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中国 天然ガスパイプライン網分離の先行き不透明が天然ガス価格改革に影響 (16/04/25)
2016/4/25
中国【石油・天然ガス】

 天然ガスパイプライン網分離の先行きは不明朗になっているが、天然ガス価格改革は引き続き推進される。

 消息筋は4月22日、パイプライン網を分離して独立した国家パイプライン公司を設ける計画は取り止めになったことを明らかにした。

 政府層に近い消息筋によると、中国石油天然ガス集団(CNPC)はここ1年、傘下のパイプライン業務の統合を進めてはいるが、パイプライン網を分離するかどうかについては、これまで討論レベルに止まっており、最終的に結論が出たことはない。「もっとも、天然ガス価格改革については近日中に新たな政策が打ち出されることは間違いない」とのことである。

 CNPCはパイプライン網統合と独立した分公司設立を企図

 パイプライン網の改革は天然ガス価格改革にとっても鍵になり、パイプライン網をCNPC及び中国石油化工集団(SINOPEC)から分離するかどうかが注目されている。

 先日、消息筋は、天然ガスパイプライン網の分離と国家パイプライン網公司の設立は取り止めになり、引き続きCNPC内部で経営が進められることを明らかにした。消息筋によると、天然ガスパイプライン網の分離の可否については討議が進められているものの、まだ政策レベルにまでは昇格していない。CNPCは傘下のパイプライン資産を独立した分公司に統合することを図っているが、これらのパイプライン網資産をCNPCから分離する予定は立っていない。
 昨年末、CNPCは中石油管道有限責任公司(中油管道)を受け皿に、関連するパイプライン公司の統合を進めると発表した。

 中油管道はCNPCが2015年11月に5,000万元出資して設けた全額出資子会社であり、パイプライン輸送や事業投資を業務とする。

 2015年12月、中油管道はCNPCが保有する中石油西北聯合管道有限責任公司、中石油東部管道有限公司及び中石油管道聯合公司の株式の100%の譲渡を受けた。CNPCによると、この統合は、将来パイプライン網建設規模を徐々に拡大し、受け皿を一本化して建設事業の資金調達や事業の継続投資及び経営管理の責務を負わせるためである。今回の統合を経て、CNPCは各パイプライン運営公司の間の株式関係を合理化し、統一的なパイプライン資産運営及び投融資プラットフォームを確立することが可能になり、延いては管理効率を向上させ、運営コストを引き下げ、今後のパイプライン建設の計画と実施を一本化することも可能になった。

 また、消息筋によると、CNPCはパイプライン網改革について、「石油ガスパイプライン網を分離するのではなく、その他の方法によっても解決は可能である」と建議し、その具体的な方法として、上流及び下流に対するパイプライン網の公平な開放を実現すること、下流のガス源獲得を確実にすること、パイプラインをインフラとして位置づけること、法規を完備しゲームのルールを制定して、パイプラインの開放を確保することを提唱している。

 天然ガス価格改革は依然推進

 国家発展改革委員会は《天然ガス価格市場化改革の深化に関する意見》について討議を進めた。これは、非民生用天然ガス価格と民生用天然ガス価格の一本化を趣旨とするものであり、第13次5ヵ年計画期に実現することが有望視されている。

 天然ガス価格改革の最終目標は全面的な市場化である。2017年には競争的価格については完全な自由化を実現することになり、天然ガス価格も完全に自由化して、政府が統制するのはパイプラインのみになる。

 天然ガス価格改革の方向性はすでに明確になっている。非民生用天然ガス価格と民生用天然ガス価格の一本化の他にも、化学肥料企業向けガス価格の自由化や、価格を梃子として利用するピーク時のガス供給圧力緩和措置も打ち出されている。

 但し、天然ガス価格改革の重要な一環であるパイプラインの独立運用をどのようにするかは、天然ガス価格決定モデルに重要な影響を及ぼす。

 長年にわたり、CNPCとシノペックが天然ガスパイプラインタリフを制定してきたが、価格が高すぎることや不透明であるなどの問題があり、疑義が呈されてきた。国家発展改革委員会の官僚はこれまで再三にわたり、天然ガス価格改革の主要目標は「両端を自由化し、中間を規制する」ことであると表明している。

 2016年3月の全人代・政治協商会議において努爾・白克力(Nur Bekri)国家能源局長が明らかにしたところでは、国務院は石油・天然ガス体制改革の深化に関する若干の意見の審議を終えており、国家発展改革委員会と能源局は要求に従って、改正、補充、完備を進め、すでに2回目の提出を行ったとのことである。

 こうして見てくると、天然ガス価格改革案の修正が遅々として進まない原因は、なお討議が進められているパイプライン網改革にある。

  (中国経済新聞網 4月25日)