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【石炭】

石炭の脱生産能力は「退中有進」が必要 (16/03/10)
2016/3/10
中国【石炭】

 2016年において、さらには第13次5ヵ年規画期を通して脱生産能力が最も差し迫った任務になることは間違いない。全人代代表である大同煤鉱集団董事長(会長)である張有喜氏は、同社が12ヵ所の炭鉱の閉鎖と1,255万トンの生産能力解消、1.5万人の人員整理を進めて、12.4億元の赤字を減らすことを明らかにした。2016年中に炭鉱5ヵ所を閉鎖して660万トンの生産能力を解消し、1万人近くの余剰人員を整理する。

 大同煤鉱集団は20万人の従業員、70万人の家族を抱える国有企業であり、同社の脱生産能力の圧力は極めて大きいものになる。圧力とは主に人員整理と資金であり、特に人員の配置転換は極めて難しい任務になる。大同煤鉱集団は3つのグループ別に配置転換を進めることになる。すなわち、炭鉱閉鎖に先立って企業内部の配置転換を行うグループ、炭鉱の新規建設と生産能力の置換によって配置転換を進めるグループ、そして業態転換によって配置転換を行うグループである。

 脱生産能力の所要の資金について、張有喜氏は、石炭産業の脱生産能力の実施細則や付帯弁法を速やかに公布するよう主張し、具体的な方法については2000年の石炭企業の閉鎖・破産対策を参考にしつつも、配置転換の資金については同時進行で交付すべきと提言している。また、脱生産能力過程においては、関係政府部門は十把一絡げに進めてはならないと主張する。国有石炭企業は往々にして「石炭城下町」を形成しており、例えば、大同煤鉱集団の口泉溝には10ヵ所の炭鉱があるが、それぞれの炭鉱の職員は5,000〜7,000名、その家族は2万人に上り、1ヵ所の炭鉱は県城規模の人口の生存と安定に関わり、炭鉱1ヵ所を閉鎖すると、街を一つ閉鎖することに相当する。国有石炭企業の脱生産能力と小炭鉱の脱生産能力には本質的な違いがあり、国有企業の炭鉱従業員の生活問題を重視しなければならない。

 「石炭産業は脱生産能力の大きい対象であるが、『退中有進』を実現しなければならない」と張有喜氏は言う。大同煤鉱集団の安定経営の柱は石炭と電力の一体化経営である。

 石炭と電力の一体化について、張有喜氏は国が山元発電所の建設に対して支援を強化すべきと提言する。「山元発電所の建設によって物流コストを大幅に減らし、炭塵汚染を減らすことも出来る。塔山発電所を例に挙げると、同発電所は年間356万トンの石炭を消費するが、同じ発電所を広州に建設した場合、石炭の輸送コストだけでも8億元が必要になり、輸送過程においても炭塵汚染が発生する」と張有喜氏は言う。また、張有喜氏は石炭化学事業によって石炭生産能力の転化を加速すべきとし、低炭素・クリーン発展は脱生産能力の重要な道筋になると指摘した。

  (中国煤炭網 3月10日)