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【石油・天然ガス】

ロシア、欧州向け価格を参考とする対中天然ガス輸出価格決定を検討 (08/02/22)
2008/2/22
中国【石油・天然ガス】

 中露天然ガス価格交渉に新たな動きが出てきた。ロシアの天然ガス会社ガスプロムは、欧州向け輸出価格と国内市場価格を参考にして対中天然ガス輸出価格を決定するという方向で検討している。ガスプロムの対外経済活動局のマヨレッツ副局長が19日、表明した。天然ガス価格交渉においても、鉄鉱石価格交渉の二の舞を演じる可能性が高まっている。

 マヨレッツ副局長によると、東西2本のパイプラインによる対中天然ガス輸出は、価格問題をめぐる中露間の交渉が長らく続いているが、未だに合意に至らず、今年春からは新規の交渉が開始される。ガスプロムは、対欧州輸出市場と国内市場の利益を維持するとしつつ、中国市場の特殊性も考慮するとしている。

 中国とロシアは2006年にロシアから中国への天然ガス輸出に関する覚書に調印し、アルタイ天然ガスパイプラインによって天然ガスを輸送することで基本的に合意したが、天然ガス価格交渉が妥結していないため、パイプラインの設計も施工も先延ばしになっている。

 ガスプロムの現在の欧州向け輸出価格は数年前に決定された230$/千m3、一方、中国側の打ち出した価格はわずか90$/千m3である。カザフスタンの対中天然ガス輸出価格は190$/千m3であるため、ロシアは中国に要求を呑ませることに自信を深めている。

 華東師範大学国際関係・地域発展研究院の余南平研究員は、数年前の価格を参考にしてロシアの対中天然ガス輸出価格を決定するのは根本的に不可能であると説く。なぜなら、国際油価の高騰とともに天然ガス価格も上昇しているからであり、国際油価が1バレル100ドルに達している状況では、価格交渉はますます中国にとって不利になる。ロシアが中露間の貿易関係や伝統的な友好関係に配慮して、欧州向け輸出価格と国内市場価格の折衷案という選択を行う可能性もあるが、しかし、中国のような天然ガス消費国は受動的な立場に立たされる。その上、ロシアの天然ガス埋蔵量はカザフスタンよりも豊かであり、価格を決定する上での立場も強い。そのため、ロシアが対中天然ガス輸出価格をカザフスタンの対中輸出価格よりも低く設定する可能性は低い。もっとも、中露間で何らかの妥協が図られる可能性はあり、たとえ輸出価格交渉が不利に終わったとしても、他の貿易によってバランスを取ることは出来る、と余南平は指摘する。

 但し、中国国内の天然ガス価格決定の仕組みが遅れているため、最終的にロシアにとって有利な形で交渉が妥結した場合、ロシアの天然ガスが国内に入ると逆さやが生じる。そうなれば、中国政府は天然ガス企業に対して補助金を交付するか又は天然ガス基準価格を引き上げることを迫られるだろう。

価格交渉が順調に進めば、西シベリアの天然ガスは2011年から中国に供給される。

 (上海証券報 2月22日)