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中国
【石油・天然ガス】

第13次5ヵ年規画は天然ガスを対象に特別支援政策も (16/02/29)
2016/3/7
中国【石油・天然ガス】

 権威部門に近い消息筋の指摘によると、石油・天然ガス分野のエネルギー第13次5ヵ年規画は、以前公布された《エネルギー発展戦略行動計画(2014〜2020年)》の枠組みをベースに策定され、全体的な基調には変化はないが、天然ガスに対しては新エネルギー車に類似する特別な支援政策を適用することで、改革効果を高めることになる。

 スモッグが深刻化する中で、天然ガスはクリーン・エネルギーとして期待を寄せられている。「全中国のガス化」は今やエネルギー改革の最も切実で最も現実的な道筋になる。

 中国の天然ガス市場は2004年から急成長を開始し、2004〜2014年の天然ガス消費量は年平均142億m3、17.84%のペースで増加したが、第12次5ヵ年規画期末には天然ガス消費の伸び率が下がっている。天然ガス第12次5ヵ年規画は2015年の天然ガス消費量を2,300億m3と予測していたが、実際の2015年の消費量は2,000億m3にも及ばなかった。

 《エネルギー発展戦略行動計画(2014〜2020年)》は「2020年には非化石エネルギーのシェアを15%とし、天然ガスのシェアを10%以上にする」としている。第13次5ヵ年規画期の発展目標は未だ策定されていないが、現在のペースではこの目標を実現することは難しい。

 中国の天然ガスの大規模発展は、伸び悩む工業用天然ガスや未だに市場化を実現していない天然ガス価格という困難に直面している。その本質を突き詰めると、天然ガス体制改革が未だ打開を遂げていないことや、計画経済の色彩が依然濃厚であることが挙げられる。第12次5ヵ年規画の目標達成に影響した重要な要因は天然ガス使用量の低迷であったが、それは決して本質的な問題ではなく、体制改革が実現していないことが根本的な原因である。天然ガスの急速な成長を可能にするには、天然ガス価格の仕組みやインフラへの参入も含めて市場が決定的な役割を発揮出来るようにするしかない。

 しかしながら、天然ガス消費量が低迷しているため、価格改革等の一連の措置は実現が難しい。2014年の中国の天然ガス消費量は1,761億m3、伸び率は8.9%に止まり、10年ぶりの2桁台に下がった。2014年の中国の天然ガス消費部門は、工業用燃料38.2%、都市ガス32.5%、ガス発電14.7%、天然ガス化学工業14.6%であった。すなわち、工業用と民生用が消費量の2本柱であり、合わせて70.7%を占めている。

 中でも民生用ガスは日増しに拡大している。住宅都市農村建設部の予測によると、2020年に中国のガス利用人口は4.7億人、都市ガス化率は60%に達する。しかしながら、民生用ガス価格は低く、価格の捩じれが深刻である。近年の3回にわたる価格改革によってガス価格の一本化が実現したものの、この改革は計画経済の色彩が濃厚であり、市場の自発的な形成ではない。そのことは民生用ガスに手を付けていないことに現れている。しかも、民生用価格は一貫して最も低い価格を維持している。

 天然ガス発電も以前は期待を寄せられていたが、専門家はいずれも短期的には楽観できないとの見通しを示している。中国は西気東輸パイプラインの完成後に大型天然ガス発電事業を立ち上げたが、今に至るも発展は緩慢である。

 国家発展改革委員会は2014年末の《天然ガス発電系統連系価格管理規範化関連問題に関する通達》において、天然ガスと電力価格の連動の仕組みと天然ガス発電の基準電力価格を設定し、天然ガス発電の最高電力価格について、現地の石炭火力発電基準電力価格より0.35元/kWh上回ってはならないと規定した。

 しかしながら、電力消費需要の鈍化という「新常態」の下で、この天然ガス発電の価格は明らかに現実的意義を失っている。2014年の全国の天然ガス発電設備容量は約5,600万kWであるが、電力総設備容量に占める比率はわずか4%であり、しかも、価格受入能力が高い東南沿海地区に分布している。

 天然ガス消費量の伸び悩みの根本原因は体制の硬直化にある。天然ガス体制改革は「ガス化中国」やエネルギークリーン化革命の核心であるが、これまでの改革の中で体制に手を付けたものはない。《エネルギー発展戦略行動計画(2014〜2020年)》の目標も政府が推進するものであって、市場の自発に委ねるものではなく、そのため、天然ガス体制の合理化には依然大きな距離がある。

 専門家の多くは、全体的な政策的枠組みの確立、監督管理機関の指定や監督管理システムの構築をトップレベルにおいて行うことで、市場化改革を保障し、推進しなければならないと指摘する。

 市場化改革の核心は市場が価格を体現する仕組みを確立することにあるが、中国の天然ガス価格は今なお国家発展改革委員会が制定している。エネルギー専門家の陳衛東氏によると、価格の自由化と産業チェーンの改革を並行して進めるべきであり、天然ガス消費量を引き上げることはその後のことである。

  (生意社 2月29日)