中国核工業集団（中核集団）はスロバキアと原子力をめぐる協力でMOUに調印したが、同国の国営電力会社の株式を買収する意向もある。

　蘇州で開かれた中国−中東欧指導者第4回会談の会期中に、中核集団の黄敏剛総経済師がスロバキアのVUJE社と《核燃料サイクル産業チェーンをめぐる全面的協力の展開に関する了解覚書》に調印した。

　今回のMOU調印によって、中国とスロバキアの原子力産業チェーンをめぐる協力は新たなステージに進むことになる。中核集団が国の「一帯一路」イニシアチブと原子力産業チェーンの「走出去」（対外進出）戦略を実施する上で重要な成果になる。

　さらに注目すべきは、黄敏剛総経済師がスロバキアのフダーク経済相並びにVUJEのPeter Liska社長と会談し、スロバキア電力公社(Slovenske Elektrarne)への出資、原子力発電所の保守、使用済み核燃料処理等の協力についても意見交換し、フダーク経済相が「中核集団が引き続きスロバキアにおいて事業を拡大するよう希望する」と表明したことである。

　英国メディアの今年6月の報道によると、スロバキア電力公社のStarace CEOは中核集団がスロバキア電力公社の株式を買収する意向を有していると表明し、「中核集団からは未だ価格オファーはないが、中核は必ず資本参加すると思う」と述べていた。

　スロバキア電力公社の株式の66％はイタリアENI社が保有し、残りの34％はスロバキア政府が保有しているが、赤字と戦略調整を理由にENI社は持ち株を売却する意向であり、以前はロシアと接触していたが、現在はチェコ電力公社(CEZ)と交渉を進めている。ENIは30億ユーロで契約をまとめるよう希望している。

　スロバキア電力公社は原子力発電所2ヵ所、火力発電所3ヵ所、ソーラー発電所2ヵ所、水力発電所35ヵ所を保有し、その発電量はスロバキアの電力市場の8割を占めている。

　（一財網 11月26日）