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【エネルギー全般・政治経済】

【エネルギー第13次5ヵ年規画】石炭火力発電所の総量を規制へ (15/11/27)
2015/12/2
中国【エネルギー全般・政治経済】

 11月26日、国家発展改革委員会と国家能源局は《電力事業許認可権移管後における適正な計画・建設関連工作に関する通達》を示達し、国家能源局が電力規画管理弁法を制定して国家電力発展5ヵ年規画の策定、実施、評価、調整、監督管理に関する要件を明確にすることを打ち出した。

 同通達は次のような要求を提示している。電力規画の指導的役割を発揮して、国と地方の電力発展規画を統一的に立案する。国家電力発展5ヵ年規画は各地区の予想電力需要水準、非化石エネルギー開発目標、省間の送受電能力、火力発電建設の規模及び配置、電力グリッド発展の全体方針及び重点建設任務等を確定する。国家発展改革委員会と能源局は重大な変化に応じて石炭火力発電所の総量規制目標を速やかに改訂する。

 エネルギー発展第12次5ヵ年規画においては石炭火力発電設備の目標が過度に高すぎたという問題があったが、上述の措置はこうした問題を念頭に置きつつ、中国経済の新常態に起因する電力消費量の伸びの鈍化に適応しようとするものである。

 華北電力大学エネルギー電力経済研究センターの曾鳴主任の分析によると、発展改革委員会と能源局が行政権限の簡略化に伴い事業を計画によって誘導するという考え方を明確にしていることが今回の通達から読み取ることが出来る。通達は年度毎の石炭火力発電所総量規制目標を設定することで、火力発電事業許認可権の移管によってもたられる火力発電設備の過剰と資金の浪費を避けようとしている。

 実際、火力発電事業の許認可権を移管された地方政府、特に山西、陝西、貴州等の石炭資源地区の企業は火力発電事業投資に駆り立てられることになり、これらの省では石炭化学事業や石炭火力発電事業の急速な拡大をめぐって論争や懐疑が絶えることがない。信達証券エネルギー産業首席アナリストである曹寅氏は「今年1〜10月における石炭火力発電の新規発電能力は4,336万kWに上り、引き続き多くの地区で石炭火力発電設備が追加される。こうした傾向を抑えなければ、2017〜2018年に中国の石炭火力発電設備過剰問題は極めて深刻なものになって、石炭火力発電企業の収支は大幅に悪化するだろう」と指摘する。

 11月18日に華北電力大学が発表した《中国の石炭火力発電能力の過剰と投資バブル》というレポートによると、中国の計画・建設中の石炭火力発電所が2020年までに全て稼動すると、約2億kWの設備過剰になって7,000億元の投資ロスが生じ、火力発電設備の平均利用時間は3,800時間にまで下がる。

 業界関係者が明らかにしたところによると、エネルギー発展第13次5ヵ年規画の提出作業が来年3〜5月に展開されることになる。規画の戦略指針はほぼ確立しており、主にエネルギー消費総量規制、クリーン・エネルギー開発の強化、クリーン・コール、エネルギー体制改革に集約される。

 投資の面では今後5年間、クリーン・エネルギーに発展のチャンスが訪れる。「エネルギー構造調整や省エネ・排出削減の目標を見る限りでは、風力発電と太陽光発電が徐々に火力発電に取って代わるようになる」と中国風力協会の秦海岩事務局長は指摘する。

 (中国電力網 11月27日)