2016年全国エネルギー工作会議が12月29日に北京で開かれた。 努爾・白克力(Nur Bekri)国家能源局長は同会議において、2016年のエネルギー政策はエネルギー発展の質と収益を中心に据え、構造の最適化と産業のグレードアップを推進し、イノベーション発展能力の増強に力を入れ、クリーン・低炭素・安全・高効率の現代的エネルギー体系の構築に努めると表明した。 努爾・白克力局長は「国内外のエネルギー発展の新たな動向と新たな変化を総合的に分析すると、第13次5ヵ年規画期の中国のエネルギー発展は様々な矛盾と問題に直面する」と述べ、次の5つのチャレンジを挙げた。 第1に、在来型エネルギーの生産能力過剰ギャップが激化する。2015年1〜11月の鉄鋼産業の石炭消費は前年同期比3.2%減、電力消費は6.4%減になり、建材業界の石炭消費量も8.2%減少し、電力消費は8.4%減少した。石炭の生産能力過剰は長期化する可能性があり、電力過剰の兆しもますます鮮明になっている。原油の一次精製能力は7億トンを超え、生産能力の利用率は70%足らずでしかない。市場の動向と市場原理を蔑ろにして一面的に生産能力の拡張を追求するならば、今後生産能力過剰局面はさらに深刻化する。 第2に、エネルギーシステムの全体的な運営効率を向上させなければならない。エネルギーシステムのピーク調整能力は十分でなく、電力系統は火力発電のピーク調整に依存している。再生可能エネルギー電力の受入能力やシステムの効率は低く、汚染排出が大きい。天然ガスの貯蔵とピーク調整能力の建設が遅れている。 第3に、再生可能エネルギーの発展がボトルネックに直面している。「三北」(華北・西北・東北)地区の風力発電と太陽光発電の電力機会損失や西南地区の水力発電の電力機会損失問題がさらに悪化し、一部地区では風力発電の電力機会損失率が30%を超えている。西北地区では太陽光発電の電力機会損失も現れ始めた。第13次5ヵ年規画期には水力発電、風力発電、太陽光発電の設備規模がますます拡大し、再生可能エネルギー電力の受入はもっと大きい圧力に直面することになる。 第4に、末端エネルギー消費をクリーン・エネルギーに転換させることには困難が伴う。石炭や石油等の化石エネルギーから天然ガス、電力への転換を進めることは、省エネ・排出削減と構造の最適化を実現する上で重要な道筋になるが、天然ガスは価格やパイプライン網など体制的制約を受けており、市場は低水準の供給能力によって充足し、市場開拓の圧力が大きい。電力への転換もコスト、インフラ、キーテクノロジー等の制約に直面している。 第5に、資源と環境の制約問題がますます突出する。水資源と化石エネルギーの分布は逆であり、石炭と石油の主要生産地区は水不足地域に集中している。大型石炭基地14ヵ所のうち11ヵ所は水が不足し、水資源は今やエネルギーの発展にとって重大な制約要因になっている。大気汚染や気候変動対応をめぐる情勢も厳しい。スモッグはすでに高度の社会問題となっている。エネルギー構造の調整を急ぎ、クリーン・エネルギーの供給を増やすことが焦眉の急である。 3年間は新規炭鉱建設の許認可を停止 努爾・白克力局長は2016年の目標について次のように表明した。 2016年はエネルギー構造の最適化、エネルギー消費総量の有効な抑制、エネルギー供給保障能力の強化、エネルギー効率の向上を主要目標とする。 2016年には一次エネルギー消費に占める非化石エネルギーの比率を13.2%に高め、一方、石炭消費の比率を62.6%以下に引き下げる。天然ガス消費の比率は6.2%に高め、非化石エネルギー発電の比率を35.7%に高める。うち風力発電の比率を8.6%、ソーラー発電を3.9%とする。エネルギー効率の面では、火力発電所の1kWh当たりの石炭消費を標準炭換算で315gとし、前年比1g引き下げる。風力発電と太陽光発電の電力機会損失を大幅に減らす。 これら所定の目標を確実に達成するため、2016年には増量分の最適化と既存量の調整を統一的に計画し、クリーン・低炭素・安全・高効率のエネルギー供給体系の構築に努める。非化石エネルギーについては、風力発電とソーラーの発展を加速させる。准東、シリンゴル盟、晋北、張家口第3期など風力発電基地の計画と建設を推進し、洋上風力発電の発展も速やかに推進する。