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国家能源局が各地方に石炭火力発電所建設の先送りを督促 事業に急ブレーキ (16/03/28)
2016/3/28
中国【電力】

 国家能源局は緊急文書を通達して、各地方政府と企業に対し、石炭火力発電所の建設ペースを下げるよう督促した。日増しに深刻化する石炭火力発電能力の過剰に対応するための措置であり、13ヵ省を対象に石炭火力発電事業の許認可を先送りし、15ヵ省を対象に建設中の石炭火力発電事業を先送りすることになる。 

 能源局の幹部は「今後さらに過剰生産能力の淘汰を強化しなければならない」と述べた。また、第13次5ヵ年計画の起草に参加している消息筋は「今後は水力発電などクリーン・エネルギー事業を優先することを考慮し、石炭火力発電所については実施しなくとも良いものは断固実施しないようにする」と明かした。 

 3月19日に開かれた2016年経済情勢・電力発展分析予測会からの情報によると、エネルギー第13次5ヵ年計画はすでに素案が完成し、3月か4月に国務院に提出され、今年上半期には公布される見込みである。 

 同会議に出席した国家能源局発展規画司の何勇健副司長は、エネルギー第13次5ヵ年計画は過剰生産能力の解消を最優先の政策指針とすると表明し、深刻な生産能力過剰が発生している在来型エネルギー産業については向こう3年間、新規事業を立ち上げてはならないとした。 

 能源局の発表によると、第13次5ヵ年計画期における石炭火力発電の成長の余地は1.9億kW以下に止まるが、建設中及び許認可済みの設備容量はすでに3億kWに達しており、電力需要をはるかに超えている。 

 生産能力がすでに過剰を来しているにも関わらず、石炭火力発電の建設熱は未だに冷めていない。今年1〜2月の新規発電能力は2,228万kWに上り、前年同期に比べ886万kW多かった。うち火力発電は1,395万kWで前年同期に比べ608万kW多い。火力発電事業は全体的に依然として過熱が続いている。 

 そのため、能源局はそれぞれの地区に応じて厳重な規制政策を採ることになる。電力に余剰がある省については、原則として新規石炭火力発電事業の部署を行わない。電力不足の省についても非化石エネルギー発電事業の開発を優先して、新規石炭火力発電事業を出来る限り減らす。 

 前出の能源局の関係幹部によると、エネルギー効率、環境保護、安全、品質等の要件に適合しない火力発電設備を逐次淘汰し、特に30万kW以下で運転開始から20年以上の純凝縮設備と25年以上のポンピング凝縮コージェネレーション設備は可及的速やかに淘汰する必要がある。 

 具体的には2012年以前に計画に盛り込まれていた未認可の石炭火力発電事業も含めて、許認可の条件を具備しない石炭火力発電事業をまず撤回し、その次に許認可(建設)条件を具備しないその他の石炭火力発電事業を撤回するよう奨励する。そして、13ヵ省を対象に、2017年までは自省で使用する石炭火力発電事業の許認可を一時先送りする。さらに、15ヵ省を対象に、建設中の石炭火力発電事業を先送りし、工期を適正に調整する。 

 エネルギー専門家である李朝林氏によると、能源局が今回通達した緊急文書は、第13次5ヵ年計画の脱生産能力と関係があり、過熱する石炭火力発電所建設に急ブレーキをかけることは間違いない。

  「エネルギー第13次5ヵ年計画の政策指針は既存量を最適化し、優れたものを増量し、過剰生産能力を解消することにある」と何勇健氏が述べたように、すでに深刻な生産能力過剰が発生している在来型エネルギー産業については、第13次5ヵ年計画期の前半3年間、原則として新規事業を立ち上げず、また、風力発電と太陽光発電の電力機会損失率が合理的な範囲を超えている地区についても同様に新規事業を部署しないことにする。 

  (中国能源網 3月28日)