先日《北京・天津・河北協同発展規画綱要》が党中央政治局で議決され、間もなく公布される。北京・天津・河北のエネルギー分野の協同行動と統一的な発展が期待される。 しかし、北京・天津・河北のエネルギー構造の格差が浮き彫りになっている。2013年の北京のエネルギー強度(GDP当たりのエネルギー消費)は標準炭換算で0.415tce/万元であり、すでに中進国よりも優れており、石炭消費の占める比率は20%に下がっている。天津のエネルギー強度は0.67tce/万元、石炭消費の比率は61.58%であり、いずれも全国平均水準を上回る。一方、河北省の石炭消費の比率はなお85%以上であり、2011年のエネルギー強度は1.3tce/万元で、エネルギー多消費省の範疇に入る。 2014年に公布された《エネルギー産業大気汚染防止対策強化方案》は、北京・天津・河北の石炭消費総量のマイナス成長実現に努めるとしており、2017年には石炭消費純削減量を、北京1,300万トン、天津1,000万トン、河北4,000万トンとして、合計6,300万トン削減するとしている。北京・天津・河北はすでに石炭抑制の部署に着手しているが、スタートラインが異なり、切迫度にも違いがある。 河北省の年間エネルギー消費は3億tceを超えており、うち9割を石炭が占める。河北省は石炭削減目標を各市に分担させており、分担削減目標は7,790万トンに上り、省の年間石炭消費量の3割を占め、国が示達した任務のほぼ100%になる。河北省の並々ならぬ決意が窺える。 天津は主に3つの分野で削減目標達成を図っている。石炭火力発電設備の閉鎖で石炭540万トンを削減し、熱供給ボイラーの燃料転換や閉鎖で385万トン、企業の自家発電所とボイラーの燃料転換と閉鎖で410万トン削減する。削減総量は1,335万トンに達し、国の示達した任務を上回る。 北京市の2014年の石炭消費量はすでに2,000万トン以下に下がっている。北京市の石炭消費縮小対策案によると、2017年には実質1,440万トンを削減することになり、北京市の年間石炭消費は1,000万トン以下に収まる。市のエネルギー消費全体に占める石炭の割合は約10%になる。 北京・天津・河北の石炭消費総量抑制目標は合計1億565万トンに達している。3地区は石炭火力発電設備の改修や淘汰ですでに行動に着手している。河北省は2014年に石炭焚ボイラー3.96万台の淘汰を進め、年間1,500万トンの石炭消費を削減して、初めて石炭消費のマイナス成長を実現した。また、河北省は今年石炭火力発電所の超低排出に向けた改修で専門行動を展開する。全て石炭火力発電設備を対象に改修と管理を実施して年末までに超低排出の要件を満たすよう求める。また、火力発電事業だけでなく、鉄鋼、セメント、板ガラス等の業種でも年末までに脱硫・脱硝・除塵の基準に達するよう対策を進める。 天津市は今年3月、陳塘荘熱発電所の石炭火力設備3台を閉鎖し、これにより天津中心市街区の石炭火力発電所はなくなった。この閉鎖だけでも年間233万トンの石炭消費を削減した。天津はさらに今年496万トンの石炭消費を削減することになる。陳塘荘熱発電所のガス化プロジェクトは今年6月末には全て稼動し、年間420万tceの石炭を節約することが可能になる。さらに今年は90ヵ所の工業用ボイラーの改修を進め、中心市街区の石炭焚ボイラーは全て撤去される。 北京市も石炭火力発電の撤去を強化しており、2014年時点で大唐高井石炭火力熱発電所、京能石景山石炭火力熱発電所及び国華北京熱発電所の石炭火力設備を相次いで淘汰し、1ヵ所だけ残された大型石炭火力の華能熱発電所も来年には閉鎖する。 石炭削減によって3つの地区には大きなエネルギー不足が生じる。そのため、北京・天津・河北は内蒙古から電力を大規模に導入することになる。また、地元のクリーン・エネルギーを活用することも3地区が考えるべき課題になる。国家能源局は先日通達を出し、北京で再生可能エネルギーによる熱供給の実証事業を実施するよう求めた。河北省北部の張家口から風力発電による電力を導入して北京に熱供給を行うことになる。事業の見通しは良好である。 (中電新聞網 5月13日)
