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【石油・天然ガス】

シノペックの混合所有制改革 (14/09/25)
2014/9/30
中国【石油・天然ガス】

 中国石油化工(SINOPEC)は今年2月19日に混合所有制改革プランを発表して以来、数ヵ月間にわたる入札と交渉を経て、9月14日、SINOPEC傘下の販売公司の増資・新株主名簿を発表し、内外企業25社に販売公司の追加発行株式を合計1,070.9億元で譲渡することになった。これにより、販売公司の資本金は200億元から285.67億元に増え、SINOPECの持ち株は70.01%になり、新株主の持ち株は29.99%になった。業界筋によると、中国のエネルギー業界においては過去最大の増資規模になり、これが今後の混合所有制改革の風向計になるに違いない。なぜなら、SINOPECの改革モデルは今後の国有企業の改革の流れを指し示しているからである。

 25社の投資企業にとって、SINOPECの実力と規模は各社がパートナーシップを結びたい最大の魅力であることは間違いない。SINOPECは中国で最も完備された石油製品の販売ネットワークと貯蔵・輸送施設を保有している。2013年末時点で、累計1.08億枚の給油カードを発行し、約8,000万のカード保有の顧客を有している。また、コンビニエンスストア「易捷」を2.3万軒有している。2014年1〜4月の販売公司の営業収入は4,764億元に上った。

 銀河証券の首席アナリスト裘孝鋒氏の分析によると、2020年まで石油製品販売の伸び率は毎年5%を維持することになり、さらに非石油製品業務にはもっと大きい発展の余地がある。今後、コンビニエンスストアはコミュニティへも延伸する可能性がある。そうなれば、中国最大のコンビニネットワークが形成されることになり、成長のポテンシャルは大きい。また、国の環境保護政策の恩恵を受けて、排ガス環境対策分野もほぼ100億元の市場規模になる。

 一方、SINOPECもまた、協力パートナーを念入りに選定しており、最大の価値収益を共同で創出しようとしている。

 25社の投資企業は多様であり、保険、金融、インターネットなど多くの業種に及んでいる。いずれも各業界のパイオニアであり、異業種間の連携によりSINOPECの非石油製品業務の展開が補完されることになる。

 SINOPEC販売公司は今回の資本導入に際して、産業投資家と業務協力をめぐって商談を進め、12社との間で産業協力協定を結び、新興業務の発展を推進することになった。

 SINOPEC販売公司易捷公司の柴志明董事長(会長)によると、大潤発、復興、航美、宝利徳、新奥能源、騰訊(テンセント)、海爾(ハイアール)、匯源、中国双維の9社は戦略投資家であり、SINOPECはこれら9社の戦略投資家との間で、コンビニ、自動車サービス、O2O(Online to Offline)、金融サービス、環境保護製品や広告など新興事業をめぐって協力を展開する。

 インターネット時代において企業はどの時代よりも急速に変化する環境に直面している。このような環境において、企業のビジネスモデルはめまぐるしく変転している。国家を背景とするエネルギーメジャーとしてSINOPECが管理モデルを変革できるかどうか、他所から来た25社との統合に成功できるのかどうかが、SINOPECの知恵と管理能力の試金石になるに違いない。

 SINOPECの傅成玉董事長は、「国有企業は中国の経済的な実力を代表し、民営企業は中国の経済的な活力を代表している。実力に活力を加えることで中国の経済競争力が構成される。社会と民営資本を導入することは国有経済の主導的作用をさらに発揮させ、国有経済の活力、支配力、影響力を増強するのに役立つ。また、所有形態の様々な資本がそれぞれの長所を生かし短所を補い、相互に促進し、共同で発展して、ウィン・ウィンを実現する上でも有効だ」と指摘する。

 中国投資協会エネルギー研究センターの曾興球副理事長は「石油業界にとって混合所有制改革は徐々に実験を進めるべきプロセスだ。SINOPECの石油製品販売部門の混合所有制改革はお手本の一つになるに違いない。非石油製品業務は発展の余地が非常に大きく、SINOPECは石油製品のサプライヤーから総合サービス企業への転換を図っている。しかしながら、マーケットには不確実性が充満しており、予想通りに進むかどうかは、いまのところはっきり言えない」と述べた。

 (中国能源報 9月25日)

訳注:混合所有制改革…国有企業に民間資本を導入して国有企業と民営企業を融合する国有企業改革。国有企業の管理システムの改革や効率化、独占体制の打破などの狙いがある。2013年11月の第18期第3回共産党中央委員総会決議において混合所有制経済の方向性と道筋が打ち出された。