6月10日、天然資源保護協議会(NRDC)と世界自然保護基金(WWF)の共同発起による「中国石炭抑制プロジェクト」のレポートが北京で発表された。同レポートは中国の向こう5〜15年の石炭抑制目標を提示し、中国が2030年頃に炭素排出ピークを迎えるためには、2020年の年間石炭消費量を40億トン以下に押さえ、さらに2030年には35億トン以下に引き下げるべきであるとした。 中国国家統計局が2月に発表した統計によると、2014年の中国の石炭消費量は約35.1億トン、今世紀以降初めて石炭消費総量が前年比でマイナスになった。しかし、中国の石炭消費量は依然として世界の50%を占めている。中国の一次エネルギー構造においても石炭の比率が最も高く、60%を超えている。今回発表された《炭素排出の抑制と石炭消費総量抑制の拘束及び相互影響》並びに《省域温室効果ガス総量規制と石炭総量規制の相互作用の分析》と題するレポートは国家気候変動戦略研究国際協力センターがまとめたものである。 同レポートは、地球の気温上昇を2℃以内に抑える目標を実現するとの見地から、中国のCO2排出ピークを2030年頃にすべきであり、2050年には2010年頃の排出水準に引き下げるべきとしている。 地区別に見ると、炭素排出実験地区は2020年までに基本的にピークに達してから下がり始め、東部・中部の発達地区は2020年以降に炭素排出が増えることはなく、2025年に基本的にピークに達する。中部・西部の中レベル発達地区は2015〜2020年の炭素排出急増期を経て2020年以降は排出量の増加が鈍り、2030年以降に下がり始める。西部の未発達地区は発展が遅れているため、2025年以降になってから強い炭素強度の拘束を受け始める。 レポートは、予測シナリオによって異なる温室効果ガス排出削減量と社会経済収益への影響について比較を行っている。NRDCエネルギー・環境・気候変動上級顧問の楊富強氏は、「石炭消費の抑制による温室効果ガスと黒色炭素の削減効果は気候変動への影響を減らすだけに止まらない。健康に対しても極めて大きな効果をもたらし、スモッグを著しく減らして、塵肺等の職業病の発生を減らすとともに、水資源や生態系の保護にもつながる。このことは中国乃至は世界の経済と社会の持続可能な発展にとって計り知れない巨大な利益になる」と述べた。 中国自身、気候変動によって不利な影響を受けている。国家気象局の観測によると、1961年から2010年にかけて、中国の地表平均温度、平均最高温度及び最低温度はいずれも顕著な上昇傾向を示している。青海チベット高原地区では85〜90%の氷河に萎縮が生じている。海面上昇の影響を受けて、長江デルタ地区では海水の浸入が発生し、流域の生産と生活に脅威を及ぼしている。加えて、異常天候による災害も気候脆弱地区に深刻な経済損失をもたらしている。 2013年に中国の1人当たり平均炭素排出は世界平均水準を超えただけでなく、EUの平均水準も超えた。2013年の世界のCO2排出量は過去最高を記録して361億トンに達し、うち中国の排出は100億トンに上り、世界の総排出量の28%を占めた。 ちょうど2日前、ロンドン大学政治経済カレッジのレポートは、中国の炭素排出は10年以内に下がり始め、2025年にはピークに達する可能性が極めて高いと指摘した。《米中気候変動声明》が提示した2030年よりも5年早くなる。IEAによると、CO2排出が2014年には増えていないことが分かった。英国《フィナンシャルタイムズ》は、その原因について中国が最大の炭素排出源である石炭の使用を減らし、水力発電、風力やソーラー発電設備容量を増やしたためであると論評している。 (中国経済新聞網 6月11日)
6月10日、天然資源保護協議会(NRDC)と世界自然保護基金(WWF)の共同発起による「中国石炭抑制プロジェクト」のレポートが北京で発表された。同レポートは中国の向こう5〜15年の石炭抑制目標を提示し、中国が2030年頃に炭素排出ピークを迎えるためには、2020年の年間石炭消費量を40億トン以下に押さえ、さらに2030年には35億トン以下に引き下げるべきであるとした。
中国国家統計局が2月に発表した統計によると、2014年の中国の石炭消費量は約35.1億トン、今世紀以降初めて石炭消費総量が前年比でマイナスになった。しかし、中国の石炭消費量は依然として世界の50%を占めている。中国の一次エネルギー構造においても石炭の比率が最も高く、60%を超えている。今回発表された《炭素排出の抑制と石炭消費総量抑制の拘束及び相互影響》並びに《省域温室効果ガス総量規制と石炭総量規制の相互作用の分析》と題するレポートは国家気候変動戦略研究国際協力センターがまとめたものである。
同レポートは、地球の気温上昇を2℃以内に抑える目標を実現するとの見地から、中国のCO2排出ピークを2030年頃にすべきであり、2050年には2010年頃の排出水準に引き下げるべきとしている。
地区別に見ると、炭素排出実験地区は2020年までに基本的にピークに達してから下がり始め、東部・中部の発達地区は2020年以降に炭素排出が増えることはなく、2025年に基本的にピークに達する。中部・西部の中レベル発達地区は2015〜2020年の炭素排出急増期を経て2020年以降は排出量の増加が鈍り、2030年以降に下がり始める。西部の未発達地区は発展が遅れているため、2025年以降になってから強い炭素強度の拘束を受け始める。
レポートは、予測シナリオによって異なる温室効果ガス排出削減量と社会経済収益への影響について比較を行っている。NRDCエネルギー・環境・気候変動上級顧問の楊富強氏は、「石炭消費の抑制による温室効果ガスと黒色炭素の削減効果は気候変動への影響を減らすだけに止まらない。健康に対しても極めて大きな効果をもたらし、スモッグを著しく減らして、塵肺等の職業病の発生を減らすとともに、水資源や生態系の保護にもつながる。このことは中国乃至は世界の経済と社会の持続可能な発展にとって計り知れない巨大な利益になる」と述べた。
中国自身、気候変動によって不利な影響を受けている。国家気象局の観測によると、1961年から2010年にかけて、中国の地表平均温度、平均最高温度及び最低温度はいずれも顕著な上昇傾向を示している。青海チベット高原地区では85〜90%の氷河に萎縮が生じている。海面上昇の影響を受けて、長江デルタ地区では海水の浸入が発生し、流域の生産と生活に脅威を及ぼしている。加えて、異常天候による災害も気候脆弱地区に深刻な経済損失をもたらしている。
2013年に中国の1人当たり平均炭素排出は世界平均水準を超えただけでなく、EUの平均水準も超えた。2013年の世界のCO2排出量は過去最高を記録して361億トンに達し、うち中国の排出は100億トンに上り、世界の総排出量の28%を占めた。
ちょうど2日前、ロンドン大学政治経済カレッジのレポートは、中国の炭素排出は10年以内に下がり始め、2025年にはピークに達する可能性が極めて高いと指摘した。《米中気候変動声明》が提示した2030年よりも5年早くなる。IEAによると、CO2排出が2014年には増えていないことが分かった。英国《フィナンシャルタイムズ》は、その原因について中国が最大の炭素排出源である石炭の使用を減らし、水力発電、風力やソーラー発電設備容量を増やしたためであると論評している。
(中国経済新聞網 6月11日)