「政府は目下バイオディーゼルのB5国家基準の起草に当たっており、来年正式に公布される。これは真の意味での市場参入基準になる」と中国石化科学研究院燃料油産品及添加剤研究室主任の張永光氏は言う。同氏はB5国家基準の起草担当者の1人である。同氏に中国のバイオディーゼルの現状について聞いた。 今年5月、中国初のバイオディーゼル関連国家基準であるバイオディーゼルB100国家基準が打ち出された。B100とは100%のバイオディーゼルであり、一般にはそのまま使用しない。B5はバイオディーゼルと一般の軽油を5:95の比率で混合したものであり、自動車に直接使用できる石油製品である。 今回、B5国家基準が打ち出されたことは、バイオディーゼルが国の推進の下に石油製品小売系統に正式に入ることを意味している。 バイオディーゼル分野には、筆頭メーカーである古杉集団、エタノールガソリンですでに多くのシェアを占める中粮集団だけでなく、国有石油3大メジャーのCNPC、SINOPEC、CNOOCも参入している。また、国有企業の安徽国風集団もこのほど中国最大となる年産60万トンのバイオディーゼルプラントを完成させた。 しかし、バイオディーゼル発展を制約する最大のネックは原料にある。中国のバイオディーゼル生産量が極めて少ないのは、メーカーのほとんど全てが廃油や植物油の廃棄物を原料としているからであり、この種の原料は総量が限られており、回収も難しい。張永光氏は「現在の原料状況から見て、年産60万トンのプラントなどとはジョークに等しい」と言う。 大手国有企業は現在2種類の原料供給源の開拓を試みている。すなわち、パームオイルの輸入と油料作物の栽培である。 国風集団は輸入モノのパームオイルを原料とする試みを進めている。国風集団はそのため、国風生物能公司を設けた。同公司は、豊富なパームオイル資源を有するマレーシア華信有限公司が株主となっている。国風集団の第1期プロジェクトはすでに稼働を開始しており、国風は南京公交(バス)集団と国風ブランドのバイオディーゼル4,800トンの売買契約を結んだ。しかし、張永光氏によると、輸入モノのパームオイルはコストが非常に高く、長期的には成り立たない。 今年初め、CNPCと中粮集団は、国家林業局とそれぞれ「林業バイオマスエネルギー発展」に関する協力枠組合意文書に調印し、バイオエネルギー基地の建設を開始した。雲南、四川、湖南、安徽、河北、陝西に5つの基地を設けることを確定している。消息筋によると、これは国家林業局が強力に推進する「林業・石油一体化計画」の一環であり、15年以内に2億ムーのエネルギー林を育てることになる。 中国石油天然ガス集団(CNPC)はすでにいくつかの地方政府との間で植林契約を結んでいる。四川省攀枝花市では22億元を投じて180万ムーのタイワンアブラギリ原料基地を建設し、雲南省元陽県では40万ムーのアブラギリ原料林基地を建設した。 中国石油化工(SINOPEC)は2006年7月、攀枝花に年産10万トンのバイオマスディーゼル工場を建設した。付設のエネルギー林基地は40〜50万ムーになる。さらに、2007年10月には貴州省発展改革委員会との間で、タイワンアブラギリによるバイオディーゼルの共同開発で合意した。 中国海洋石油 (CNOOC)は出遅れはしたものの、最近急速な発展を示している。2006年9月に攀枝花市と「攀西地区タイワンアブラギリ・バイオディーゼル産業発展プロジェクト」で合意し、23.47億元を投資する。また、海南省東方市で年産6万トン(第1期)のバイオディーゼルプラント建設計画を進めており、海南省に数十万ムーのタイワンアブラギリを栽培することになる。 「B5国家基準が公布されると、政府はCNPCや中粮集団といった大手国有企業を指定して、バイオディーゼルの試験生産を進めるに違いない。これら企業の生産するバイオディーゼルは石油製品小売系統において試験販売も進められるだろう」と張永光氏は語る。そうなれば、廃油を利用してバイオディーゼルを生産している企業は厳しい立場に立たされるだろう。 (中国石油新聞中心 12月26日)
