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【石炭】

人民元切り下げで中国が石炭輸入国から輸出国へ転換の可能性も (15/08/18)
2015/8/25
中国【石炭】

 人民元の切り下げによって、供給過剰の世界の資源商品市場が再び痛手を負う可能性がある。なぜなら、今回の中国の予想外の措置によって中国が世界最大の石炭輸入国から純輸出国へ転換する可能性が出てきたからである。これは世界の石炭価格にとって助けにはならない。石炭価格はすでに10年来の最低レベルにある。

 これまでは、主要産炭国の通貨が米ドルに対して下落していた一方、人民元は堅調を維持し、そのため中国の石炭輸出の競争力が弱く、中国は引き続き石炭を輸入するというのが大方の予想であった。

 しかし、一連の軟調な経済統計に直面した中国は人民元の切り下げを発表し、中国が不公平な形で輸出面の優位を得ることは非難の的になった。中国人民銀行は、人民元為替レートが持続的に下落する基礎は存在しないと表明したが、市場はさらなる下落の可能性も予想している。

 すでに2015年の中国の石炭輸入量は大幅に減少している。これは政府が石炭火力発電の環境に及ぼす影響を懸念しているとともに、困難に陥った国内炭鉱を救済する意向があるためである。中国の石炭産業は国内の一次エネルギー需要の65%を賄い、就業者数は600万人に上るが、発電、セメント、鉄鋼等の産業が鈍化しており、スモッグ対策も石炭産業に打撃を与えている。

 「中国の主要目標は何よりも国内石炭産業を安定させることだ。しかし、こうした面で進展があり、人民元切り下げも重なると、中国の石炭輸出の可能性は高まる」と、マッコーリー銀行アナリストのStefan Ljubisavljevic氏は言う。
 
 もっとも当面の人民元の下落幅では輸出が急増することはない。
 
 光大証券のTang Jiabin氏によると、人民元の切り下げが石炭輸出に及ぼす影響は大きいものではなく、中国の石炭輸出は輸入に比べると微々たるものに過ぎない。しかしながら、輸入炭価格がさらに高くなると、国内石炭企業の価格引き下げ圧力が緩和されることにつながる。

 華安先物の産業アナリストWang Fei氏は「価格の点から見ると、人民元の切り下げは国内炭価格に若干の上昇をもたらす可能性が高い。そのため、全体的には石炭産業にとって有利である。このような影響は漸進的なプロセスになるだろう」と指摘する。

 (鳳凰網 8月18日)