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【石炭】

中煤と神華が「インターネット+石炭」モデルを模索 (16/06/29)
2016/6/29
中国【石炭】

 中央経済工作会議は2015年末に「三去一降一補」(脱生産能力・脱在庫・デレバレッジ・コスト引き下げ・不足部分の補完)の供給側構造改革5大任務を提唱したが、中でも最も重要なのが脱生産能力であり、特に石炭の生産能力をいかにして解消するかが重要な課題になる。

 国家統計局のデータによると、5月期の一定規模以上の企業の原炭生産量は2.64億トン、前年同月比15.5%減少し、1〜5月の生産量は13.4億トンで、前年同期比8.4%の減少になった。つまり、1〜5月に全国の一定規模以上の企業の原炭生産量は前年同期に比べ約1.23億トン減少したことになる。世界最大の石炭生産大国である中国の石炭の脱生産能力はすでに成果を上げている。しかしながら、中国中煤能源公司の彭毅総経理(社長)は取材に対し、2016年も生産能力の過剰が依然基本傾向として続くと指摘し、「石炭の脱生産能力は人員と債務をいかにして処理するかが2つの大きな難題だ」と表明した。

 生産量は若干下がったものの、石炭の脱生産能力に対する圧力は依然極めて大きい。一方、石炭価格は目下密やかに上昇中である。能源局の統計によると、環渤海一般炭価格は400元/トンにまで反発している。400元/トンの大台に乗るのは2015年9月以来である。

 石炭企業も価格を押し上げているところである。5月末、中国煤炭工業協会は「4大石炭企業」と北京で「4+1」会議を開き、6月の大手4社の海運石炭価格を5月に比べ10元/トン引き上げることを決定した。

 「石炭価格に上昇が生じたが、これは需要サイドの基本状況が好転したことを示すものでは決してない。このような現象は石炭の脱生産能力政策の刺激に起因するものであり、実需サイドの様相には変化はない。製造業の不景気は依然として中国の電力と石炭需要を制約している」と彭毅総経理は認識している。

 能源局の発表によると、今年1〜4月の全国工業用電力消費量は1兆2,369億kWhで、前年同期比の伸び率はわずか0.2%でしかない。

 彭毅氏も含む業界関係者の大多数の見方によると、これまでの脱生産能力の強化により、石炭価格は毎月10元/トン前後のペースで引き続き上昇し、こうした上昇傾向は少なくとも9月まで続き、さらに今年年末まで続く可能性も高い。しかし、コスト高によって生産を停止した企業の収益ラインにまで石炭価格が上昇すると、石炭企業の生産再開の流れが生じ、こうした流れは持続が難しいが、いったん生産能力の増加が始まると、石炭価格に下落が発生する。「つまり、石炭需要に実際の好転が発生する前に、こうしたサイクルが一貫して存在するということだ」。

 石炭産業の脱生産能力の圧力はかつてないものであり、石炭企業大手各社も新たな活路を模索している。彭毅氏によると、中煤集団は神華集団とともにオンライン取引プラットフォームの完備を進めている。

 「『インターネット+』のトレンドは社会全体で興隆しているが、すでに石炭分野にも広がっている。石炭企業はいかにしてインターネットによって石炭産業チェーンを最適化し、インターネットの電子商取引プラットフォームによって調達・販売コストを引き下げられるか、また、従来型の石炭企業の組織と生産方式やビジネスモデル、管理モデルを転換出来るかを模索している。現在、中煤集団は石炭のオンライン取引プラットフォームを徐々に完備している」と彭毅氏は述べた。

 しかしながら、彭毅氏等の大手石炭企業の経営陣は、オンライン取引プラットフォームをうまく進めようとしても容易には行かないとも見ている。「石炭産業にも伝統産業としての積弊が極めて多い。例えば、未だに標準化を実現していないことや、ビッグデータが確立されていないことが挙げられる。また、価格決定システムが整っておらず、需要家は新たな道筋によって取引を行っていないなどの問題もある。こうした要素はいずれも『インターネット+石炭』の推進を一定程度制約している」。

 (生意社 6月29日)