第18期共産党中央委員会第5回全体会議が近づく中、第13次5ヵ年規画エネルギー戦略ロードマップが徐々に明確になってきた。経済の「新常態」(ニューノーマル)の下、中国国内におけるエネルギー発展戦略の重点は規模の拡大からシステムの最適化にシフトする。石炭の規制、石油の安定、風力・太陽光発電の拡大が基本的な考え方になり、エネルギーの価格改革と体制改革も加速される。電力と石油・天然ガス分野が主要対象になり、すでにスタートしている電力体制改革が実質的に進展し、関係文書も近日中に公布される見通しである。 対外戦略の調整も進められ、資源の獲得に止まらず、第13次5ヵ年規画期においては、「一帯一路」戦略を支えに、世界のエネルギー管理に参画し、国際的発言権の強化を図るとともに、設備生産能力の「走出去」(対外進出)とインフラの相互連結を実施する。 石炭の抑制と石油・天然ガスの安定化によって環境保護を促進 経済発展の「新常態」の下で、エネルギー産業構造にも劇的な変化が生じ、部分的に再形成される可能性もある。 第12次5ヵ年規画期は経済発展がエネルギー需要の急拡大を牽引し、エネルギー産業は規模の拡大と供給確保を最重要目標としていた。しかし、経済成長の鈍化に伴って、エネルギー需給は過剰に転じ、価格の下落がもたらされており、そのため、システムの最適化及び質と効率の向上が次第に重点になりつつある。 国家発展改革委員会エネルギー研究所の高世憲副所長は次のように指摘する。中国の環境キャパシティはほぼ極限に達し、スモッグの深刻化や構造の非合理などエネルギーの発展は重大なチャレンジに直面している。2014年の石炭消費の比重は66%に達し、世界の47.7%を占めた。しかも、エネルギーの利用は粗放であり、総合エネルギー効率は40%足らずでしかない。技術イノベーション能力は不十分であり、ガスタービンや電力・電子等のコアテクノロジーの面で国外との格差は大きい。 また、科学技術部ハイテク司エネルギー処の鄭方能処長は次のように表明した。第13次5ヵ年規画期は安全、クリーン、高効率、低炭素の現代的エネルギー体系を構築する。最優先の任務は石炭消費の抑制であり、2020年には一次エネルギー消費に占める石炭の比率を62%以下に抑えるとともに、クリーン・コールの利用を強化し、現代的石炭化学工業を適度に発展させる。 石油・天然ガスについては、石炭に代わる重要エネルギーとして安定的開発を維持する。2020年の天然ガス供給を4,000億m3とするというのが従来の計画であるが、当面の石油・天然ガス消費の伸び悩みで、目標は下方修正される恐れがある。シェールガスと海洋石油・天然ガスの探査開発が重視される。 第13次5ヵ年規画期における電力発展はグリーン化、スマート化、市場化が主軸になる。中国電力企業聯合会の欧陽昌裕副事務局長は次のように表明した。電力事業の年間の着工・稼動規模を合理的に抑制し、徐々に減少させる。同時に構造の最適化を進め、水力発電、原子力発電、風力発電、太陽光発電の比重を適正に高めるとともにピーク調整用電源と電力グリッドの建設を強化する。2015〜2020年の中国の配電網の建設改修投資は2兆元以上になり、省・自治区に跨る送電ルートの建設も増やす。 2020年の太陽光発電目標は以前の1億kWから1.5億kWに上方修正されたことはすでに明らかになっている。第13次5ヵ年規画期には中部・東部地区の分散型太陽光発電と西部地区の太陽光発電所の大規模化に向けた発展を加速させる。風力発電の市場規模も第12次5ヵ年規画期を下回ることはない。電力受入を制限していない地区ではシーリングを設けず、また、技術進歩に力を入れてコストを下げる。風力発電事業の市場参入を簡略化し、電力体制改革の実施によって風力発電の運営環境を改善する。 体制改革と価格改革の加速 エネルギー体制改革と価格改革も全面的に加速させる。