先日《北京・天津・河北協同発展規画綱要》が党中央政治局で議決され、間もなく公布される。北京・天津・河北のエネルギー分野の協同行動と統一的な発展が期待される。
しかし、北京・天津・河北のエネルギー構造の格差が浮き彫りになっている。2013年の北京のエネルギー強度(GDP当たりのエネルギー消費)は標準炭換算で0.415tce/万元であり、すでに中進国よりも優れており、石炭消費の占める比率は20%に下がっている。天津のエネルギー強度は0.67tce/万元、石炭消費の比率は61.58%であり、いずれも全国平均水準を上回る。一方、河北省の石炭消費の比率はなお85%以上であり、2011年のエネルギー強度は1.3tce/万元で、エネルギー多消費省の範疇に入る。
2014年に公布された《エネルギー産業大気汚染防止対策強化方案》は、北京・天津・河北の石炭消費総量のマイナス成長実現に努めるとしており、2017年には石炭消費純削減量を、北京1,300万トン、天津1,000万トン、河北4,000万トンとして、合計6,300万トン削減するとしている。北京・天津・河北はすでに石炭抑制の部署に着手しているが、スタートラインが異なり、切迫度にも違いがある。
河北省の年間エネルギー消費は3億tceを超えており、うち9割を石炭が占める。河北省は石炭削減目標を各市に分担させており、分担削減目標は7,790万トンに上り、省の年間石炭消費量の3割を占め、国が示達した任務のほぼ100%になる。河北省の並々ならぬ決意が窺える。
天津は主に3つの分野で削減目標達成を図っている。石炭火力発電設備の閉鎖で石炭540万トンを削減し、熱供給ボイラーの燃料転換や閉鎖で385万トン、企業の自家発電所とボイラーの燃料転換と閉鎖で410万トン削減する。削減総量は1,335万トンに達し、国の示達した任務を上回る。
北京市の2014年の石炭消費量はすでに2,000万トン以下に下がっている。北京市の石炭消費縮小対策案によると、2017年には実質1,440万トンを削減することになり、北京市の年間石炭消費は1,000万トン以下に収まる。市のエネルギー消費全体に占める石炭の割合は約10%になる。
北京・天津・河北の石炭消費総量抑制目標は合計1億565万トンに達している。3地区は石炭火力発電設備の改修や淘汰ですでに行動に着手している。河北省は2014年に石炭焚ボイラー3.96万台の淘汰を進め、年間1,500万トンの石炭消費を削減して、初めて石炭消費のマイナス成長を実現した。また、河北省は今年石炭火力発電所の超低排出に向けた改修で専門行動を展開する。全て石炭火力発電設備を対象に改修と管理を実施して年末までに超低排出の要件を満たすよう求める。また、火力発電事業だけでなく、鉄鋼、セメント、板ガラス等の業種でも年末までに脱硫・脱硝・除塵の基準に達するよう対策を進める。
天津市は今年3月、陳塘荘熱発電所の石炭火力設備3台を閉鎖し、これにより天津中心市街区の石炭火力発電所はなくなった。この閉鎖だけでも年間233万トンの石炭消費を削減した。天津はさらに今年496万トンの石炭消費を削減することになる。陳塘荘熱発電所のガス化プロジェクトは今年6月末には全て稼動し、年間420万tceの石炭を節約することが可能になる。さらに今年は90ヵ所の工業用ボイラーの改修を進め、中心市街区の石炭焚ボイラーは全て撤去される。
北京市も石炭火力発電の撤去を強化しており、2014年時点で大唐高井石炭火力熱発電所、京能石景山石炭火力熱発電所及び国華北京熱発電所の石炭火力設備を相次いで淘汰し、1ヵ所だけ残された大型石炭火力の華能熱発電所も来年には閉鎖する。
石炭削減によって3つの地区には大きなエネルギー不足が生じる。そのため、北京・天津・河北は内蒙古から電力を大規模に導入することになる。また、地元のクリーン・エネルギーを活用することも3地区が考えるべき課題になる。国家能源局は先日通達を出し、北京で再生可能エネルギーによる熱供給の実証事業を実施するよう求めた。河北省北部の張家口から風力発電による電力を導入して北京に熱供給を行うことになる。事業の見通しは良好である。
(中電新聞網 5月13日)