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【石炭】

石炭資源税が石炭企業の苦境に拍車をかける懸念も (14/01/10)
2014/1/17
中国【石炭】

 低迷期に入っている石炭産業は、石炭資源税の課税が始まると、2014年もますます苦しい日々が続くことになる。

 第18期党中央委員第3回全体会議、中央経済工作会議から財政部、国家税務総局に到るまで、いずれも石炭資源税改革を2014年の重要対策の一つに位置付けている。

 山西、陝西、内蒙古等の石炭生産省は資源税改革案をすでに財政部に提出している。現在、各地方は「清費正税」に前向きに取り組んでいる。「清費正税」とは、石炭に課せられる種々の名目による費用徴収を整理して、石炭資源税の権威的、統一的、安定的な地位を確立することを指す。石炭生産大省の税と諸費用の負担は石炭販売収入の20〜30%を占める。そうした諸費用は地方政府や社会組織が設定したものである。例えば、内蒙古の場合、政府の費用徴収項目は16種に上り、オルドス市が生産し港湾まで輸送した石炭に課せられる政府の諸費用は1トン当たり57.02元(1トン470元で試算)に上る。

 資源税改革後は諸費用の大部分が撤廃されるが、税負担は大幅に増加し、両者を相殺すると、石炭企業の税・費用負担の総合水準はやや上昇することになる。山西省財政庁の試算によると、石炭に課せられる諸費用を全面的に取り締まることを前提に、地方が現行の収入を確保する場合、石炭平均販売価格を1トン465元として計算すると、資源税率を7.4%に設定しなければならない。もし石炭価格が440元に下落した場合は、7.6%に設定すれば良い。また、石炭資源持続可能発展基金を保留する場合は資源税率を2〜2.2ポイント引き下げるべきである。上述の数値はいずれも石炭資源税率を2〜10%にせよとの国の要求に合致している。

 石炭資源税改革の背景には、種々の名目による不法で非合理的な費用徴収を整理することもある。もう一つは天然資源の使用コストを引き上げることで資源使用効率の向上を促すこともある。したがって、石炭資源税は全体として石炭生産企業の負担を増やすことになる。しかし、全体的に低迷期に入っている石炭企業にとっては、石炭資源税改革が負担を増やし、経営状況を一層厳しくすることは間違いない。業界の赤字、倒産、合併も再演されることになる。そのため、石炭企業の多くは石炭資源税の課税の猶予や減税を求めている。

 これは石炭政策の執行にとって大きな試練になる。石炭産業全体を死滅させるわけには行かないが、効率と質が低い石炭企業を締め出し、資源を大切にして効率的に利用する好ましいサイクルを形成することも必要である。同時に水や石炭等の資源価格の上昇がインフレを亢進させることも考慮に入れなければならない。もう一つ注意すべき問題は、国内炭の価格が上昇すると、低価格の海外炭輸入による衝撃が一層激化することである。そのため、関係方面は国内と国外の2つの市場のバランスを取り、輸入を適度に規制して、政策が及ぼす衝撃を出来る限り小さくしなければならない。財政部財政科学研究所が作成したレポートによると、従価課税に向けた石炭資源税改革は2014年上半期に実施される。2015年には従価課税に向けた資源税改革は他の鉱産資源にも広がる。2016〜2017年には資源税の課税範囲が水や森林等の資源にも拡大されることになる。資源と環境の拘束はますます厳しくなり、企業は早めに準備する必要があろう。

 (経済導報 1月10日)