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【電力】

中国火力発電の供給過剰は今後さらに深刻化 (16/05/20)
2016/5/20
中国【電力】

 格付け機関フィッチの最新レポートによると、2016〜17年に中国の火力発電の設備過剰がさらに深刻化する可能性がある。

 5月18日に国家能源局が発表した電力消費統計によると、4月期の電力消費量は4,569億kWh、前年同月比1.9%の微増に止まった。

 1〜4月の電力消費量は1兆8,093億kWh、2月の閏年の影響を除くと、1日当たりの電力消費量の伸び率は2.1%になった。産業別の電力消費量と伸び率は、第一次産業270億kWh、9.1%、第二次産業1兆2,595億kWh、0.2%、第三次産業2,516億kWh、10.0%、都市農村住民生活用2,711億kWh、9.5%。

 1〜4月の全国の発電設備平均利用時間数は1,180時間、前年同期より97時間減少した。うち水力発電は965時間で99時間増加し、火力発電は1,322時間で140時間の減少になった。

 火力発電の利用時間数は減少が続いているが、2015年の新規増加の火力発電設備は4,000万kWに達した。地方政府の経済刺激策の下で石炭火力発電が改めて増加しているが、これは新エネルギーの発展という大きな方向性とは相容れない。

 1〜4月の全国の新規電源(正式稼動)は3,551万kW、うち水力発電が204万kW、火力発電が2,192万kWであった。

 フィッチの見方によると、利用率の5年連続の低下や政府のクリーン・エネルギー奨励政策にも関わらず、中国の電力企業は2017年末まで引き続き火力発電設備容量を増やす公算である。そのことは、石炭コストの低下と有利な売電価格のため収益能力が上昇していることが背景にある。火力発電電源事業の固定資産投資の伸び率は2013年1%、2014年13%、2015年22%になった。中央政府は最近、過度の投資を抑制するよう図っているが、着工済みの事業は今後2年以内に竣工する公算である。

 火力発電所の利用時間数の低下や2015年末の売電価格の引き下げにも関わらず、火力発電の投資回収は短期的には安定を維持すると、フィッチは予測している。その主な理由として、火力発電所の発電量当たりの収益(すなわち売電価格と発電燃料コストの差額)が依然として好ましい水準を維持していることがあり、特に2015年末に石炭と電力価格の連動の仕組みが整備されたこともある。

 しかしながら、長期的に見ると、生産能力の過剰が深刻化しても政府が価格統制を行わなければ、競争によって収益が損なわれる可能性がある。中央政府が2016年か2017年に第13次5ヵ年計画を公布すると、国内の火力発電供給の勢力図がより明確になる。フィッチは、中国がさらなる措置を講じて火力発電への過度の投資を規制すると見ている。

 一方、中国電力企業聯合会の専門家は以前、石炭火力発電を主とする発電企業はこれまで石炭価格の低迷によって利益を受けていたのが、今年は一転して収益ゼロになり、将来は赤字になるとの見方を示していた。

 (中国能源網 5月20日)