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中国
【省エネ・環境】

大気汚染の影響で華北住民の平均寿命は5年半短縮 (13/07/09)
2013/7/18
中国【省エネ・環境】

 中国の大気汚染のため、北方住民の平均寿命が5年半短くなるとともに、多くの人が肺ガン、心臓病や脳卒中を患っているという驚嘆すべき研究結果が発表された。

 この研究結果はマサチューセッツ工科大学、清華大学、北京大学及びヘブライ大学の教授が中国の過去数十年の汚染データを研究した上で導き出したもの。同研究は、1990年代にはすでに中国北方の大気汚染によって25億年分の寿命が失われたと指摘する。

 研究に参加した清華大学の経済学教授Li Hongbin氏は次のように述べた。

 長期的な大気汚染が人類の健康に及ぼす影響についてデータを取ったのは今回が初めてである。これらのデータは、大気汚染が寿命に及ぼす影響を反映しているだけでなく、大気汚染が将来もたらす疾病も反映している。今回のデータから、大気汚染によって人類が寿命という貴重な代償を払っていることが明らかになった。政府は経済成長を犠牲にしてでも、汚染管理への投資を増やして問題解決に当たるべきである。また、Li Hongbin氏は、北方の大気汚染が住民の寿命を下げたことは、北方の労働力の8分の1を減らしたに等しいとの試算を示した。

 過去30年、中国経済は急速な成長を示す一方で、日増しに深刻化する大気、水及び土壌の汚染をももたらした。環境汚染は憂慮すべき健康問題として、徐々に社会の不安定要因の一つになりつつある。こうした状況に直面して、中国政府は環境面の法規を引き締めているが、こうした作業が中国の環境問題を未だに好転させていないのが現状である。

 今回の研究は淮河以北と淮河以南の汚染状況を比較した上で、淮河以北の汚染はさらに深刻であるとし、その理由として、北方では冬季に暖房用石炭が無料で配給されることを挙げている。

 また、1981〜2000年の汚染データと1991〜2000年の健康データを研究することにより、大気1m3中の粒子物が100マイクログラム増える毎にヒトの寿命が3年縮まることを発見した。淮河以北と淮河以南を比べると、淮河以北の大気1m3中に含まれる粒子物は以南に比べ約185マイクログラム多い。

 今回の研究に参加したマサチューセッツ工科大学のMichael Greenstone教授は次のように述べた。

 我々は淮河以北の平均寿命が5年半短いことを発見した。この研究は真実の中国汚染データと中国住民の予想寿命のデータをもとにしたものであり、単なる推測ではない。

 中国の汚染に起因する健康面の代償に関して、これまでの研究は米国の研究をもとに推測したものであるが、米国の汚染水準は全体的にはるかに低い。

 (中国経済網 7月9日)