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ハンガリーがロシアの「サウス・ストリーム」パイプライン計画に参加 (08/02/29)
2008/3/3
その他地域のエネルギー

 ロシアとハンガリーが、ハンガリー国内を通過する「サウス・ストリーム」天然ガスパイプライン敷設に関して政府間協定に調印した。ハンガリーの同パイプラインへの参加は2月25日にメドベージェフ第一副首相が同国を訪問した際に合意に達していた。ロシアは、同パイプラインが経由するブルガリア、セルビアとの間でもすでに敷設で合意している。

 「サウス・ストリーム」パイプラインプロジェクトは、ロシア天然ガス会社ガスプロムとイタリアのENIが実施する。2013年には稼働を開始する予定。これにより、ロシアの黒海海域からバルカン地域及び欧州への天然ガス輸送が実現する。投資額は100億ドルに上る見込み。

 ロシア側の計画によると、同パイプラインのルートは、黒海海底を横断してブルガリアに至り、そこから2つのルートに分岐して、1本はギリシアからイタリア南部へ、もう1本はセルビア、ハンガリーからオーストリア、ドイツ等に至る。

これまで、ロシアから欧州への天然ガス輸送は、ウクライナ、ベラルーシ、ポーランドなどCIS、東欧を経由するパイプラインに依存していたが、価格交渉の難航や政治的原因によりパイプラインが閉鎖されるケースもあった。そのため、ロシアはこうした「問題国」を迂回して、西欧に直接天然ガスを輸出するパイプライン、すなわち、バルト海を横断する「ノース・ストリーム」パイプラインと黒海を横断する「サウス・ストリーム」パイプラインの建設を決定した。

 「サウス・ストリーム」パイプラインが完成すると、ウクライナ経由の天然ガス輸送量は年間120億m3減少することになる。また、ウクライナ、ポーランド等に高額の通過料を支払う必要もなくなる。さらに、EUと米国の計画しているトルコ経由のナブコパイプライン建設計画も窮地に陥る。ロシアの「ノース・ストリーム」と「サウス・ストリーム」による攻勢がEUの対露共同陣営を各個撃破する形となったが、しかし、米国の反撃も予想され、ロシア・欧州・米国のエネルギーをめぐる駆け引きはまだ続くだろう。

  (中国油気管道網 2月28日・29日)