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【石炭】

中国政府の石炭市場に対する関与は2020年まで続く公算 ゴールドマンサックス (16/10/24)
2016/10/24
中国【石炭】

 ここ数ヵ月、他のコモディティ価格の低迷が続く中で、中国国内の石炭価格は大幅に上昇している。このことは中国政府の石炭生産量の制限が優れた成果を上げていることを示すものである。

 ゴールドマンサックスによると、これは産業の収益能力を回復させる「利器」であり、そのため、中国政府の石炭市場に対する関与は今後4年間は継続される公算である。

 ゴールドマンサックスのアナリストChristian Lelong氏とCallum Bruce氏は次のように指摘する。

 中国政府の生産量に対する関与がなければ、中国の石炭産業は3兆元近くに上る債務を償還することは不可能だろう。なぜなら石炭産業のレバレッジは依然として極めて高く、石炭企業の多くは起債によって資金を調達し、市場需要の低減にも関わらず新規鉱山に投資することになるからである。

 旧来の補助金の交付や減損処理といった直接的な関与手法に比べると、生産量の規制は一種の間接救済になり、政府と金融業に対するマイナス影響を最小化することが出来る。

 このような間接救済のコストは主に末端消費者に転嫁されすることになる。

 中国の石炭産業の財務面で苦境の程度を考えると、産業の債務負担は2020年にはコントロール可能な水準になる。それゆえ、こうした隠れ課税は2020年か、場合によってはそれよりも長く持続することになる。

 石炭生産企業は石炭価格の長期低迷による苦境から脱却し、再び収益を上げ始めたが、収益幅は債務に比べると相対的に依然小さい。石炭産業の債務総額は3.7兆元に達し、2012年以降の累積欠損は1.3兆元に上ると見られる。

 もし放任するならば、石炭産業全体が債務償還不能の泥沼に陥り、延いては中国の金融システムに重大な損失をもたらすことになりかねない。しかしながら、石炭産業のキャッシュフローは増加し、最終的に償還できる可能性が高まっている。政府が石炭価格を収益分岐点付近でに安定させることさえ出来れば、石炭産業の債務負担は2020年末にはコントロール可能な水準に達する。2016年が石炭産業の債務負担のピークになるだろう。政府の石炭市場関与の下では石炭企業よりも債権者が受益者になる。しかしながら、政府の石炭産業に対する関与は国内の民衆に一定の影響をもたらす可能性が高い。政府の関与が続く間は、火力発電所など石炭を主とするエネルギーインフラの利益が縮小する。監督管理機関が火力発電所の売電価格を引き上げることになれば、エネルギー価格に敏感な商品価格が上昇し、中国の世帯の可処分所得が減少する可能性が極めて高い。 

  (中国煤炭資源網 10月24日)