石炭化学工業はこれまでの過熱的発展を経て、油価の下落や国内環境保護標準の引き上げに伴い、新たな発展サイクルに入っている。

　7月7日、国家能源局は《石炭由来燃料焼実証工作の規範化に関する指導意見》案の第2回意見募集版を公示した。同意見書案は、石炭由来燃料実証事業の穏当な推進とともに、実証事業に対して現行の標準の中で最も厳しい環境保護標準かもしくはそれよりも厳しい標準を適用するとしている。

　陝西省の石炭化学企業の関係者は次のように表明した。企業の投資スピードが下がり、一部事業は経済性を失い、一時停止になった事業も多い。汚染環境と水資源管理という大きな背景の下で石炭由来燃料実証事業の環境保護標準がさらに突出することになれば、事業の大多数は停頓する。エネルギー関連の第13次5ヵ年規画が目下策定中であり、石炭化学工業も新たな時代に進むだろう。

　2014年末時点で建設中及び計画中のSNG(石炭ガス化)事業は50件前後に上り、主に石炭資源が豊かな西部地区に分布している。企業が計画している事業も加えると、民間機関の概算では、新疆と内蒙古のSNG生産能力は2,000億m3を超えることになり、2014年の国内天然ガス消費量を上回る。

　しかし、前出の関係者によると、事業の大多数は着工が不可能になる。昨年の油価下落以降に稼動した石炭化学工業は主にメタノール製品事業であるが、いずれも経営状況は芳しくない。

　油価の下落に伴い、国内炭価格も今年に入ってから下落を続けている。石炭価格の下落幅が油価の下落幅を超えることになれば、石炭化学工業の経済性も下がる。

　石炭化学事業の多くは自前の炭鉱から石炭を供給する形であり、FSにおいて石炭価格はいずれも低く見積もられており、石炭価格の下落は問題にならないが、環境保護は絶対的な指標であり、どの企業も政策に逆行することは出来ない。しかし、全ての企業が石炭化学工業を止めるわけにもいかない。産業チェーン全体において価格変動によるリスクの分散を図り、石炭転化効率を高め、新たな技術と工程の路線を模索して、標準の引き上げや収益の縮小に対応しなければならない。

（和訊網 7月22日）