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【石炭】

神華集団が日本への石炭輸出を再開 アジア太平洋の石炭市場競争が激化も (15/12/17)
2015/12/24
中国【石炭】

 神華集団HPによると、12月9日、神華集団は日本の東北電力へ67,480トンの石炭を輸出した。今回の石炭の輸送は天津石炭埠頭から東北電力の「美波丸」によって行われた。

 石炭市況の低迷が続く中で、神華集団は新しい顧客を獲得しようとしている。業界関係者の分析によると、人民元の下落によって、中国が世界最大の石炭輸入国から純輸出国に転換する可能性が高まることになる。神華は輸出再開によって国内の生産能力過剰圧力を部分的に緩和することができるが、同時にアジア太平洋地区の石炭市場競争を激化させることにもなる。

 マッコーリー・グループのアナリストStefan Ljubisavljevic氏は中国が5年以内に石炭純輸出国になる可能性に言及していた。潜在輸出市場は日本、インド、韓国になる。

 神華集団の韓建国副総経理(副社長)は今年9月、神華が日本への石炭輸出を高度に重視し、日本市場を再開して石炭輸出規模を拡大する意向であると表明していた。また、山西省の大手石炭企業である同煤集団の靳華副総経理も今年4月、一般炭の輸出を増やす意向を示していた。

 今年8月末には日本の東北電力など主要電力会社の代表が神華集団を訪問し、神華の石炭の安定した品質や供給の安全性を高く評価して、神華の石炭の使用規模を徐々に拡大したいと表明した。

 日本の貿易業者によると、神華は2000年頃に日本の発電所向けに年間1,000万トンの一般炭を輸出していたが、ここ3年は輸出していない。神華は現在、日本の発電所向けに石炭輸出を再開することを希望している。

 神華集団の上場企業である中国神華の統計によると、今年1〜10月の中国神華の石炭輸出は90万トン、前年同期比35.7%減になった。税関統計によると、中国の1〜11月の石炭輸出は合計489万トン、前年同期比12.2%増になった。

 業界関係者によると、日本、韓国、台湾の石油輸入量は安定しているが、オーストラリア炭が優位を占めている。神華が輸出を増やすには豪州炭と競争しなければならないが、豪州炭価格は依然下落が続いている。

 別の分析によると、神華の輸出再開は中国の政策指針を示すものであり、中国は現在石炭輸出を奨励している。神華が輸出を回復すると、国内石炭市場に一定のプラス影響を及ぼし、国内の過剰生産能力の圧力を部分的に緩和することになるが、アジア太平洋地域の石炭市場競争を激化させる結果にもなる。現在、日本や韓国等の需要国は主にオーストラリアとインドネシアから輸入している。もし中国の石炭が価格優位をもって輸出できるようになれば、アジア太平洋、延いては世界の石炭価格が一段と下がるに違いない。

 (中商情報網 12月17日)