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【新エネルギー】

中国の風力発電設備輸出にとって新興市場に巨大なポテンシャル (15/06/05)
2015/6/11
中国【新エネルギー】

 中国風力協会からの情報によると、2014年末時点で中国の風力発電設備の輸出先はすでに28ヵ国に広がっている。最大の輸出先は米国であり、次いでパナマ、エチオピアの順になる。輸出した風力発電設備は累計937台、容量は1,761.25MWに上る。

 中国風力協会の秦泰岩事務局長によると、「一帯一路」(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)を背景とする中国の風力発電の国際化には3つのレベルの意味には含まれている。第1に、中国の風力発電メーカーは国際化市場を模索しなければならない。第2に、風力発電バリューチェーン管理の国際化であり、研究開発、設計、製造、応用の各プロセスを世界範囲で組織的に展開することである。第3に現地化である。企業は市場を占めるという観念を転換し、現地の質が高く安価な資源をより良く動員して生産のニーズを賄うようにし、出来る限りウィン・ウィンの局面を実現するのである。

 新興市場における中国の風力発電設備のシェアは依然小さい

「一帯一路」の追い風を受けて、風力発電も含む中国の再生可能エネルギー産業は高速発展と全面的な国際化のチャンスに遭遇することになる。逆に言えば、風力発電等の再生可能エネルギー産業は中国の「一帯一路」戦略実施過程において主役になり、ますます多くの風力発電企業が積極的に海外に進出することになる。

 中国風力協会の統計によると、2014年に中国の風力発電設備メーカー5社は海外へ風力発電設備189台を輸出し、容量は368.75MWに上った。うち輸出量が最も大きかった企業は金風科技であり、2014年の全輸出量の6割を占めた。次いで三一重能、華鋭風電、明陽風電の順になる。

 「アジア、アフリカ及びラテンアメリカでは、経済発展が求めるクリーンで持続可能なエネルギーの需要は風力発電によって賄われつつある」と世界風力エネルギー協会(GWEC)中国事業部の喬黎明部長は言う。過去1年、非OECD諸国の風力発電設備容量が始めて欧州と北米市場を上回った。非OECD諸国の風力発電市場の成長は主に中国とブラジルが牽引し、メキシコと南アフリカがそれに次いでいる。アジア、アフリカ、ラテンアメリカの需要は中国の風力発電メーカーの輸出先にも体現されている。GWECの統計によると、中国の風力発電設備の過去1年間における主要輸出先はパナマ、エチオピア及びトルコである。うち金風科技はパナマへ86台、総容量215MWを輸出し、三一重能はエチオピアへ46台、69MW輸出した。さらに華鋭風電はトルコへ24台、36MW輸出した。

 GWECの最新の予測によると、向こう5年間の世界の風力発電市場は引き続きアジア、欧州及び北米が主になるが、新興市場にはすでに変化が現れており、猛烈な勢いで増加すると予想される。
 「新興市場の台頭は中国の風力発電産業の『走出去』(対外進出)の契機になる。これらの地域は電力需要が旺盛であり、風力資源も豊かだ。これら新興地区では中国の風力発電のシェアはまだ小さいが、未来のポテンシャルは巨大だ」と喬黎明氏は述べた。

 自主知財権を備える中核技術体系が鍵に

 中国風力協会の発表したデータによると、中国の風力発電メーカーが国際市場においてヴェスタスやシーメンスといった海外大手と競争することはまだまだ難しい。過去1年間で世界の新規風力発電設備上位5位に入った中国企業は金風科技だけである。

 現在中国の「走出去」の方式は主に3つに分けられる。第1に、海外の風力発電事業を直接買収する形である。龍源電力のカナダ風力発電事業の買収や三一集団の米国風力発電事業の買収などが挙げられる。第2に、海外企業を買収する方式である。金風による独VENSYS社の経営支配、湘電集団の蘭Darwind社買収がある。第3に、海外にR&Dセンターを設け、海外の技術や人材、風力発電開発の豊かなノウハウを利用し、国際協力を通して自身のレベルを向上させる方式である。例えば、遠景能源(Envision)はデンマークにグローバルイノベーションセンターを設けている。

 「中国の風力発電の『走出去』は様々な面で優位を備えているものの、明らかな欠点も存在している。風力発電企業は、資金と事業を抱き合わせにすることで風力発電設備の「走出去」を実現するのではなく、自主知財権を備える中核技術体系を形成して風力発電設備の品質においても国際先進レベルに達することが求められる。そうすることで海外市場との間で密接で依存度の高い安定した関係を構築することが可能になる」と喬黎明氏は言う。

 国際市場のカスタマイズ化とサービス化の傾向は風力発電産業のビジネスモデルの転換を胚胎している。風力発電企業にとっては海外に打って出ることによって、もっと大きな発展空間に直面することになる。国や地区によって風力資源は異なり、顧客の需要もますます多様化している。「そのため、風力発電企業は安定的かつ臨機応変な生産能力を備えるだけでなく、極めて高い系統的な設計能力も必要になる。企業は設備の規格、配置、制御技術の面で異なる設計プランを採用し、設備の安全な運転確保を基礎にしつつ、十分に収益を上げ、運営業者がコストを有効に抑制できるようサポートしなければならない」と秦泰岩氏は指摘する。

 金風国際ホールディングス香港有限公司の潘彦田総経理(社長)はこの点についても深く理解しており、市場の細分と企画を明晰にし、実践の中で模索を進め、ノウハウと教訓を汲み取ることが不可欠であるとの見方を示す。「例えば、我々はエクアドルではEPC一括請負事業を進め、チリでは風力発電設備の供給から融資支援に到るまで事業を獲得した。さらにパナマでも風力発電設備の供給から風力発電所の投資に到るまで事業を獲得した。こうして模索を重ねる毎に、我々は顧客のニーズを出発点として、顧客のために総合ソリューションを創造することが顧客からの信頼を得る最良の選択であることを深く体得した。当然ながら、常に顧客のために価値を創造することが長期的に歩むべき道になる」と潘彦田氏は述べた。

 (中国電力報 6月5日)