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鉄鋼と石炭の脱生産能力をめぐる3つの疑問 進展状況・困難・達成の可否 (16/07/08)
2016/7/8
中国【石炭】

 脱生産能力、特に鉄鋼と石炭産業の過剰生産能力解消は今年の供給側構造改革の重要な任務に当たる。今年も半分が過ぎて、鉄鋼と石炭の脱生産能力はどのような進展を遂げたのか、どのような困難に直面しているのか、今年確定した目標は達成できるのだろうか。各方面から寄せられている問題関心に対し、国家発展改革委員会の徐紹史副主任は7月7日、鉄鋼・石炭産業過剰生産能力解消と脱苦境並びに発展の実現に関する全国テレビ電話会議において、明確に回答した。

 進展状況 ―― 任務の分担と資金の手配は完了

 国務院は2件の関連文書を通達して以来、鉄鋼・石炭過剰生産能力解消並びに脱苦境・発展工作省庁間聯席会議を設け、作業メカニズムを明確にした。各地区、各関係政府部門及び機関の努力によって、脱生産能力工作はすでに積極的な進展を遂げている。

 国務院は確定した目標任務をすでに各地方と中央企業に分担させ、省庁間聯席会議の構成機関は地方政府、国務院国有資産監督管理委員会並びに中央企業との間でそれぞれ目標責任書を取り交わした。関係政府部門は奨励補助基金、財政・租税支援、金融支援、職員の配置転換、国土、環境保護、品質、安全の8件の専門付帯政策文書の研究と策定を進め、2016年度中央基礎奨励補助基金はすでに各地方に交付されている。

 また、関係政府部門は、老朽化生産能力の淘汰、違法建設事業の整理及び専門行政行動を組織的に展開し、減産措置の実施状況に対する督励検査を持続的に展開している。各省・自治区・直轄市も積極的に行動しており、地方の付帯政策の完備に取り組み、一部地区は一群の脱生産能力プロジェクトを始動して、実質的な一歩を踏み出した。

 困難の所在 ―― 下振れ圧力の拡大と決心の動揺

 関係政府部門の責任者が今回の会議で表明したところでは、鉄鋼と石炭の脱生産能力は3年以内に大筋で実現しなければならない。現在の進捗度から見て、2016年には粗鋼生産能力を4,500万トン前後圧縮し、石炭生産能力2.5億トン以上を退出させる。

 現実問題として、一部地区は当面の経済下降圧力が大きく、地方の財政収入と雇用動向に困難が伴うことが挙げられる。どのようにして順調に脱生産能力を推進するのか、同時に職員の配置転換を適正に進め、企業の債務をうまく処理するにはどうすればいいのかなど、いずれも大量かつ困難な作業が必要である。とりわけ、工作の進展と市場の変化に伴って、減産や生産停止を行った企業の一部が生産再開の意欲を示しており、一部地方では脱生産能力の決心が揺らぎ始めている。こうした問題については、明確な認識と戦略を維持することが必要である。

 「今年残された時間は半年足らず、予定通り通年の任務を達成することは、全体目標が順調に実現できるか否かに直接関わる。今後、工作部署をもっと緊密に進め、措置が実施に移されるよう確保しなければならない」と徐紹史副主任は述べた。

 達成の可否 ―― 軍令書に調印したからには不履行の責任を追及

 今回の会議は、調印された目標責任書が軍令書に等しく、年度末には総決算と監査を行うことを明確にしている。そのため、「省クラスの各人民政府は地元の過剰生産能力解消に対して総責任を負う」ことが求められ、達成できない場合はその責任を厳しく追及される。

 今回の会議は、各省・自治区・直轄市に対し、7月15日までに過剰生産能力解消の目標任務を全て市・県並びに企業に分担させることを義務付けた。2016年の圧縮規模を各設備、各坑井に到るまで具体的に明確化し、遺漏や死角があってはならない。また、生産能力を退出させる事業と目標量について具体的な進度表を7月末までに策定しなければならない。

 鉄鋼と石炭産業の過剰生産能力解消は職員の切実な利益に関わり、所要の資金も膨大なものになる。処理しなければならない企業債務の規模も極めて大きく、このことは過剰生産能力解消過程において社会の大局的安定を確保する上で鍵になる。こうした問題について、今回の会議は、各地方に対し、新たな経済の発展と新たな動力源の育成に傾注し、鉄鋼都市、石炭都市の「双創」工作(創新創業)を積極的に展開して、資金調達、職員の配置転換、債務処理を強力にサポートするよう求めている。

 今回の会議は次の点についても重ねて言及した。各地方はいかなる名義、いかなる方式であっても、生産能力を新たに増やす鉄鋼事業を登録してはならず、鉄鋼事業の登録に当たっては、生産能力の置換指標を適用しなければならない。また、3年間は新規炭鉱建設事業、生産能力を増やす技術改修事業及び生産能力追加査定事業を原則停止する。石炭の減産措置の実施に引き続き取り組み、改めて確定した生産能力に厳正に従って生産を行う。

 脱生産能力のプロセスは、産業の転換とグレードアップ、配置の最適化にとって好機である。関係政府部門の責任者によると、市場化された合併再編への政策支援を強化し、優越企業が上流と下流の合併再編を展開するよう奨励して、リーディングカンパニーの拡大強化を支持する。国有鉄鋼企業は脱生産能力を国有企業改革の深化及び体制と仕組みの転換と密接に結びつけて、現代的企業制度の確立を急ぎ、市場競争力を高めなければならない。

 (新華社 7月8日)