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【石炭】

SNG事業の許認可が再開 事業の経済性は石炭価格次第 (13/09/18)
2013/9/26
中国【石炭】

 これまで厳重に統制されてきたSNG(石炭系代替天然ガス)事業は、大気汚染防止「国十条」(10項目の防止措置)によってその扉が開かれることになった。長年の実証と実験を経て、国務院はSNG発展計画を策定し、その工業化と大規模化を加速させることになる。

 しかしながら、最も厳格な環境保護要件を満たし、水資源供給を保証することがSNG事業の前提になる。これまで発展改革委員会は、SNG等の石炭化学工業の生産能力過剰を防止するため、多数の文書を示達して、石炭化学工業の許認可権を中央政府に回収するともに、厳格な事業参入制度を設定していた。

 天然ガス産業の専門家によると、「現在、中央政府部門は中諮工程公司に関係計画案の作成を委託している。資源地区がSNG事業を積極的に進める中で、中国海洋石油(CNOOC)、中国石油化工(SINOPEC)や中国電力投資集団なども中央企業も前向きに参加することになれば、SNGの発展スピードもアップするに違いない」とのこと。

 最近、内蒙古や新疆などのSNGプロジェクト多数が発展改革委員会から承認されており、今後の工業化、大規模化の地ならしが進んでいる。これは現地の資源型経済を転換する方針とも一致している。

 しかしながら、業界内で最も懸念されていることは、環境保護問題をクリアできるかどうかということである。特に廃水や石炭残渣の処理問題、水資源の保護問題である。その次に天然ガス対外輸送パイプラインの配置や経済性の問題もある。

 スモッグとの苦闘において、天然ガスの戦略的地位はますます重要になっている。一方、低迷する石炭市況はSNGの発展にチャンスをもたらしている。

 亜化諮詢の夏磊総経理(社長)は、「国が石炭の直接燃焼を厳格に規制することはSNGの発展にとって有利に働く。経済性の面から比較すると、SNGは最良の事業ではないが、中国の天然ガス市場は膨大であり、企業は石炭化学工業への投資によって収益が期待出来る」と指摘する。

 現在、中国のSNGの主力企業は、神華、CNOOC、華能、華電、大唐、国電、中電投など大手のエネルギー中央企業である。

 不完全な統計ながら、すでに承認を得て準備作業を展開している主なSNG事業には、SINOPECの准東80億m3プロジェクト、中電投の新疆霍城60億m3プロジェクト、山東省新●工業のイリ40億m3プロジェクト、国電の興安盟40億m3プロジェクト、CNOOCの山西省大同40億m3プロジェクト、内蒙古新能源の40億m3プロジェクトなどがある。

 また、最近、内蒙古アラシャン盟と中国国儲能源化工集団が40億m3のSNGプロジェクトで合意文書に調印し、包頭市土右旗政府と中国国能新興能源集団も40億m3のSNGプロジェクトで合意した。
 SNGは資金集約型・エネルギー集約型産業である。概算では、年産40億m3のSNG事業に必要な投資額は200〜300億元、SNG1000 m3当たりの石炭消費は3トン前後、水消費は10トン前後になる。

 国務院は、SNGの発展に当たっては、最も厳格な環境保護要件を満たし、水資源の供給を確保することを前提にしなければならないと強調している。

 新奥能源化工集団の趙義峰CEOは「中国で石炭資源の豊かな地区は水資源が欠乏している地区でもある。水資源の消費と環境汚染はSNG等の産業を制約するファクターになる。国は、独自知財権と高いエネルギー変換率を備え、国務院のエネルギー消費基準に適合する事業の大きな発展を支援する」と言う。統計によると、原料となる石炭がSNGのコストの40%以上を占め、石炭価格が高いか低いかが石炭化学工業の収益を左右する。現時点で中国国内の石炭価格は前年同期に比べトン当たり約100元下がっている。一方、発展改革委員会が天然ガス価格を引き上げることになれば、SNGの経済性も高まることになる。

 石炭科学研究総院北京石炭化工研究分院の陳亜飛副院長の試算によると、原料の石炭価格をトン当たり500元として試算すると、SNGの原料コストは2.15元になり、トン当たり400元として試算すると、コストは1.72元になる。さらに、トン当たり300元では、コストは1.29元、200元では0.86元になる。陳亜飛副院長は、石炭価格(5500kcal/kg)がトン当たり300元以下の場合、石炭化学工業は然るべき収益を上げることが出来る。また、天然ガス価格と石油価格の比較価格が合理的な範囲にある場合、SNGの収益が期待出来る。

 (21世紀経済報道 9月18日)

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