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【エネルギー全般・政治経済】

石炭の未来は超低排出石炭火力発電にあり (15/12/08)
2015/12/12
中国【エネルギー全般・政治経済】

 12月2日の国務院常務会議において、李克強首相は「絶対任務」を明確にした。すなわち、2020年までに石炭火力発電設備の超低排出と省エネに向けた改修を全面的に実施し、老朽化生産能力や標準に適合しない設備は断固として撤廃、閉鎖せよというものである。

 国務院常務会議は、2020年までに石炭火力発電設備の超低排出と省エネに向けた改修を全面的に実施すること、現役の発電所の1kWh当たり平均の石炭消費を310g以下、新規建設の発電所については300g以下とすること、東部地区はこの目標を2017年に前倒しで達成し、中部地区は2018年までに達成することを決定した。同時に第13次5ヵ年規画において全ての石炭火力発電設備に対して単位当たりエネルギー消費のボトムラインを満たすよう義務付けるとした。李首相は、「平均指標」だけでなく「ボトムライン」も必要であると指摘し、第13次5ヵ年規画に合わせてボトムラインを制定し、基準に適合しないものは断固として撤廃しなければならないと述べ、核心問題は石炭消費を引き下げることであるとした。
 
 専門家は李首相の発言について次のようにコメントしている。

 環境保護部総量規制司長劉江:石炭火力発電の超低排出については国務院常務会議が《行動計画》をベースにより高い要求を打ち出している。現役石炭火力発電設備の超低排出に向けた改修は東部地区のみならず中部地区へと広がり、東部と中部の改修スケジュールも大幅に前倒しされ、従来の2020年から東部は2017年、中部は2018年末になった。東部地区の10万kW以上の石炭火力発電設備は2017年末までに超低排出を実現し、中部地区の30万kW以上の設備は2018年末までに実現しなければならない。

 中国科学院環境科学研究院長柴発:李首相の発言はポジティブなシグナルであり、国務院のスモッグに対する固い決意を体現している。各地方は超低排出の推奨と普及を進めるため、超低排出基準を満たすとともに業績審査にパスした石炭火力発電設備に奨励金、電力価格補助金、発電量の面でインセンティブを行うことになる。石炭火力発電設備の超低排出改修に対する監督管理を強化し、持続的な超低排出の実現を確保して、石炭火力発電所が超低排出を名目に政府の補助金を騙し取るようなことは防止しなければならない。
清華大学熱エネルギー系教授姚強:現在、国はスモッグ対策と地球気候変動対応に前向きに取り組んでおり、今回提唱された行動措置もここ数年、一貫して実施されてきた政策だ。

 超低排出とは一般に排煙中の粒子物の排出濃度が10mg/m3以下、二酸化硫黄が35mg/m3以下、窒素酸化物が50mg/m3以下であることを指す。国が石炭火力発電事業で省エネと超低排出に向けた改修を全面的に推進すると、スモッグと炭素排出を一定程度引き下げることが出来る。但し、根本的には可及的速やかにエネルギー構造を改め、クリーン・エネルギーの供給を増やし、石炭使用方式を最適化することを要する。

 関係部門の試算によると、2020年に改修が完了すると、原炭を年間1億トン削減し、二酸化炭素を1.8億トン削減することが可能になる。また、電力事業の主要汚染物の排出総量を60%前後下げることが出来る。

 但し、業界関係者の試算によると、石炭火力発電設備の超低排出実施によって発電コストは0.02元/kWh増えて0.5元以上になるが、それでも天然ガス発電や風力発電、ソーラー発電のコストを下回る。相対的に言えば、石炭火力発電設備の超低排出に向けた改修は経済的に採算に合い、石炭火力発電のクリーン化はコストパフォーマンスの高い選択肢になる。

 (煤炭研究網 12月8日)