送配電価格改革、電力市場建設、電力取引機関の組織と運営、発用電計画の自由化、電力小売サイドの改革、自家発電所の監督管理を対象に6つの重要政策文書が近日中に公布される。競争的売電業務の開放や電力小売公司への参入条件が規定されることになる。また、国家発展改革委員会の連維良副主任によると、送配電価格実験を今後拡大するとともに、一部の省・市において総合電力体制改革実験や再生可能エネルギー受入実験、電力小売サイド体制改革実験を展開する。 石油・天然ガスについては、国家発展改革委員会と能源局の《石油・天然ガス体制改革全体方案》が年末公布される見通しである。第13次5ヵ年規画期には石油・天然ガス産業の上流と下流の主要プロセスを対象に市場化に向けた改革を進め、探査開発や輸入の自由化、パイプライン網の独立を進めるともに、市場による価格決定の仕組みを形成する。 「一帯一路」の対外エネルギー協力 科学技術部ハイテク司エネルギー処の鄭方能処長は次のように説明する。世界の政治、経済とエネルギー発展が変化する環境においては、開放的で新しいタイプのエネルギー安全観が求められる。「一帯一路」の戦略部署をめぐって、エネルギー外交とグローバルなエネルギー管理を前向きに展開する。国内と国外の2つの市場に立脚しつつ、国外市場、特に国際協力を強化し、国外からの導入と国外への進出を進める。 国家発展改革委員会エネルギー研究所の高世憲副所長も次のような見方を示す。これまで中国のエネルギー戦略計画の多くは石油戦略備蓄と輸入の多元化によるエネルギー戦略を考慮し、対外進出は資源獲得を目的とするものであったが、今後はこうした点は薄れ、「一帯一路」のエネルギー協力の主要目的は世界のエネルギー管理への参加とエネルギーをめぐる発言権の土台を構築することが目的になる。加えて、設備生産能力の輸出とインフラの相互連結も目的になる。 (経済参考報 10月19日)
第18期共産党中央委員会第5回全体会議が近づく中、第13次5ヵ年規画エネルギー戦略ロードマップが徐々に明確になってきた。経済の「新常態」(ニューノーマル)の下、中国国内におけるエネルギー発展戦略の重点は規模の拡大からシステムの最適化にシフトする。石炭の規制、石油の安定、風力・太陽光発電の拡大が基本的な考え方になり、エネルギーの価格改革と体制改革も加速される。電力と石油・天然ガス分野が主要対象になり、すでにスタートしている電力体制改革が実質的に進展し、関係文書も近日中に公布される見通しである。
対外戦略の調整も進められ、資源の獲得に止まらず、第13次5ヵ年規画期においては、「一帯一路」戦略を支えに、世界のエネルギー管理に参画し、国際的発言権の強化を図るとともに、設備生産能力の「走出去」(対外進出)とインフラの相互連結を実施する。
石炭の抑制と石油・天然ガスの安定化によって環境保護を促進
経済発展の「新常態」の下で、エネルギー産業構造にも劇的な変化が生じ、部分的に再形成される可能性もある。
第12次5ヵ年規画期は経済発展がエネルギー需要の急拡大を牽引し、エネルギー産業は規模の拡大と供給確保を最重要目標としていた。しかし、経済成長の鈍化に伴って、エネルギー需給は過剰に転じ、価格の下落がもたらされており、そのため、システムの最適化及び質と効率の向上が次第に重点になりつつある。
国家発展改革委員会エネルギー研究所の高世憲副所長は次のように指摘する。中国の環境キャパシティはほぼ極限に達し、スモッグの深刻化や構造の非合理などエネルギーの発展は重大なチャレンジに直面している。2014年の石炭消費の比重は66%に達し、世界の47.7%を占めた。しかも、エネルギーの利用は粗放であり、総合エネルギー効率は40%足らずでしかない。技術イノベーション能力は不十分であり、ガスタービンや電力・電子等のコアテクノロジーの面で国外との格差は大きい。
