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【電力】

中国の石炭火力発電産業全体の赤字化が2017年に前倒しで到来する可能性も (16/04/26)
2016/4/26
中国【電力】

 4月25日、華北電力大学石炭火力発電経済性研究グループがまとめた《中国石炭火力発電事業の経済性研究》が発表された。同レポートは、第13次5ヵ年計画期に石炭火力発電の外部環境に大きな変化が生じ、石炭火力発電企業の経済性にも極めて大きい影響が及ぶとの予想を示している。

 同レポートの主要執筆者である袁家海教授は4月25日の発表会において、「石炭火力発電産業の異常に高い収益は、外部環境の変化を顧みないことと相俟って、石炭火力発電事業を駆り立てる重要な動因になっているが、中国の現行の政策や将来の外部環境を分析した結果、石炭火力発電の経済性は第13次5ヵ年計画期に優位を失い、そのことは予想よりも早く2017年に到来する可能性もある」と表明した。

 袁家海教授の説明によると、今回発表された研究は、省別、シナリオ別に石炭火力発電の経済性について考察を進めたものであり、すでに実施に移されている石炭火力発電の売電価格調整案、石炭火力発電所の超低排出に向けた改修の要求、2017年に始動する炭素排出権取引市場、そして電力市場化改革の徹底や石炭価格反発の可能性をも考慮に入れ、山西、内蒙古、新疆、河北、江蘇、広東の6つの省に重点を置いて、石炭火力発電の経済性について分析と評価を進めた。これら6つの省はいずれも石炭火力発電事業の経済性が良好であるが、シナリオ分析から、これら6省の石炭火力発電の経済性に欠損が生じるという結果になれば、それ以外の省でも第13次5ヵ年計画期に欠損になる可能性が高い。

 分析結果によると、それぞれ典型的な省の石炭火力発電事業の収益率は電力需要の基本水準をはるかに上回っているが、収益能力は長期持続可能なものではなく、第13次5ヵ年計画期には石炭火力発電事業に大きな変化が発生し、石炭火力発電の経済性は極めて大きい影響を蒙ることになる。

 政策及び環境面の拘束がますます厳しくなり、炭素排出の圧力が拡大し、電力市場化の下で価格競争が激化する中、河北省と江蘇省以外の省では石炭火力発電事業が基本収益水準に達することが出来なくなり、稼動期間中に投下資本を回収することは不可能になる。さらに、設備の利用率や石炭価格という機微要因の変化も勘案すると、全ての省で石炭火力発電事業は稼動期間中に投下資本を回収することが不可能になり、事業投資の見通しは暗い。

 レポートの作者は次のように提言している。国の関係所管部門にとっては、経済の新常態に適応する電力開発計画を策定し、石炭企業の闇雲な投資を抑制し、石炭火力発電能力の規模を合理的に調節することが急務になある。市場化を堅持することは根本的な対策であり、「中間プロセスを管理し、両サイド(発電と電力小売)を開放する」という原則に従って電力の市場化を着実に推進すべきである。送配電価格改革の実行を基礎に、売電価格と小売電力価格の自由化を整然と進めることで、価格のシグナルが電源投資を導く上で基礎的な作用を発揮できるようにする。

 (新浪財経 4月26日)