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中国
【電力】

特高圧は世界に向けた「中国製造」のシンボル (15/06/26)
2015/7/1
中国【電力】

 先日、李克強首相はブラジル大統領ルセフとともにブラジリア大統領府においてBelo Monte特高圧(UHV)直流送電事業のビデオ起工式に出席した。この事業は国家電網公司が海外で初めて落札した特高圧送電事業になる。中国の特高圧技術の「走出去」(対外進出)が大きな打開を遂げたことを示すものであり、中国とブラジルの電力協力のマイルストーンでもある。

 中国のエネルギー配置はこれまで石炭輸送に過度に依存し、送電の比重は低く、構造の失調を来たし、エネルギーサプライチェーンは脆弱であった。過去10年間において鉄道の新規輸送力の70%以上は石炭輸送力の拡大に充てられてきた。高速道路は石炭を輸送するトラックのため深刻な渋滞が頻発し、多数の火力発電所には石炭不足による運転停止が毎年発生した。このような科学的ではない発展パターンは、石炭輸送費の上昇、低いエネルギー効率、交通渋滞など一連の問題がもたらし、経済と社会の発展を阻害する宿痾となっていた。

 中国の製造業の総合力は今や大幅に上昇し、「中国製造」(メイド・イン・チャイナ)は世界に遍く広がっている。労働力と資源的優位によって、中国は世界の労働集約産業資本と生産プロセス移転、技術移転の目的地となり、延いては産業チェーンと産業の基礎が形成された。しかし、国内的に見ると、資源と環境のキャパシティはますます縮小し、「中国製造」の転換とグレードアップの任務には厳しいものがある。「中国製造」から「中国創造」への飛躍を実現することはすでに重要かつ差し迫った課題になっている。
 国家電網公司がブレークスルーを実現した特高圧送電技術は史上最も難しく最も複雑な電力技術の成果であり、「中国スタンダード」を誕生させた。中国は今や特高圧とスマートグリッド技術標準体系の面で国際規格19件を起草し、完全な独自知財権を備え、国際的にも中国の特高圧送電標準が国際規格として認められている。つまり、外国の競争相手は中国の特高圧標準と「連動」し、中国の技術規格制定のルールに従ってカードを切らなければならないということである。特高圧は中国のエネルギー分野における独自のイノベーションであり、世界的にもオリジナルである。そして、国際規格をめぐる主導権と強固な優位を擁する技術でもある。高速鉄道や有人宇宙飛行と同様に、国のイノベーション能力と総合力の象徴になる。

 Belo Monte事業は中国が海外で初めて投資を行う特高圧送電事業であり、特高圧送電の技術、設備及びノウハウの輸出を推進し、中国の先端技術を世界に発信する上で重要な意義を有している。チャンスを把握して、世界の檜舞台へと発展するためには、特高圧技術の中核的競争力をしっかり把握しなければならない。そして、海外進出を進めることで、特高圧を新時代の「国の利器」、中国の科学技術の栄光と誇りにすることが出来る。
 
 (中国電力網 6月26日)