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【原子力】

中広核が海上原子力発電所に着工 1000億元の市場が満を持してスタート (16/11/07)
2016/11/7
中国【原子力】

 中広核は東方電気と中広核ACPR50S実験炉の圧力容器購入契約を結んだ。中広核の海上小型炉ACPR50Sの建設が始まったことになる。これは真の意味で中国初の海上原子力発電所になる。

 中広核研究院の副総工程師であり小型原子炉総設計師である芮旻氏によると、海上浮体式原子力発電所は船体に建造して設備を架設するものであり、土木工事は行わない。ACPR50Sはコンパクト型小型原子炉と浮体プラットフォームの2つの部分から構成され、中広核はコンセプトとプランの設計を完了している。

 海上原子力発電所には主に3つのメリットがある。第1に渤海の海上石油開発用エネルギーは、現在のディーゼル発電のコストは約2元/kWhであるが、海上原子力発電にすると0.9元/kWhに下がる。第2に、海上原子力発電プラットフォームは電力の供給以外にも海水の淡水化等の機能を備え、熱力、水、電力の併給が出来る。第3に、移動が可能であるという特長により、海岸線から遠いリグや島嶼等に生活用、軍事用の電力を供給することができ、中国の海洋戦略配置にとっても重要な意義を有する。

 興業証券の試算によると、海上石油開発の需要だけでも、市場規模は1,000億元に上る。渤海油田では2020年までに20基の核動力プラットフォームを建設する計画であり、1基平均30億元として、総投資額は600億元近くになる。南シナ海もこの規模を下回ることはなく、合わせて1,000億元以上の規模になると予想される。

 原子力発電設備の供給企業を見ると、最も優位を占めているのは原子力発電設備供給資格と軍需工業の資格を有する企業であり、陸上原子力発電所の大手供給企業には東方電気、中国一重、台海核電等が挙げられる。

 しかし、海上原子力発電所は陸上原子力発電とは異なり、船体の製造と架設が必要であり、中国の海上原子力発電所の建造は主に中国船舶重工が中心になって行っている。1月25日に中広核と中国船舶重工は戦略協力協定に調印し、海上原子力プラットフォームの建設を共同で推進することになった。

 今年5月、中船重工の上場子会社である「風帆股份」は「中国動力」に改称した。「風帆股份」は中国船舶重工、中国重工など軍需企業5社の研究所を含む企業16社を注入した。将来、海洋原子力プラットフォームの重点開発を行うと期待される。

 (毎日経済新聞 11月7日)