国家能源局が公布した電力発展第13次5ヵ年計画は、第13次5ヵ年計画期に石炭火力発電事業1.5億kW以上の撤回又は先送りを行い、2020年には全国の石炭火力発電設備規模を11億kW以内に抑えよう努めることを明確にしている。
また、老朽化火力発電能力を2,000万kW以上淘汰し、新規建設の石炭火力発電設備の平均石炭消費を300gce/kWh以下とし、現役設備については平均310gce/kWh以下になるよう改修する。
石炭火力発電設備規模は第12次5ヵ年計画期末の9億kWから、第13次5ヵ年計画期には11億kWになり、絶対量は2億kW増加する。これは発電構造の中で最も大きいものになる。
一方、全国の電力消費量の伸び率は2011年の12%から2015年には0.96%に下がり、低下幅は極めて大きい。第13次5ヵ年計画期の電力需要は6.8〜7.2兆kWhになる。
黄学農国家能源局電力司長によると、各地方が計画と建設を進めている石炭火力発電事業は依然多く、石炭火力発電の潜在リスクはなお突出している。そのため、電力発展第13次5ヵ年計画は「11億kWに抑制するよう努める」ことを提唱したが、これを実現するには政策措置を講じる必要がある。
石炭火力発電の潜在過剰リスクは徐々に顕在化している。現在、全国の電力需要の伸び率が下がり、火力発電設備の年間利用時間数は2013年の5,021時間から2015年には4,329時間に下がった。今年は4,000時間前後になり、第13次5ヵ年計画期にはさらに下がると予想される。
業界予測の2020年石炭火力発電設備の合理的規模は10.4〜11億kW
華北電力大学経済管理学院がまとめた《中国石炭火力発電の過剰及び投資バブル研究》が2015年11月に発表された。このレポートは、第13次5ヵ年計画期の石炭火力発電設備を対象に、高速・推奨・低速の3つのシナリオについてシミュレーションを行い、第13次5ヵ年計画期の合理的な設備規模を提示している。
3つのシナリオの下での石炭火力発電設備のシミュレーション
第13次5ヵ年計画期の電力需要の伸び率は3.5〜4.9%になり、国が明確にしている非化石エネルギー発展目標の実施をベースにすると、2020年の全国石炭火力発電設備の合理的な範囲は8.6〜9.6億kWになる。
推奨シナリオの4.2%の伸び率で試算すると、2020年の全社会電力消費量は6.92兆kWhになり、石炭火力発電所の年間運転時間を4,800時間とすると、石炭火力発電設備の合理的な規模は約9.1億kWになる。
もし電力への転換を積極的に進めた場合、電力需要は上限(伸び率4.9%)に達し、石炭火力発電の合理的な規模は5,000万kW増えて9.6億kWになる。一方、一次エネルギーに占める非化石電力の比率を13.4%から14%に高める場合、石炭火力発電を2,200万kW圧縮することが必要になる。《中国石炭火力発電の過剰及び投資バブル研究》の各シナリオの下での2020年における石炭火力発電の合理的な規模はいずれも10.4〜11億kWの業界予測値を下回っている。
石炭火力発電設備が増加する原因は石炭火力発電事業許認可権の地方移管
《中国石炭火力発電の過剰及び投資バブル研究》によると、石炭火力発電設備が増加する原因は様々であるが、中でも際立っているのが石炭火力発電事業許認可権の地方移管である。2013年には背圧式併給発電所の許認可権が省クラス政府に移管され、2014年11月から2015年3月には従来型石炭火力発電事業の許認可権が国家能源局、国家発展改革委員会及び環境保護部から省クラス政府機関に移管された。行政権限を簡略化し効率を高めるための政策であったのが、各省、とりわけ石炭に高度に依存する省にとってはGDPの成長を維持する方途になった。
「典型的な省を見ると、建設中の事業の一部が2020年に稼動する状況においては、新疆を除き、山西、河北、江蘇、浙江の4省の設備容量は石炭火力発電の理想的な設備容量を200〜300万kW上回ることになるが、過剰規模の制御はまだ可能である。しかし、全設備が稼動するという状況では、5つの省はいずれも理想規模を上回り、浙江の過剰規模は230万kWと比較的小さいものの、残りの4省の石炭火力発電設備は理想規模を大幅に上回ることになる。特に省外への送電が大きい山西省が最も深刻であり、過剰規模は2,100万kW以上になって、約735億元の投資を浪費することになる。新疆の過剰規模は1,550万kW、浪費は約542億元、電力移入の大きい江蘇の過剰規模も1,000万kW近くになり、浪費は約350億元に上る」と《中国石炭火力発電の過剰及び投資バブル研究》は指摘する。
こうした問題について、《中国石炭火力発電の過剰及び投資バブル研究》は次のように提言している。石炭火力発電設備の闇雲な拡張を規制しなければならない。第13次5ヵ年計画期は新規石炭火力発電所の許認可を停止すべきである。許認可済みの設備については着工を調整する。電力投資の分析と警告の仕組みを確立する。国の指導文書の誘導目標に従って、各政府部門の協力を強化し、文書の目標を、実際の石炭火力発電産業の秩序立った管理により良く浸透させる。
(中国煤炭網 11月9日)
