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【石油・天然ガス】

中露天然ガスPL東ルートの路線が発表 年末までには西ルートで合意も (14/10/10)
2014/10/14
中国【石油・天然ガス】

 中国石油天然ガス集団(CNPC)は10月9日、中露天然ガスパイプライン東ルートプロジェクトが国家発展改革委員会から承認されたと発表し、2015年上半期に同パイプラインの中国国内ブロックが着工されるとの見通しを示した。一方、専門家によると、西ルートプロジェクトも年末までに合意が成る見込みである。

 中露天然ガスパイプライン東ルートは黒龍江省黒河市を起点に、黒龍江省、吉林省、内蒙古自治区、遼寧省、河北省、天津市、山東省、江蘇省を経由して、上海市を終点とする。工期を合理的に部署するため、北ブロック、中ブロック、南ブロックの3つに分け、別個に認可と建設を進める。北ブロックは黒河−吉林省長嶺幹線及び長嶺−長春支線、中ブロックは長嶺−河北省永清、南ブロックは永清−上海になる。

 中露天然ガスパイプライン東ルートは上海市青浦区白鶴鎮にある上海ターミナルまで総延長3,342キロに上り、長嶺−長春支線は108キロになる。

 卓創資訊の天然ガスアナリストである王暁坤氏によると、パイプライン技術も含め東ルートパイプラインをめぐる大きな問題はすでに解決している。CNPCによると、2015年上半期に中国国内ブロックが着工され、2018年の竣工稼動を目指すことになる。

 中国石油大学国際石油政治センターのパン昌偉主任によると、ロシア側の計画では、東ルートパイプラインを2019年に稼動させ、供給量は当初の年間50億m3から年々増やして5年後には380億m3とする。なお、現在、東ルートパイプラインをめぐる他の大きな問題もすでに解決しているが、当然ながら日本側からの想定外のファクターが発生する可能性については警戒しなければならない。

 一方、西ルートパイプラインについては、9月1日の東ルートパイプライン着工式に出席した中国政府上層部が中露エネルギー協力において東ルートと西ルートを並行して進め、上流と下流の調和を取って推進しなければならないと表明し、Gazprom側も、今年11月の中露首脳会談に際して西ルート経由の天然ガス供給で中国石油天然ガス集団(CNPC)と契約に調印する計画であるとした。また、ロシアエネルギー相ノヴァクは先週、西ルートによる対中天然ガス供給で年末までにコンセンサスに達するとの公算を示した。

 パン昌偉氏はこの点について、年末までに合意が成る可能性は極めて高いと述べ、欧米からの制裁に直面し、欧州の天然ガス需要も減少する中、ロシア側はエネルギー輸出を臨機応変に進めるとともに、新たな輸出パイプラインを模索するよう迫られていると指摘した。一方、国内の天然ガス需要の増加が続く中国側は、チャンスを生かしてロシアの680億m3のガス源を速やかに獲得しなければならない。中露双方にとって合意は現実的な選択肢になる。

 ロシアは将来的に中国への天然ガス輸出を年間1,000億m3に引き上げる可能性もあると発表したが、この点について、パン主任は、可能性はあるが実現は2030年以降になるとの見方を示す。

 ロシア天然ガスの対中供給が実現に近づく中、王暁坤氏は中国がロシア産ガスに対して過度の依存に陥るとの懸念も示す。中国がロシアからの輸入を計画している年間680億m3は2013年の中国の年間輸入量を上回っている。エネルギーセキュリティの見地からはロシアへの過度の依存を避けることが必要である。もっとも、パン昌偉氏は、そうした問題は懸念するには及ばないと指摘する。中国が680億m3のロシア産ガス輸入を実現する頃には国内の天然ガス需要も増加しているからである。2030年にロシアから1,000億m3の天然ガス輸入が実現したとしても、その頃の国内消費量の中ではわずか5分の1前後に過ぎないだろう。

 (網易財経 10月10日)