国際原油価格が再び100ドルの大台に乗り、国内石油製品価格の引き上げを迫られているが、しかし、業界筋の多くの専門家は、1月期のCPI(消費者物価指数)の上昇率が過去最高を記録するなどインフレ圧力が深刻な状況では、国内石油製品の値上げは当面あり得ないとし、石油製品価格決定システムの改革も当分先延ばしが続くと見ている。 中国石油化学協会のデータによると、2007年の中国の原油対外依存度は47%に達した。経済成長とエネルギー需要の拡大に伴って、2010年には依存度が50%に上昇する公算が大きい。そのため、国際原油価格の動向は、国内市場との相関性がますます密接になり、場合によっては関連産業のバロメーターともなる。 長江商学院金融センターの曹輝寧主任は「油価の高騰は企業の経営コストを上昇させるが、それが顕在化するのは油価の大幅な高騰の半年後である」と指摘する。また、中国の輸出商品は、もとより米ドルの価値下落によるリスクに直面しており、エネルギーコストの上昇とともに、二重の圧力が企業の経営環境を厳しくしている。 さらに、油価の高止まりが世界の構造的インフレを昂進させる可能性がある。中銀香港の謝国リョウ上席研究員によると、この1年の世界の穀物価格の大幅な上昇は油価高騰と相関しており、特に国際油価が60ドルを超えて以来、トウモロコシ等の穀物が食用からバイオ原料へ転用される動きが進み、食糧逼迫を招いている。世界銀行のレポートによると、2007年にトウモロコシ価格は33%、食用油価格は50%上昇し、また、小麦価格は30%上昇した。謝国樑氏は、油価の高止まりが続けば、穀物価格の安定も難しくなり、中国、米国並びに全世界が直面する構造的インフレはさらに深刻化する。 こうしたインフレ圧力が拡大する下では、中国国内の石油製品価格引き上げの可能性は短期的には小さいとエネルギー専門家は見ている。特に今年に入ってから、南部地区が大雪災害に見舞われたため、発展改革委員会は石油製品、電力、石炭等のエネルギー価格の値上げに対して厳格な抑制措置を取っている。そのため、CPIの上昇が減速しない限り、石油製品価格の引き上げは当面あり得ない。 一方、エネルギー価格システムの改革も国際油価の高騰によって先延ばしになっている。昨年末に公表された「エネルギー法」草案は「市場調節が主導するエネルギー価格形成の仕組み」を明確に打ち出したが、しかし、この仕組みをいつから開始するのか、スケジュールは明らかにされていない。 「国際油価が100ドルに達したからには、中国のエネルギー価格の矛盾はますます顕著になる」と中国石油大学工商管理学院の董秀成副院長は言う。しかし、政府はインフレ抑制と経済の安定運営を優先しており、エネルギー価格システムの改革に着手することは当面あり得ない。また、燃油税改革についても、油価が比較的低い時に行うのが適切であり、油価があまりも高騰した状況で燃油税改革を進めれば、民衆への負担が過大になると、石油専門家の李イク氏は指摘する。だが、油価の大幅な下落を期待することは非現実的であるが、かといって、エネルギー価格システムの改革も最早ぐずぐずしてはいられない状況にある。 中金公司の首席エコノミストである哈継銘氏は、別の視点から、輸入型インフレ圧力に対応する上で人民元切り上げは重要な手段になると説く。哈継銘氏は、今年人民元は10%上昇すると予想している。 一方、一般消費者にとって、原油高に起因する交通費支出の増加と燃料費の上昇は最も実感できる圧力であり、生活費の支出増は避けられない。また、石油は燃料としてのみならず、様々な化学工業製品の原材料でもあるため、プラスチック、衛生用品、化粧品など、原油価格の上昇は必然的に石油を原料とする関連産業のコスト増をもたらし、最終的には製品価格の上昇という形で消費者に転嫁されることになる。 (中国経済網 2月21日) 謝国リョウ…木ヘンに梁 李イク…「日」の下に「立」
