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【エネルギー全般・政治経済】

「一帯一路」戦略の下でエネルギー企業はいかにして海外に活路を求めるべきか (15/07/21)
2015/7/27
中国【エネルギー全般・政治経済】

 エネルギー協力は「一帯一路」(陸と海のシルクロード)建設の重点であり手段になる。先日北京で開かれた「新チャイナシルクロード」情報製品発表シンポジウムに出席した専門家や企業の幹部は、「一帯一路」戦略を背景に、エネルギー企業は最早以前のような「資源獲得」と「販路獲得」の道を歩むべきではなく、相互の疎通、補完、協力やクリーンなどのキーワードをめぐって戦略を立てるべきであるとの認識で一致した。

 中国は2001年から「走出去」(対外進出)戦略を打ち出し、2004年になると伝統的エネルギー企業の「走出去」が目に付くようになった。特に2008年の金融危機によって、中国エネルギー企業の海外投資は飛躍的に発展するようになり、2010〜2013年に中国のPV企業は大規模に進出し大規模に挫折することになった。中国エネルギー企業はすでに長年にわたって海外に活路を求めてきた。

 では、「一帯一路」戦略を背景に海外エネルギー投資は以前とどのような違いがあるのか、また企業はどのように部署を進めるべきなのだろうか。

 この点について、中国能源網の首席情報官である韓暁平氏は次のような見方を示す。伝統的エネルギー企業の「走出去」の多くは資源不足の危機感に基づくものであり、企業が「資源」を求めて海外に進出したが、「一帯一路」戦略の下では、より多くの企業が「市場」を求め、あるいは産業移転を進めるために海外へ進出することになる。

 また、今回のシンポに出席した専門家は、「一帯一路」沿線におけるエネルギー企業のチャンスは、主にエネルギールートの建設、電力供給インフラ、クリーン・エネルギー、エネルギー産業パーク等の分野に集中するとの見方を示す。

 「一帯一路」沿いには多くの重要なエネルギー生産国が分布している。ロシア、中央アジア5ヵ国、モンゴルなどである。中国石油経済技術研究院の統計によると、「一帯一路」沿いの諸国の石油埋蔵量は461億トン、天然ガス埋蔵量は108兆m3になり、世界の石油埋蔵量の20%、天然ガス埋蔵量の56%を占める。

 但し、「一帯一路」沿いの諸国のエネルギー供給能力は相対的に低い。「インドとミャンマーの人口の50%以上は未だ電気が普及していない」と国家発展改革委員会対外経済研究所国際合作室の張建平主任は言う。「中国のエネルギー供給能力は相対的に高く、それらの諸国とエネルギーの相互補完を形成することが出来る。中国企業は海外において発電所や石油ガスパイプラインを建設する能力を十分に有している」。

 国務院国有資産監督管理委員会新聞センターが7月14日に発表した《一帯一路中国企業ロードマップ》によると、中央企業は海外において、火力発電、水力発電、原子力発電、風力発電、ソーラー、バイオマスなど様々な種類の発電所を建設している。また、中央企業は、中露、中国・カザフスタン、中緬原油パイプライン、中露、中央アジア、中緬天然ガスパイプラインや、ロシアなど周辺諸国との10本の国際系統連系線など、多数のエネルギー輸送ルートの建設も受注している。

 韓暁平氏によると、「一帯一路」沿いには文化や宗教の違いのため貿易交流が少なく、エネルギー分野の疎通となるとさらに難しい国もあるが、中国は第三国として、そうした国々と問題をよりうまく解決し、エネルギールートの連結を通して、それら諸国が隔たりを解消することを助け、互恵とウィンウィンを実現することが出来る。

 一方、世界のエネルギー需要の絶え間ない拡大に伴って環境保護の声も日増しに高まっており、クリーン・エネルギーは未来の発展の主流になる。しかし、「一帯一路」沿いの諸国は市場化の程度が低く、インフラが遅れており、電力使用のコストが高い。クリーン・エネルギー分野は、伝統的エネルギーインフラの負担がなく、反ダンピングを考慮するにも及ばず、広大な投資空間が備わっている。

 「パキスタンを例に挙げると、同国は石油と天然ガス発電を主としているが、石油と天然ガスは輸入が必要であり、発電コストは高い。一方、中国の太陽光発電は、コストが下がれば、同国に極めて大きな発展空間を広げられる」と韓暁平氏は言う。

 今年3月に中国と欧州間にPV製品の貨物列車便が開通して以来、ますます多くのPV企業が「一帯一路」市場を指向するようになった。

 中国慶華集団の関係幹部は今回のシンポにおいて「我が社がカザフスタンで進めているクリーン・コール総合利用プロジェクトは中国とカザフスタン両国の政府から高い関心を寄せられており、中国カザフスタン生産能力及び投資協力事業リストにも盛り込まれている」と表明した。

 エネルギー企業の海外投資モデルについて、韓暁平氏は次のような考えを示した。国有エネルギー企業は「一帯一路」市場への投資において、出来る限り産業パークの方式によって産業チェーン発展路線を歩むべきである。エネルギー資源の採掘から転化、販売に到るまで、ワンセットのプロセスとネットワークを確立すべきである。これは資金を長期収益に転化させる上で有効である一方、次のステップにおいて民営企業が「一帯一路」市場に進出する基礎固めになり、産業移転の地ならしにもなる。

 (新華網 7月21日)