は悲惨な赤字状態にあり、破産の危機に瀕している。

 炭鉱企業は生き残りのためには輸入制限こそが不可欠の措置になると主張する。「老朽炭鉱は多数の従業員を抱えており、もし長期的に赤字になれば社会の安定にも影響する」と従業員の一人は言う。それ以外にも、中国国内の大気汚染がますます憂慮されるようになり、石炭消費を減らす政策論議が再燃している。

 Sanford C. Bernstein & Coの在香港コモディティアナリストであるMichael Parker氏は「全体的に低品位炭に反対する勢力があり、そのため一部石炭企業のマーケットは縮小しており、二度と元気を取り戻すことはあり得ない」と指摘する。
 
 (金融時報 6月13日)