第1期100万kW規模の太陽熱発電実証事業の建設を推進して、中国に適した太陽熱発電の技術路線を模索する。2016年の風力発電新規設備は2,000万kW以上、太陽光発電新規設備は1,500万kW以上を目指す。同時に沿海部で一群の原子力発電事業の建設を平穏に推進し、CAP1400実証事業に着工する。 化石エネルギーについては、石炭火力発電所建設リスクの警告の仕組みを確立し、レッド警報とオレンジ警報の省については、新規石炭火力発電所の建設を禁止する。電力に余剰がある省については、実際の状況に応じて、許認可の条件を備えていない石炭火力発電事業を撤回するとともに、許認可を暫時停止する。許認可済みの石炭火力発電事業については建設を先送りする。同時に石炭の新規生産能力を厳しく規制し、2016年から3年間は新規炭鉱建設事業の許認可を停止する。また、石炭と炭鉱ガスの採鉱権の一本化を推進し、シェールガスと炭層ガスのボトルネックを打開して、大規模な開発と利用を推進する。 エネルギーのクリーンで効率的な利用を推進することはグリーン・低炭素発展の必然の道筋になる。2016年は原炭の選炭率を高め、石炭の水洗加工を強化し、灰分、硫黄分を下げ、石炭の質を改善する。石炭の分散消費に対する管理を強化する。再生可能エネルギーについては、利用方式を刷新し、再生可能エネルギー100%実証県の建設を推進して、風力発電による暖房と水素製造の実証を前向きに展開し、風力発電、太陽光発電等の再生可能エネルギーの現地における受入と利用の新たなビジネスモデルを模索する。 エネルギーの消費、供給、技術を根本的に変革するにはそれに応じた体制と仕組みを「土壌」にしなければならない。市場化に向けた改革を深化させる一方で、行政権限の簡略化と移管を強化して、政府自身の改革を加速させなければならない。引き続き電力体制総合改革実験と専門改革実験に取り組むとともに、石油・天然ガスの体制改革も着実に推進する。探査開発への参入やパイプライン輸送の分離など重点プロセスの改革を推進し、石油・天然ガスパイプライン網の公平な開放を促進し、石油・天然ガス価格の仕組みや市場参入の仕組みを完備する。 (匯能資訊 12月30日)
2016年全国エネルギー工作会議が12月29日に北京で開かれた。
努爾・白克力(Nur Bekri)国家能源局長は同会議において、2016年のエネルギー政策はエネルギー発展の質と収益を中心に据え、構造の最適化と産業のグレードアップを推進し、イノベーション発展能力の増強に力を入れ、クリーン・低炭素・安全・高効率の現代的エネルギー体系の構築に努めると表明した。
努爾・白克力局長は「国内外のエネルギー発展の新たな動向と新たな変化を総合的に分析すると、第13次5ヵ年規画期の中国のエネルギー発展は様々な矛盾と問題に直面する」と述べ、次の5つのチャレンジを挙げた。
第1に、在来型エネルギーの生産能力過剰ギャップが激化する。2015年1〜11月の鉄鋼産業の石炭消費は前年同期比3.2%減、電力消費は6.4%減になり、建材業界の石炭消費量も8.2%減少し、電力消費は8.4%減少した。石炭の生産能力過剰は長期化する可能性があり、電力過剰の兆しもますます鮮明になっている。原油の一次精製能力は7億トンを超え、生産能力の利用率は70%足らずでしかない。市場の動向と市場原理を蔑ろにして一面的に生産能力の拡張を追求するならば、今後生産能力過剰局面はさらに深刻化する。
第2に、エネルギーシステムの全体的な運営効率を向上させなければならない。エネルギーシステムのピーク調整能力は十分でなく、電力系統は火力発電のピーク調整に依存している。再生可能エネルギー電力の受入能力やシステムの効率は低く、汚染排出が大きい。天然ガスの貯蔵とピーク調整能力の建設が遅れている。
第3に、再生可能エネルギーの発展がボトルネックに直面している。「三北」(華北・西北・東北)地区の風力発電と太陽光発電の電力機会損失や西南地区の水力発電の電力機会損失問題がさらに悪化し、一部地区では風力発電の電力機会損失率が30%を超えている。西北地区では太陽光発電の電力機会損失も現れ始めた。第13次5ヵ年規画期には水力発電、風力発電、太陽光発電の設備規模がますます拡大し、再生可能エネルギー電力の受入はもっと大きい圧力に直面することになる。
