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【石油・天然ガス】

中国の7月の燃油輸出が激増 民営企業との市場競争激化で国有企業は輸出拡大を迫られる (16/08/23)
2016/8/23
中国【石油・天然ガス】

 中国税関総署が8月22日に発表した統計によると、中国の7月のガソリン、軽油及び灯油の輸出量が激増した。民営独立製油企業が国内市場において低価格競争を仕掛ける中、国営製油企業は過剰を来す石油製品を海外へ販売することになる。

 統計によると、中国の7月の軽油輸出は153万トンに達し、前年同月比181.8%もの大幅な増加になった。これは2015年の平均月間輸出量のほぼ3倍になる。ガソリン輸出も、6月の過去最高記録110万トンをやや下回るも、97万トンに達し、前年同月比では145%もの増加になった。また、灯油の輸出は前年同月比46%増加して109万トンに上昇した。

 中国の民営製油企業は大手製油企業よりも安い価格によって顧客の争奪を図っている。石油製品輸出の大幅な増加は中国の国営製油企業の手に負えない石油製品過剰局面を浮き彫りにしている。

 卓創資訊のアナリストである朱春凱氏は「民営製油企業はシノペックとペトロチャイナの大きな国内市場シェアを奪ってしまった。特に軽油については、国営製油企業は輸出の拡大を余儀なくされている」。

 朱春凱氏の分析によると、民営製油企業の軽油販売価格は4,150元/トン(約623ドル)〜4,200/トン(約631ドル)であるが、国営製油企業は4,400〜4,500元/トンである。

 中国政府は昨年から民営製油企業が独自に原油を輸入して精製することを許可し、こうした製油企業は生産量を引き上げた。ICISのデータによると、8月11日時点でこれら民営製油企業の稼働率は昨年に比べ3ポイント上昇して44.6%に達している。

 某民営製油企業の高級幹部によると、ここ数ヵ月、国内市場における販売状況は依然堅調であり、原油調達を全く減らしていない。

 アナリストは、中国経済の原則によって原油需要は圧力を受け、国内の燃油供給過剰局面はさらに悪化する恐れがあると警告する。加えて、供給過剰は予想よりも長期化することになる。

 朱春凱氏によると、中国の大手原油企業の多くは予め精製率を設定しており、市場の需要に応じて調整を加えることができず、そのため供給過剰が一層進むことになる。

 (FX168 8月23日)