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中国
【石油・天然ガス】

天然ガス価格改革を適時推進せよ (15/08/03)
2015/8/5
中国【石油・天然ガス】

 国家発展改革委員会経済運行調節局が発表した統計によると、2015年上半期の中国の天然ガス生産量は656億m3、前年同期比3.8%増になったが、天然ガス消費量は906億m3、伸び率は2.1%で、以前の20%近い伸び率からすれば、著しい減速になった。

 このような変化は何よりも中国経済の下振れ圧力の拡大、過剰生産能力の消化の必要や需要不振と大きく関係している。加えて、石油と石炭の価格が数年来の最低水準に下がり、一部企業が価格の安い石炭を選択していることもある。もう一つの原因として、ここ数年、天然ガス価格改革が推進中であることが挙げられる。中国の天然ガス価格は2013年と2014年の2回にわたる改定を経て、2014年4月には「存量ガス」(2012年の実際の 使用量)と「増量ガス」(012年の実際使用量からの増加分)価格の一本化を実現し、同時に需要家への直接供給用ガス価格を試験的に自由化した。しかし、相対的に市場化が進んだ石油製品価格とは異なり、天然ガス価格は依然政府の決定に依拠しており、市場化が遅れている。化石エネルギーの中で天然ガスはより効率的でクリーンなエネルギーである。中国の天然ガスは民生用以外には主に天然ガス発電と化学工業用原料にも利用されている。ここ数年は価格の逆さやが大きかったため、天然ガス企業は殆どが深刻な赤字であり、そのため改革を進めることが急務になった。

 《エネルギー発展戦略行動計画(2014〜2020年)》は、2020年の天然ガス消費のシェアを10%以上にして3,600億m3に拡大することを打ち出している。この目標を実現するためには、改革によって価格形成の仕組みを合理的なものにし、市場の力を利用して資源配置を調節しなければならない。

 主要先進国では電力設備に占めるガス発電の比率はいずれも20%を超えているが、中国ではわずか5%前後に過ぎず、速やかに天然ガス発電を推進することが求められる。また、天然ガス、シェールガスや炭層ガスは中国では探査の程度が石油に比べると低く、まだまだ余地が大きい。価格の仕組みを合理的なものにすることで天然ガス消費を促進することは、天然ガスの探査開発を推進し、エネルギーの自主性と安全性を高めることにもつながる。中国の天然ガスの市場化にとって今年が鍵になる。エネルギー価格が低い水準にあるチャンスを生かして、天然ガス価格改革を適時推進し、天然ガス価格が市場の変化をより正確に反映できるようにしなければならない。季節性差別価格や供給中断可能価格など差別価格政策を確立し、価格の梃子としての作用を十分発揮させて、天然ガス価格が政府公定価格から市場価格へと平穏に移行するよう、その実現を図るのである。

 (人民網 8月3日)