国際原油価格が再び100ドルの大台に乗り、国内石油製品価格の引き上げを迫られているが、しかし、業界筋の多くの専門家は、1月期のCPI(消費者物価指数)の上昇率が過去最高を記録するなどインフレ圧力が深刻な状況では、国内石油製品の値上げは当面あり得ないとし、石油製品価格決定システムの改革も当分先延ばしが続くと見ている。
中国石油化学協会のデータによると、2007年の中国の原油対外依存度は47%に達した。経済成長とエネルギー需要の拡大に伴って、2010年には依存度が50%に上昇する公算が大きい。そのため、国際原油価格の動向は、国内市場との相関性がますます密接になり、場合によっては関連産業のバロメーターともなる。
長江商学院金融センターの曹輝寧主任は「油価の高騰は企業の経営コストを上昇させるが、それが顕在化するのは油価の大幅な高騰の半年後である」と指摘する。また、中国の輸出商品は、もとより米ドルの価値下落によるリスクに直面しており、エネルギーコストの上昇とともに、二重の圧力が企業の経営環境を厳しくしている。
さらに、油価の高止まりが世界の構造的インフレを昂進させる可能性がある。中銀香港の謝国リョウ上席研究員によると、この1年の世界の穀物価格の大幅な上昇は油価高騰と相関しており、特に国際油価が60ドルを超えて以来、トウモロコシ等の穀物が食用からバイオ原料へ転用される動きが進み、食糧逼迫を招いている。世界銀行のレポートによると、2007年にトウモロコシ価格は33%、食用油価格は50%上昇し、また、小麦価格は30%上昇した。謝国樑氏は、油価の高止まりが続けば、穀物価格の安定も難しくなり、中国、米国並びに全世界が直面する構造的インフレはさらに深刻化する。
こうしたインフレ圧力が拡大する下では、中国国内の石油製品価格引き上げの可能性は短期的には小さいとエネルギー専門家は見ている。特に今年に入ってから、南部地区が大雪災害に見舞われたため、発展改革委員会は石油製品、電力、石炭等のエネルギー価格の値上げに対して厳格な抑制措置を取っている。そのため、CPIの上昇が減速しない限り、石油製品価格の引き上げは当面あり得ない。
一方、エネルギー価格システムの改革も国際油価の高騰によって先延ばしになっている。昨年末に公表された「エネルギー法」草案は「市場調節が主導するエネルギー価格形成の仕組み」を明確に打ち出したが、しかし、この仕組みをいつから開始するのか、スケジュールは明らかにされていない。
「国際油価が100ドルに達したからには、中国のエネルギー価格の矛盾はますます顕著になる」と中国石油大学工商管理学院の董秀成副院長は言う。しかし、政府はインフレ抑制と経済の安定運営を優先しており、エネルギー価格システムの改革に着手することは当面あり得ない。また、燃油税改革についても、油価が比較的低い時に行うのが適切であり、油価があまりも高騰した状況で燃油税改革を進めれば、民衆への負担が過大になると、石油専門家の李イク氏は指摘する。だが、油価の大幅な下落を期待することは非現実的であるが、かといって、エネルギー価格システムの改革も最早ぐずぐずしてはいられない状況にある。
中金公司の首席エコノミストである哈継銘氏は、別の視点から、輸入型インフレ圧力に対応する上で人民元切り上げは重要な手段になると説く。哈継銘氏は、今年人民元は10%上昇すると予想している。
一方、一般消費者にとって、原油高に起因する交通費支出の増加と燃料費の上昇は最も実感できる圧力であり、生活費の支出増は避けられない。また、石油は燃料としてのみならず、様々な化学工業製品の原材料でもあるため、プラスチック、衛生用品、化粧品など、原油価格の上昇は必然的に石油を原料とする関連産業のコスト増をもたらし、最終的には製品価格の上昇という形で消費者に転嫁されることになる。
(中国経済網 2月21日)
謝国リョウ…木ヘンに梁
李イク…「日」の下に「立」