第4に、末端エネルギー消費をクリーン・エネルギーに転換させることには困難が伴う。石炭や石油等の化石エネルギーから天然ガス、電力への転換を進めることは、省エネ・排出削減と構造の最適化を実現する上で重要な道筋になるが、天然ガスは価格やパイプライン網など体制的制約を受けており、市場は低水準の供給能力によって充足し、市場開拓の圧力が大きい。電力への転換もコスト、インフラ、キーテクノロジー等の制約に直面している。
第5に、資源と環境の制約問題がますます突出する。水資源と化石エネルギーの分布は逆であり、石炭と石油の主要生産地区は水不足地域に集中している。大型石炭基地14ヵ所のうち11ヵ所は水が不足し、水資源は今やエネルギーの発展にとって重大な制約要因になっている。大気汚染や気候変動対応をめぐる情勢も厳しい。スモッグはすでに高度の社会問題となっている。エネルギー構造の調整を急ぎ、クリーン・エネルギーの供給を増やすことが焦眉の急である。
3年間は新規炭鉱建設の許認可を停止
努爾・白克力局長は2016年の目標について次のように表明した。
2016年はエネルギー構造の最適化、エネルギー消費総量の有効な抑制、エネルギー供給保障能力の強化、エネルギー効率の向上を主要目標とする。
2016年には一次エネルギー消費に占める非化石エネルギーの比率を13.2%に高め、一方、石炭消費の比率を62.6%以下に引き下げる。天然ガス消費の比率は6.2%に高め、非化石エネルギー発電の比率を35.7%に高める。うち風力発電の比率を8.6%、ソーラー発電を3.9%とする。エネルギー効率の面では、火力発電所の1kWh当たりの石炭消費を標準炭換算で315gとし、前年比1g引き下げる。風力発電と太陽光発電の電力機会損失を大幅に減らす。
これら所定の目標を確実に達成するため、2016年には増量分の最適化と既存量の調整を統一的に計画し、クリーン・低炭素・安全・高効率のエネルギー供給体系の構築に努める。非化石エネルギーについては、風力発電とソーラーの発展を加速させる。准東、シリンゴル盟、晋北、張家口第3期など風力発電基地の計画と建設を推進し、洋上風力発電の発展も速やかに推進する。第1期100万kW規模の太陽熱発電実証事業の建設を推進して、中国に適した太陽熱発電の技術路線を模索する。2016年の風力発電新規設備は2,000万kW以上、太陽光発電新規設備は1,500万kW以上を目指す。同時に沿海部で一群の原子力発電事業の建設を平穏に推進し、CAP1400実証事業に着工する。
化石エネルギーについては、石炭火力発電所建設リスクの警告の仕組みを確立し、レッド警報とオレンジ警報の省については、新規石炭火力発電所の建設を禁止する。電力に余剰がある省については、実際の状況に応じて、許認可の条件を備えていない石炭火力発電事業を撤回するとともに、許認可を暫時停止する。許認可済みの石炭火力発電事業については建設を先送りする。同時に石炭の新規生産能力を厳しく規制し、2016年から3年間は新規炭鉱建設事業の許認可を停止する。また、石炭と炭鉱ガスの採鉱権の一本化を推進し、シェールガスと炭層ガスのボトルネックを打開して、大規模な開発と利用を推進する。
エネルギーのクリーンで効率的な利用を推進することはグリーン・低炭素発展の必然の道筋になる。2016年は原炭の選炭率を高め、石炭の水洗加工を強化し、灰分、硫黄分を下げ、石炭の質を改善する。石炭の分散消費に対する管理を強化する。再生可能エネルギーについては、利用方式を刷新し、再生可能エネルギー100%実証県の建設を推進して、風力発電による暖房と水素製造の実証を前向きに展開し、風力発電、太陽光発電等の再生可能エネルギーの現地における受入と利用の新たなビジネスモデルを模索する。
エネルギーの消費、供給、技術を根本的に変革するにはそれに応じた体制と仕組みを「土壌」にしなければならない。市場化に向けた改革を深化させる一方で、行政権限の簡略化と移管を強化して、政府自身の改革を加速させなければならない。引き続き電力体制総合改革実験と専門改革実験に取り組むとともに、石油・天然ガスの体制改革も着実に推進する。探査開発への参入やパイプライン輸送の分離など重点プロセスの改革を推進し、石油・天然ガスパイプライン網の公平な開放を促進し、石油・天然ガス価格の仕組みや市場参入の仕組みを完備する。
(匯能資訊 12月30日)