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石炭の脱生産能力 5億トンの再編が最大の圧力に (16/02/17)
2016/2/25
中国【石炭】

 複数の産業が生産能力過剰に直面する中、国家レベルにおいて脱生産能力の動きが徐々に加速している。鉄鋼産業の生産能力解消意見書に続き、2月5日には国務院が《石炭産業の過剰生産能力解消と脱苦境並びに発展の実現に関する意見》を通達し、2016年から3〜5年かけて、5億トンの生産能力を退場させるとともに、再編によって5億トンの生産能力を削減することになった。同時に向こう3年間は新規炭鉱建設事業の許認可を原則として停止する。

 石炭の脱生産能力の目標と基準は鉄鋼に比べると明確である。黒龍江、遼寧、湖北、湖南、江西、福建、雲南、重慶は小炭鉱が多いため、脱生産能力の圧力は相対的に大きい。一方、それ以外の主要炭鉱区はこれまで多かれ少なかれ合併再編を経てきたため、これ以上の再編は大きな圧力になる。業界関係者は、債務の再編と評価損を重視し、特に石炭債券の新規発行の価値に留意すべきとしている。

 今回の意見書は脱生産能力の基準を明確にしており、全国の年産9万トン以下の炭鉱を全て退場させるとしている。年産9万トン以下の炭鉱は数の面で50%以上を占めており、その生産能力は2億トンを超える。また、全国の30万トン以下の炭鉱の生産能力は合計4.8億トンに上り、石炭の過剰生産能力解消は小炭鉱の閉鎖・退場が焦点になる。同時に脱生産能力を「キョンシー企業」(本来倒産させるべきにも関わらず延命されている企業)の処理とリンクさせ、生産を停止する坑井は約3億トンになる。

 招商証券の孫彬彬氏によると、脱生産能力の重点は増量の抑制であり、改革や再編と合わせて、向こう3年間は新規炭鉱建設事業の許認可を原則として停止する。新規炭鉱建設事業は一律に減量置換を適用し、5億トンの再編が最大の圧力になる。なぜなら、過去4年間の合併再編規模は1億トン足らずだからである。構造面では、地方国有企業の合併再編と民営企業の淘汰が主要な道筋になる公算である。同時に、石炭と電力の一体化が再編の重点になる。また、職員の配置転換が脱生産能力における最大の重点課題になる。第1に、中央政府に工業構造調整専門基金を設けて、地方が合併再編、債務の再編や破産・清算等の方式を総合的に運用するよう指導する。第2に、地方政府が退場した炭鉱の土地資源を活性化することを認める。金融支援は、企業が高利の借入金の代わりに債券を発行することを支援する。今後、石炭産業の債券が続々と発行されるかもしれない。

 債務処理については、企業が銀行の債務を踏み倒すことは厳しく摘発される。石炭企業にとって脱生産能力の圧力は極めて大きく、5億トンの解消目標が現在の需給構造に及ぼす影響については楽観を許さない。

(中国銀河証券 2月17日)