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【石炭】

中国石炭規制事業《石炭化学産業の石炭消費量規制及び政策執行報告》が発表 (16/07/11)
2016/7/11
中国【石炭】

 7月7日、Natural Resources Defense Council(NRDC)の助成を得て、中国石炭規制事業最新研究レポート《石炭化学産業の石炭消費量規制及び政策執行報告》が発表された。この研究事業は中国煤炭加工利用協会が担当した。

 中国煤炭加工利用協会の康淑雲副事務局長によると、石炭化学工業は中国石炭4大消費産業の一つであり、2013年の全国石炭消費総量の6.42%を占めた。

 レポートは次のように指摘している。

 ここ数年、技術的ブレークスルーや実証事業の建設運営に伴い、中国の石炭化学産業の規模は急速に拡大、中国は今や世界最大の現代石炭化学工業生産国になった。また、石炭総消費に占める現代石炭化学工業の比率も上昇し、2020年には化学工業用石炭消費は2015年比で約20%増えると予想される。

 2016年1〜5月に多くの産業で石炭消費量が低下傾向を示したのに対し、石炭化学工業は逆に6%の増加になった。それには、多くの地方政府と企業が石炭価格の下落に乗じて現代石炭化学工業への投資を進め、石炭産業の新たな成長材料を模索していることが背景にある。現代石炭化学工業の石炭消費量は、10年前は数千万tce(標準炭換算)足らずであったが、現在急速に増加している。但し、中国の現代石炭化学工業は実証段階に止まり、未だに真の意味で産業規模を形成していない。実証事業を適正に進め、闇雲な拡張を防止しなければならない。

 基準シナリオによると、2050年の石炭化学工業全体の石炭消費量は7.8億tce以上に達し、うち現代石炭化学工業の石炭消費量は3.7億tceに達する。しかし、厳重な石炭規制措置を施行することで、現代石炭化学工業の2050年の石炭消費量を約40%低い2.2億tce前後に抑えることは可能である。

 石炭消費の中長期シナリオ予測によると、現代石炭化学工業の石炭消費量は2020年1.2億tce、2050年2.2億tceに達し、石炭消費総量に占める比率は2020年には5〜6%、2050年には23〜24%に上昇する。これは基準シナリオ、石炭規制シナリオのいずれも同様である。そのため、化学工業の石炭消費量の増加は軽視できない。中国の石炭消費総量を規制するには、化学工業用石炭消費を規制することが重要な道筋の一つになる。

 しかし、石炭化学工業の経済性は見通しが暗い。省エネ・排出削減と環境保護政策の強化に伴い、石炭化学工業が直面する資源と環境上の拘束は日増しに増えている。将来課税が始まる環境税、炭素税や、石炭資源税、水資源税、そして価格上昇等によって、石炭化学事業の競争力に深刻な影響が及ぶことになる。さらに、大型現代石炭化学事業の採算実現に影響する要因には国際油価や技術、市場、原料、水資源、環境保護、人材、管理、課税等が挙げられ、そのいずれもが事業の経済収益性の低下をもたらす公算である。

 その典型例として大唐集団が挙げられる。大唐集団は石炭化学工業の「泥沼」に陥っている。7月1日、大唐国際発電股份有限公司は保有する大唐能源化工有限責任公司など4社の全株式及び電源予備事業資産を大唐集団の全額出資子会社である中新能化科技有限公司に1元で売却すると公告した。大唐能源化工有限責任公司は内蒙古大唐国際克什克騰煤製天然気有限責任公司の株式の51%、遼寧大唐国際阜新煤製天然気有限責任公司株の90%、大唐内蒙古多倫煤化工有限責任公司株の60%を保有しているが、これら3社は大唐発電の石炭化学工業部門の中核を成している。


 業界の専門家によると、大唐は中国で最も早い時期に石炭化学事業に着手し、技術も良好であるが、その事業は複雑である。大唐の石炭化学事業が今日の状況になったのは技術問題が原因ではない。事業の生産能力が大きくなって抑制が容易でなくなり、投資も抑制できなくなったため、財務負担が過大になったのである。加えて、大唐の専業化管理には「生まれながらの問題」があった。

 なお、同専門家によると、大唐集団だけでなく、神華集団や中煤集団も石炭化学工業部門があるが、これら2社の石炭化学工業部門は相対的に問題が小さい。なぜなら、事業建設の段階で技術が相対的に成熟しており、建設も比較的整然とし、そのため、大唐よりは良い状況にある。

 今年4月末、大唐多倫煤化工有限責任公司の蒸発池本体のパイプに事故が発生して、蒸発池の廃水が漏洩し、多倫県二道洼村の飲用水が汚染された。

 NRDC中国プロジェクト首席顧問の楊富強氏によると、こうした環境汚染は減らす必要があり、小さなことと片付けるわけには行かない。業界の別の研究者は、「整然と適度に」開発しなければならないと提言する。開発が多くなると、資源が破壊される。「一つの資源について入札」を行い、一つずつ開発を進めるべきである。

 (国家石油化工網 7月11日)