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【エネルギー全般・政治経済】

大局的見地から「煤改気」をいかにして進めるべきか (13/12/23)
2013/12/27
中国【エネルギー全般・政治経済】

 冬季の暖房シーズンの到来を前に今年冬の天然ガス不足は例年をはるかに超える100億m3になるとメディアは大々的に報道している。「煤改気」(石炭から天然ガスへの燃料転換)の強力な推進がやはり中国の天然ガス消費量の急増をもたらした主要原因なのだろうか。「煤改気」を最優先の対策にすべきなのか或いはそうしてはならないのだろうか。

 第1に、「煤改気」に当たっては短期的な供給の安全と長期的なコストを十分に考慮しなければならない。短期的な供給の安全については贅言を要しないが、長期的に見た場合、鉄鋼産業を除けば、大規模な「煤改気」は北方の石炭焚熱供給ボイラーを天然ガスボイラーに改造することを指す。このことは、今後北方の天然ガス供給のピーク差がますます拡大することを意味する(北京はほぼ20:1)。中国北方の暖房シーズンは主に冬季に集中するが、都市のガス供給能力は最大ガス需要に応じて配置する必要がある。つまり、1年の大部分は設備を低負荷で運転しなければならず、莫大な浪費になる。しかも、中国のガス貯蔵施設やピーク調整施設が不健全な状況では、冬季のピークの天然ガス供給は綱渡り状態になり、高コスト傾向が長期的に続く。工業企業に生産停止と保守を頻繁に求めることになれば、契約の精神に違反するだけでなく、経済と社会の正常な運営に不利な影響を及ぼす。また、中国の天然ガス対外依存度が徐々に高まる中で、エネルギーセキュリティ問題もますます深刻になる。

 第2に、コストと収益を十分に考慮しなければならない。「煤改気」が採っているのは依然として慣性的な思考であり、政府が強力に推進し、石炭消費量の上限を設定する一方で、天然ガスの暖房や発電等に補助金を実施している。しかし、過ぎたるはなお及ばざるが如しであり、第1に、順調に運転している石炭焚ボイラーや石炭火力発電に「煤改気」を施すことは莫大な浪費になる。第2に、特定のエリア内で石炭焚ボイラーを禁止することは、実際には汚染を他の地区に押し付けるものである。しかし、汚染は行政上の境界に全く制約されない。つまり、「煤改気」投入効果の極大化については、大局的な視点から注目することが求められる。各地方が「煤改気」を強力に推進するのは、実際には地方政府が功を焦り短期的な利益を求めている現れであり、スモッグ管理の長期的な対策では決してない。第18期中央委員会第3回全体会議は市場の決定的な作用を強調し、公共資源配置の市場化や天然ガス等の価格改革を打ち出すとともに、エコロジーレッドラインを線引きし、資源有償使用制度と生態補償制度の実施を提唱した。中国がスモッグ管理と「煤改気」を進める場合、この綱領的な文書に従って、やるべきことはやり、やってはならないことをやらないようにしなければならない。

 第3に、市場原理と価格の梃子としての作用を十分利用して「煤改気」を推進し、閉鎖を命令することなく、老朽化生産能力の撤退と天然ガスへの転換へとスムーズに移行できるようにしなければならない。天然ガスや石炭などエネルギーの需給関係や不足程度を反映出来る価格体系を確立するとともに、各種エネルギー製品の生態環境に対する損害コストや修復収益を考慮に入れなければならない。

 第4に、標準を制定し、監督管理を強化しなければならない。政府は石炭焚ボイラー(石炭火力発電)等の排出基準も含めて天然ガス産業の長期発展戦略計画等を策定し、計画や標準の執行を通して市場に対する監督管理と違法行為に対する懲罰の仕組みを強化しなければならない。

 第5に、交易プラットフォームを構築し、市場化方式によって区域間の調整を適正に進めなければならない。広域的な天然ガス取引プラットフォームや炭素排出権市場、汚染排出権取引市場等の確立を通してガス源配置の最適化を進め、限られた資源が限界収益(経済収益や環境保護収益等を含む)の最も大きい産業と区域に流れるよう促進する。政府は、石炭、石油、天然ガス等の在来型エネルギーがなお長期的に主導的地位を占めることに鑑み、在来型エネルギーの高効率の利用や環境保護技術についても新エネルギーと同等の優遇政策を適用すべきである。

 (中商情報網 12月23日)