現代的石炭化学工業は石炭の過剰解消や石炭資源の高効率でクリーンな利用にとって重要な道筋と見なされたこともあるが、今やジレンマに直面している。油価の下落、シェールガスの発展ん、日増しに厳しさを増す環境保護政策、そして回復の目途が立たない市場需要などである。現代的石炭化学事業はエネルギーと水の消費や汚染の排出が大きいなどの問題が論議を呼んでいる。

　第13次5ヵ年規画の中で現代的石炭化学工業を位置づけていた多くの地方も慎重になり始めた。

　現代的石炭化学工業は今後も様々なチャレンジに直面する。中国化学工程集団の汪寿建総工程師は現代的石炭化学工業が直面する問題について次の5点にまとめた。
　
　(1) 石炭化学工業配置の制約

　第13次5ヵ年規画期の現代的石炭化学工業の配置について、国は厳しい要件を打ち出しており、石炭資源の開発区並びに優先開発区や、水資源が豊かで環境キャパシティの良好な地区を優先するとともに、環境保護計画にも適合しなければならないとしている。環境キャパシティを伴わない地区で現代的石炭化学工業を配置する場合は、先に経済構造の調整、石炭消費の等量又は減量代替等の措置を取るとともに、先進技術と汚染抑制技術を採用して、汚染物の排出を出来る限り減らすよう求められる。

　(2) 水資源利用のボトルネック

　中国の石炭資源と水資源の分布はアンバランスであり、主要石炭生産地と石炭化学事業基地は、水資源が乏しく環境の脆弱な地区に分布している。石炭化学工業は大量の水資源を消費すると同時に、大量の廃水を発生し、環境にとっては大きな脅威になる。

　(3) 環境汚染問題

　中国の現代的石炭化学工業は廃水基準を満たさなかったり、基準が低すぎたりしたため、水源や砂漠に環境汚染をもたらす事件も発生した。現行の高濃度塩水や有機廃水の処理回収技術では未だに適正な解決が出来ない。大量のCO2排出も不可避であり、CCS（二酸化炭素回収貯留）やCCS-EOR（CO2石油増進回収法）を模索して問題を改善することが求められる。

　(4) 製品の同質化

　石炭化学工業の中間製品の同質化は深刻であり、ポリエチレン、ポリプロピレンなど低付加価値製品が多い。差別化発展の道筋を歩まなければ、現代的石炭化学工業にも新たな生産能力過剰が生じることになる。

　(5) 油価下落が経済性に衝撃

　油価が高ければ、現代的石炭化学工業の競争力には疑う余地はないが、油価が1バレル60ドルや50ドル以下になると、石炭化学工業の優位は大きなチャレンジに直面する。業界や関係政府部門は支援政策について考慮しなければならない。

　業界関係者の大方の見方では、第13次5ヵ年規画期に石炭化学工業が直面する様々なチャレンジの中でも、最も大きい問題が油価である。現代的石炭化学工業が苦境を打開するには技術革新こそが重要な道筋になる。業界の専門家によると、実証段階においては石炭の質的区分に応じた高効率利用、総合利用や汚染抑制技術等など環境保護の面で実証の任務を果たすとともに、実証技術が所期の効果に達しない場合の対応措置を提示しなければならない。同時に加工技術、汚染防止技術や総合利用技術が未だ成熟していない、アルミニウム、ヒ素、フッ素、オイルや希少元素の含有度が高い炭種を原料や燃料として使用することを厳重に制限しなければならない。
　
　（国家石油化工網 2月22日）