「政府は目下バイオディーゼルのB5国家基準の起草に当たっており、来年正式に公布される。これは真の意味での市場参入基準になる」と中国石化科学研究院燃料油産品及添加剤研究室主任の張永光氏は言う。同氏はB5国家基準の起草担当者の1人である。同氏に中国のバイオディーゼルの現状について聞いた。
今年5月、中国初のバイオディーゼル関連国家基準であるバイオディーゼルB100国家基準が打ち出された。B100とは100%のバイオディーゼルであり、一般にはそのまま使用しない。B5はバイオディーゼルと一般の軽油を5:95の比率で混合したものであり、自動車に直接使用できる石油製品である。
今回、B5国家基準が打ち出されたことは、バイオディーゼルが国の推進の下に石油製品小売系統に正式に入ることを意味している。
バイオディーゼル分野には、筆頭メーカーである古杉集団、エタノールガソリンですでに多くのシェアを占める中粮集団だけでなく、国有石油3大メジャーのCNPC、SINOPEC、CNOOCも参入している。また、国有企業の安徽国風集団もこのほど中国最大となる年産60万トンのバイオディーゼルプラントを完成させた。
しかし、バイオディーゼル発展を制約する最大のネックは原料にある。中国のバイオディーゼル生産量が極めて少ないのは、メーカーのほとんど全てが廃油や植物油の廃棄物を原料としているからであり、この種の原料は総量が限られており、回収も難しい。張永光氏は「現在の原料状況から見て、年産60万トンのプラントなどとはジョークに等しい」と言う。
大手国有企業は現在2種類の原料供給源の開拓を試みている。すなわち、パームオイルの輸入と油料作物の栽培である。
国風集団は輸入モノのパームオイルを原料とする試みを進めている。国風集団はそのため、国風生物能公司を設けた。同公司は、豊富なパームオイル資源を有するマレーシア華信有限公司が株主となっている。国風集団の第1期プロジェクトはすでに稼働を開始しており、国風は南京公交(バス)集団と国風ブランドのバイオディーゼル4,800トンの売買契約を結んだ。しかし、張永光氏によると、輸入モノのパームオイルはコストが非常に高く、長期的には成り立たない。
今年初め、CNPCと中粮集団は、国家林業局とそれぞれ「林業バイオマスエネルギー発展」に関する協力枠組合意文書に調印し、バイオエネルギー基地の建設を開始した。雲南、四川、湖南、安徽、河北、陝西に5つの基地を設けることを確定している。消息筋によると、これは国家林業局が強力に推進する「林業・石油一体化計画」の一環であり、15年以内に2億ムーのエネルギー林を育てることになる。
中国石油天然ガス集団(CNPC)はすでにいくつかの地方政府との間で植林契約を結んでいる。四川省攀枝花市では22億元を投じて180万ムーのタイワンアブラギリ原料基地を建設し、雲南省元陽県では40万ムーのアブラギリ原料林基地を建設した。
中国石油化工(SINOPEC)は2006年7月、攀枝花に年産10万トンのバイオマスディーゼル工場を建設した。付設のエネルギー林基地は40〜50万ムーになる。さらに、2007年10月には貴州省発展改革委員会との間で、タイワンアブラギリによるバイオディーゼルの共同開発で合意した。
中国海洋石油 (CNOOC)は出遅れはしたものの、最近急速な発展を示している。2006年9月に攀枝花市と「攀西地区タイワンアブラギリ・バイオディーゼル産業発展プロジェクト」で合意し、23.47億元を投資する。また、海南省東方市で年産6万トン(第1期)のバイオディーゼルプラント建設計画を進めており、海南省に数十万ムーのタイワンアブラギリを栽培することになる。
「B5国家基準が公布されると、政府はCNPCや中粮集団といった大手国有企業を指定して、バイオディーゼルの試験生産を進めるに違いない。これら企業の生産するバイオディーゼルは石油製品小売系統において試験販売も進められるだろう」と張永光氏は語る。そうなれば、廃油を利用してバイオディーゼルを生産している企業は厳しい立場に立たされるだろう。
(中国石油新聞中心 12月26日)