また、科学技術部ハイテク司エネルギー処の鄭方能処長は次のように表明した。第13次5ヵ年規画期は安全、クリーン、高効率、低炭素の現代的エネルギー体系を構築する。最優先の任務は石炭消費の抑制であり、2020年には一次エネルギー消費に占める石炭の比率を62%以下に抑えるとともに、クリーン・コールの利用を強化し、現代的石炭化学工業を適度に発展させる。
石油・天然ガスについては、石炭に代わる重要エネルギーとして安定的開発を維持する。2020年の天然ガス供給を4,000億m3とするというのが従来の計画であるが、当面の石油・天然ガス消費の伸び悩みで、目標は下方修正される恐れがある。シェールガスと海洋石油・天然ガスの探査開発が重視される。
第13次5ヵ年規画期における電力発展はグリーン化、スマート化、市場化が主軸になる。中国電力企業聯合会の欧陽昌裕副事務局長は次のように表明した。電力事業の年間の着工・稼動規模を合理的に抑制し、徐々に減少させる。同時に構造の最適化を進め、水力発電、原子力発電、風力発電、太陽光発電の比重を適正に高めるとともにピーク調整用電源と電力グリッドの建設を強化する。2015〜2020年の中国の配電網の建設改修投資は2兆元以上になり、省・自治区に跨る送電ルートの建設も増やす。
2020年の太陽光発電目標は以前の1億kWから1.5億kWに上方修正されたことはすでに明らかになっている。第13次5ヵ年規画期には中部・東部地区の分散型太陽光発電と西部地区の太陽光発電所の大規模化に向けた発展を加速させる。風力発電の市場規模も第12次5ヵ年規画期を下回ることはない。電力受入を制限していない地区ではシーリングを設けず、また、技術進歩に力を入れてコストを下げる。風力発電事業の市場参入を簡略化し、電力体制改革の実施によって風力発電の運営環境を改善する。
体制改革と価格改革の加速
エネルギー体制改革と価格改革も全面的に加速させる。送配電価格改革、電力市場建設、電力取引機関の組織と運営、発用電計画の自由化、電力小売サイドの改革、自家発電所の監督管理を対象に6つの重要政策文書が近日中に公布される。競争的売電業務の開放や電力小売公司への参入条件が規定されることになる。また、国家発展改革委員会の連維良副主任によると、送配電価格実験を今後拡大するとともに、一部の省・市において総合電力体制改革実験や再生可能エネルギー受入実験、電力小売サイド体制改革実験を展開する。
石油・天然ガスについては、国家発展改革委員会と能源局の《石油・天然ガス体制改革全体方案》が年末公布される見通しである。第13次5ヵ年規画期には石油・天然ガス産業の上流と下流の主要プロセスを対象に市場化に向けた改革を進め、探査開発や輸入の自由化、パイプライン網の独立を進めるともに、市場による価格決定の仕組みを形成する。
「一帯一路」の対外エネルギー協力
科学技術部ハイテク司エネルギー処の鄭方能処長は次のように説明する。世界の政治、経済とエネルギー発展が変化する環境においては、開放的で新しいタイプのエネルギー安全観が求められる。「一帯一路」の戦略部署をめぐって、エネルギー外交とグローバルなエネルギー管理を前向きに展開する。国内と国外の2つの市場に立脚しつつ、国外市場、特に国際協力を強化し、国外からの導入と国外への進出を進める。
国家発展改革委員会エネルギー研究所の高世憲副所長も次のような見方を示す。これまで中国のエネルギー戦略計画の多くは石油戦略備蓄と輸入の多元化によるエネルギー戦略を考慮し、対外進出は資源獲得を目的とするものであったが、今後はこうした点は薄れ、「一帯一路」のエネルギー協力の主要目的は世界のエネルギー管理への参加とエネルギーをめぐる発言権の土台を構築することが目的になる。加えて、設備生産能力の輸出とインフラの相互連結も目的になる。
(経済参考報 10月19日)