国家能源局が公布した電力発展第13次5ヵ年計画は、第13次5ヵ年計画期に石炭火力発電事業1.5億kW以上の撤回又は先送りを行い、2020年には全国の石炭火力発電設備規模を11億kW以内に抑えよう努めることを明確にしている。
また、老朽化火力発電能力を2,000万kW以上淘汰し、新規建設の石炭火力発電設備の平均石炭消費を300gce/kWh以下とし、現役設備については平均310gce/kWh以下になるよう改修する。
石炭火力発電設備規模は第12次5ヵ年計画期末の9億kWから、第13次5ヵ年計画期には11億kWになり、絶対量は2億kW増加する。これは発電構造の中で最も大きいものになる。
一方、全国の電力消費量の伸び率は2011年の12%から2015年には0.96%に下がり、低下幅は極めて大きい。第13次5ヵ年計画期の電力需要は6.8〜7.2兆kWhになる。
黄学農国家能源局電力司長によると、各地方が計画と建設を進めている石炭火力発電事業は依然多く、石炭火力発電の潜在リスクはなお突出している。そのため、電力発展第13次5ヵ年計画は「11億kWに抑制するよう努める」ことを提唱したが、これを実現するには政策措置を講じる必要がある。
石炭火力発電の潜在過剰リスクは徐々に顕在化している。現在、全国の電力需要の伸び率が下がり、火力発電設備の年間利用時間数は2013年の5,021時間から2015年には4,329時間に下がった。今年は4,000時間前後になり、第13次5ヵ年計画期にはさらに下がると予想される。
業界予測の2020年石炭火力発電設備の合理的規模は10.4〜11億kW
華北電力大学経済管理学院がまとめた《中国石炭火力発電の過剰及び投資バブル研究》が2015年11月に発表された。このレポートは、第13次5ヵ年計画期の石炭火力発電設備を対象に、高速・推奨・低速の3つのシナリオについてシミュレーションを行い、第13次5ヵ年計画期の合理的な設備規模を提示している。
3つのシナリオの下での石炭火力発電設備のシミュレーション
第13次5ヵ年計画期の電力需要の伸び率は3.5〜4.9%になり、国が明確にしている非化石エネルギー発展目標の実施をベースにすると、2020年の全国石炭火力発電設備の合理的な範囲は8.6〜9.6億kWになる。
推奨シナリオの4.2%の伸び率で試算すると、2020年の全社会電力消費量は6.92兆kWhになり、石炭火力発電所の年間運転時間を4,800時間とすると、石炭火力発電設備の合理的な規模は約9.1億kWになる。
もし電力への転換を積極的に進めた場合、電力需要は上限(伸び率4.9%)に達し、石炭火力発電の合理的な規模は5,000万kW増えて9.6億kWになる。一方、一次エネルギーに占める非化石電力の比率を13.4%から14%に高める場合、石炭火力発電を2,200万kW圧縮することが必要になる。《中国石炭火力発電の過剰及び投資バブル研究》の各シナリオの下での2020年における石炭火力発電の合理的な規模はいずれも10.4〜11億kWの業界予測値を下回っている。
石炭火力発電設備が増加する原因は石炭火力発電事業許認可権の地方移管
《中国石炭火力発電の過剰及び投資バブル研究》によると、石炭火力発電設備が増加する原因は様々であるが、中でも際立っているのが石炭火力発電事業許認可権の地方移管である。2013年には背圧式併給発電所の許認可権が省クラス政府に移管され、2014年11月から2015年3月には従来型石炭火力発電事業の許認可権が国家能源局、国家発展改革委員会及び環境保護部から省クラス政府機関に移管された。行政権限を簡略化し効率を高めるための政策であったのが、各省、とりわけ石炭に高度に依存する省にとってはGDPの成長を維持する方途になった。
「典型的な省を見ると、建設中の事業の一部が2020年に稼動する状況においては、新疆を除き、山西、河北、江蘇、浙江の4省の設備容量は石炭火力発電の理想的な設備容量を200〜300万kW上回ることになるが、過剰規模の制御はまだ可能である。しかし、全設備が稼動するという状況では、5つの省はいずれも理想規模を上回り、浙江の過剰規模は230万kWと比較的小さいものの、残りの4省の石炭火力発電設備は理想規模を大幅に上回ることになる。特に省外への送電が大きい山西省が最も深刻であり、過剰規模は2,100万kW以上になって、約735億元の投資を浪費することになる。新疆の過剰規模は1,550万kW、浪費は約542億元、電力移入の大きい江蘇の過剰規模も1,000万kW近くになり、浪費は約350億元に上る」と《中国石炭火力発電の過剰及び投資バブル研究》は指摘する。
こうした問題について、《中国石炭火力発電の過剰及び投資バブル研究》は次のように提言している。石炭火力発電設備の闇雲な拡張を規制しなければならない。第13次5ヵ年計画期は新規石炭火力発電所の許認可を停止すべきである。許認可済みの設備については着工を調整する。電力投資の分析と警告の仕組みを確立する。国の指導文書の誘導目標に従って、各政府部門の協力を強化し、文書の目標を、実際の石炭火力発電産業の秩序立った管理により良く浸透させる。
(中国煤炭網 11月9日)