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【電力】

5年後には中国の火力発電設備が2億kW過剰 (15/11/23)
2015/11/23
中国【電力】

 許認可済みの石炭火力発電設備2.83億kWhが2020年までに全て稼動すると、石炭火力発電の過剰生産能力は2億kWに達し、過剰投資規模は中国のGDPの1%に当たる7,000億元に上る。

 中国経済が「新常態」に進み、電力需要の伸びが相対的に下がり、中国は電力過剰時代に入る。しかしながら、新規火力発電設備の伸びはすぐには下がらない。

 11月18日、国際環境保護組織グリーンピースと華北電力大学経済管理学院が共同で発表した《中国石炭火力発電の生産能力過剰と投資バブルの研究》は次のように指摘している。2012〜2014年に環境アセスメントにパスした石炭火力発電事業は1.6億kW、2015年1〜9月に承認された石炭火力発電事業は1.23億kW超になる。これら石炭火力発電設備合計2.83億kWが2020年までに全て稼動した場合、第13次5ヵ年規画期の5年間で2億kWの設備過剰が発生し、1kW当たりの建造費を3,500元として計算すると、7,000億元の投資が無駄に費やされることになる。これは2014年の中国のGDPの1%に相当する。

 「統一的な電力計画の欠如が投資乱立の現象をもたらした根本原因だ。特に許認可権を地方に移管してから後のことだ」と今回のレポートの主要執筆者である袁家海華北電力大学経済管理学院副教授は言う。

 2014〜2015年3月、在来型石炭火力発電事業の許認可権は国家能源局、国家発展改革委員会、環境保護部から次々と省クラス政府に移管され、許認可が進められた。「行政の簡素化と向上を意図した措置は、今では各省、特に石炭に高度に依存する省がGDP成長率を維持するための唯一の手立てになった」とレポートは指摘する。

 2014年の全国石炭火力発電設備の平均利用時間数は1978年以来の最低を記録したが、電力業界はこのシグナルを重く受け止めることなく、火力発電の建設規模は依然拡大を続けた。袁家海副教授は次のように指摘する。もしこのような非理性的な発展を制御できなければ、石炭火力発電の生産能力に顕著なバブルが発生する。石炭火力発電企業の経済収益は大幅に悪化し、第13次5ヵ年規画期は火力発電企業にとって苦難の5年間になる可能性がある。これまでは政府が売電価格を決定し、設備と発電量があれば収入を確保できたが、電力体制改革以降には火力発電企業のこうした「ボーナス」は大幅に圧縮される。一部の地方ではすでに電力直接取引の実験を展開しており、例えば甘粛省では電力価格は大口需要家と発電所の交渉によって決まるようになった。電力過剰状況の下では、電力価格は非常に低く抑え込まれ、発電サイドの競争はますます熾烈になる。実際の売電価格は、政府が現在認可している原子力発電の電力価格を下回ることになる。

 グリーンピースは、第13次5ヵ年規画期は石炭火力発電所の建設を認可しないこと、石炭火力発電所の着工を調整すること、各省が第13次5ヵ年電力発展規画に従って管理の最適化を進めること、許認可済みの石炭火力発電所の合理的な建設計画については状況変化を見定めて闇雲な着工を避けること、電力投資の分析と警告の仕組みを確立し所管部局は実際の電力需要の増加と電源建設の状況に基づいて地域電力市場の展望と分析レポートを公表し、投資リスクに対して直ちに警告することなどを提言した。

 (中国能源網 11月23日)