最新電力統計によると、2015年上半期の全国電力消費量は2兆6,624億kWh、前年同期比1.3％増、6月の電力消費量は4,723億kWh、前年同月比1・8％増であり、電力消費量は安定回復を示している。

　しかし、発展改革委員会の統計によると、2015年上半期の石炭生産量は17億8,900万トン、前年同期比5.8％減になり、減少幅は2014年の通年の2倍に拡大した。

　これまで石炭消費・生産統計と緊密に連動していた発電量は0.6％の微増になったが、石炭を主とする火力発電は前年同期比で3.2％下がった。

　こうしたデータの乖離について、業界関係者はエネルギー構造の調整が関連していると指摘する。

　中国は世界最大の石炭生産・消費国であり、石炭の一次消費は中国経済の成長に巨大な作用を発揮してきた。

　一方、火力発電企業は石炭を最も主要な燃料とし、発電コストの中で石炭が60〜70％を占める。

　BP《世界エネルギー統計年鑑》2015年版によると、2014年の世界経済の成長率は2013年並みであったが、一次エネルギー消費の伸び率が著しく下がり、世界の石炭生産量は0.7％下がった。中でも減少幅が大きかったのが中国であり、2.6％の減少になった。

　卓創資訊のアナリストである劉杰氏は《中国産経新聞》の取材に対し、「中国の石炭消費は主に電力事業向けで、石炭の60％は発電に利用される。しかし、石炭火力発電は粗放な燃焼のため、エネルギー利用効率はわずか30〜50％に過ぎない」と指摘する。

　一次エネルギーとしての石炭は石油や天然ガス等に比べ、二酸化炭素、二酸化硫黄、窒素酸化物、粒子物（粉煙塵やPM2.5）、水銀等の重金属など汚染物排出が大きい。

　「石炭資源は付加価値が低く、使用による環境汚染も深刻だ。中国は目下一次エネルギー消費に占める石炭のシェアを引き下げるよう努めている。風力発電、原子力等のクリーン・エネルギーを拡大している」と中宇資訊のアナリストである関大利氏は言う。

　実際、世界の人口と経済規模の持続的な増加に伴い、石炭など炭素含有の高いエネルギーが環境にもたらす問題に対する認識が高まり、こうしたエネルギーの過度の消費が引き起こす温暖化や大気汚染等の問題も人々の正常な生活環境に影響を与え、生態バランスを破壊する。

　「石炭を主とする旧来の資源消費モデルから石油・天然ガス資源を特徴とするエネルギーモデルへと徐々に転換しつつある」と卓創資訊のアナリスト劉新偉氏は述べ、ソーラーや原子力等の新型エネルギーが未来の主力になるだろう」と指摘する。

　中国電力企業聯合会の統計によると、2015年上半期の全国主要電力網の発電量は前年同期比0.6％増加したが、火力発電は3.2％のマイナスになった。また、大唐国際発電の発表によると、2015年上半期の火力発電設備の発電量は前年同期比5.19％減少した。

　こうした点について、業界関係者は、国際液な炭素排出削減情勢と国内の経済成長の二重の圧力を受けて低炭素戦略は必然の成り行きになると分析する。再生が不可能なエネルギーの消費を減らし、クリーンな再生可能エネルギーの開発ち利用に力を入れることは今や中国のエネルギー発展の重要な一部になっている。同時に石炭消費量を減らし、クリーン・エネルギーの供給ルートと利用を広げることも国のエネルギー戦略に組み込まれている。

　2013年9月、国務院は《大気汚染防止行動計画》を公布し、2017年にはエネルギー消費総量に占める石炭の比率を65％以下に下げることを打ち出した。北京・天津・河北や長江デルタ、珠江デルタ等の地域は石炭消費総量のマイナス成長を目指しており、石炭需要の空間はますます圧縮されることになる。

　また、国務院が2014年末に公布した《エネルギー発展戦略行動計画2014〜2020年》は、中国のエネルギー構造最適化の道筋として、石炭消費の比重の引き下げと天然ガス消費の比重の引き上げ、風力発電、ソーラー、地熱エネルギー等の再生可能エネルギーの発展、原子力発電の安全な発展を掲げている。2020年までに一次エネルギーに占める非化石エネルギーの比率を15％に高め、天然ガスの比率を10％以上にするとともに、石炭消費の比重を62％以下に抑える。残りの13％は石油になる。

　中国のエネルギー構造調整については、主に次の3点が方向性になるというのが業界の普遍的な見方である。第1に、低炭素・非化石エネルギーの比重を高め、化石エネルギーの比重を引き下げる。第2に、化石エネルギーの中でも石油と天然ガスの比重を高め、石炭の比重を引き下げるとともに、化石エネルギーのクリーン化を実現する。第3に、水力発電、原子力発電、ソーラー発電、バイオマス発電の比重を高め、石炭火力発電の比重を引き下げる。

　（中国産経新聞 8月18日）