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【石炭】

環境審査引き締めで4,000億元のSNG事業は何処へ (15/05/19)
2015/5/25
中国【石炭】

 2013年初頭から2014年4月に17件のSNG(石炭由来代替天然ガス)事業が承認された。生産能力は772億m3、投資額は合計4,000億元に上る。
 
 しかし、今年初めに蘇新能源和豊公司の塔城SNG事業が環境保護部の環境審査で不合格になり、さらに石油価格の低迷も加わって、SNG産業全体の見通しは不透明になっている。

 蘇新能源の環境審査不合格は、SNGの環境影響評価に対する環境保護部の風向きの転換を示すものであり、審査は今後さらに厳しくなるというのが大方の見方である。なお、蘇新能源より前に合計4件のSNG事業が環境審査にパスし、承認を得ていた。

 これら4件のSNG事業の中で、大唐集団の克旗SNG事業はいち早く2014年3月に操業を開始し、その後、慶華と匯能の事業も商業運営に入った。しかし、大唐克旗事業は稼動後も悪い情報が絶えず、ガス化炉壁の腐食による停止やグリーン・ピースに環境汚染を暴露されるなど、フル運転が出来ずにいる。その後、慶華の事業も負荷が不安定であるとの情報が伝わっている。

 わずか1年でSNGに対する世論は環境面で覆った。大唐克旗事業の稼動前は、SNGはクリーン・エネルギー、新型産業として世論から評価されていたが、ネガティブな情報が次々と暴露され、SNGには未熟な技術や深刻な汚染といった負のイメージが付きまとうことになった。

 五環工程公司の張錦躍副総経理(副社長)によると、SNGは紆余曲折を経て目下岐路に立っており、業界で最も応用されている破砕加圧ガス化技術を見直す必要がある。
 
 大唐克旗、慶華新疆事業及び蘇新能源の事業はいずれも賽鼎工程公司の破砕加圧ガス化技術を採用している。ガス化炉は賽鼎工程公司がルルギ(Lurgi)ガス化炉技術を吸収して開発した賽鼎炉が採用されている。

 張錦躍氏によると、環境保護型ガス化技術が主流になりつつある状況では、破砕加圧ガス化技術はそのメリットによってデメリットを補うことが難しくなっている。破砕加圧ガス化技術では石炭の中の雑分を有効に分解することが出来ず、下水に入ると、処理が難しくなる。

 現段階では噴流床ガス化技術をSNGに重点的に応用すべきであると張錦躍氏は考えている。噴流床ガス化技術は乾燥微粉炭ガス化技術とCWSガス化技術を包摂し、高温・高圧を特徴とする。SNG産業にとっては、高付加価値の副産物を分離できる破砕加圧ガス化技術のメリットを捨てなければならないが、石炭の雑分を徹底的に分解することになれば、水処理が簡単になり、環境保護投資も少なく出来る。

 張錦躍氏によると、破砕加圧ガス化技術の現行の環境保護投資の面から見た場合、噴流床ガス化技術の総投資は破砕加圧ガス化技術と変わりはない。また、破砕加圧ガス化技術は未だ工業化水処理基準を満たすことが出来ず、ゼロエミッションを実現することも出来ない。加えて、機械の強度や熱安定性に劣るため。石炭の粒径の基準を満たさず、運転に影響することが懸念される。
 
 (財経網 5月19日)