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2015年の中国の火力発電事業投資が爆発的に増加 (16/01/11)
2016/1/15
中国【電力】

 中国電力企業聯合会が最近発表した《2015年第1〜第3四半期の全国電力需給動向分析予測報告》によると、2015年9月末時点で火力発電の発電量のマイナス成長が続き、設備利用時間数の前年同期に比べ大幅に下がったが、その一方で、各地の新規火力発電事業は増えている。2015年の火力発電の爆発的増加状況について仔細に検討する必要がある。

 火力発電の主要燃料である石炭の価格変動は火力発電の発展に直接的な影響を及ぼす。石炭経済は過去3年余りにわたって低下しており、石炭価格の下落は火力発電事業の投資回復の直接的な原因をなしている。中投顧問公司のエネルギー産業研究員である宋智晨氏によると、火力発電の発電量のマイナス成長が続き、設備利用時間数が前年同期に比べ大幅に低下している状況にありながら、多数の火力発電事業の許認可が行われている主な原因には、石炭価格の低下によって火力発電事業のコストが下がり、火力発電事業投資に対する積極性が高まったことがある。

 近年、火力発電所は大気環境汚染の重要な根源の一つと見なされており、高額の環境代償を伴う火力発電事業の発展を継続させることの当否については疑問が投げかけられるようになった。もっとも、省エネと環境保護技術の進歩に伴い、火力発電に起因する環境汚染のネガティブな影響も徐々に取り除かれつつある。当面の技術から見て、新標準の排出要件を満たすことも決して困難ではない。技術進歩はすでに火力発電のネガティブな影響を大幅に引き下げており、そのことも火力発電事業が増加した原因の一つになっている。

 しかしながら、新規火力発電事業の頻発に伴い、火力発電過剰論も増えている。最近、華北電力大学経済管理学院とグリーンピースが共同発表した《中国石炭火力発電生産能力の過剰及び投資バブルの研究》は、石炭火力発電を主とする火力発電事業の大躍進型拡大によって、第13次5ヵ年規画期には2億kW以上の設備過剰と7,000億元の投資コストの浪費が発生すると指摘している。7,000億元は2014年の中国のGDPの1%に相当する。もっとも、火力発電過剰論については再考を要する。宋智晨氏によると、西電東送計画が2015年に相次いで実施され、貴州、雲南、広西、四川、内蒙古、山西など西部の省や自治区から電力資源を東部地区へ送ることになれば、西部地区の電力供給の増加が喚起される。こうして見てくると、西部地区は電力生産を拡大し、火力発電事業を増やすことで東部地区の電力需要を満たすことになる。

  (中商情報網 1月11日)