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中国 電力発展第13次5ヵ年計画が通達 石炭火力発電設備を11億kW以内に抑制 (16/12/23)
2016/12/23
中国【電力】

 国家発展改革委員会と国家能源局は12月22日、《電力発展第13次5ヵ年計画(2016〜2020年)》を正式に通達した。同計画は石炭火力発電の計画と建設を厳重に規制することを打ち出しており、第13次5ヵ年計画期には石炭火力発電建設事業1.5億kW以上を撤回又は先送りするとしている。そして、2020年には全国の石炭火力発電設備の規模を11億kW以内に抑制し、老朽化石炭火力発電設備約2,000万kWの淘汰を目指すとしている。

 計画によると、第13次5ヵ年計画期は経済の「新常態」入り、成長速度のシフトチェンジ、構造調整の加速、発展エンジンの転換、省エネ意識の強化に伴って、全社会電力消費量の伸びは著しく鈍化する。第12次5ヵ年計画期に着工された発電設備が徐々に運転を開始して、一部地区は電力供給過剰になり、設備利用時間数が低下し、電力系統全体の利用効率も低下、中国の電力供給は持続的な軟化という新たな段階に入る。

 計画の予測によると、2020年の全社会電力消費量は6.8〜7.2兆kWh、年平均伸び率は3.6〜4.8%になる。また、全国発電設備容量は20億kWになり、年平均伸び率は5.5%になる。

 非化石エネルギー消費の比重を2020年には15%にするとの要請に従い、同年の非化石エネルギー発電設備は7.7億kW前後に達し、2015年に比べると約2.5億kW増え、シェアは約39%になる。水力発電を積極的に発展させ、新エネルギーの発展に力を入れ、原子力発電の安全な発展を進め、沿海部の原子力発電所建設を推進する。また、天然ガス発電の秩序ある発展を進め、分散型天然ガス発電の建設を強力に推進する。特高圧(UHV)送電技術と従来型送電技術による「西電東送」ルートを建設し、新規増設規模を1.3億kWとして、2.7億kW前後に達するようにする。一方、老朽化火力発電の生産能力2,000万kW以上の淘汰を目指す。

 計画は次の18項目の重点任務を提示している。

 (1) 水力発電の積極的な発展、水力発電開発と対外送電の総合的な計画
 (2) 新エネルギーの開発強化及び開発計画の最適化並びに調整
 (3) エネルギー利用の多元化と各地の状況に応じた実験並びに実証
 (4) 原子力発電の安全な発展と沿海部における原子力発電所建設の推進
 (5) 天然ガス発電の秩序ある発展と分散型天然ガス発電建設の強力な推進
 (6) 石炭火力発電の転換並びにグレードアップの推進及びクリーンで秩序ある発展の促進
 (7) ピーク調整のキャパシティ・ビルディング強化と電力系統の敏活性向上
 (8) 対外送電ルートの計画と資源配置能力の増強
 (9) 電力網構造の最適化と電力系統の安全水準向上
 (10)配電網の改造並びにグレードアップとスマートグリッドの建設推進
 (11)電力への転換の推進とエネルギー消費構造の最適化
 (12)充電施設の建設加速と電気自動車の発展促進
 (13)集中熱供給の推進と小型石炭焚きボイラーの逐次交替
 (14)分散型発電の積極的発展とエネルギーの近場での効率的利用の奨励
 (15)電力精密救貧の展開と民生用電力の適正な保障
 (16)研究開発と独自イノベーションの強化
 (17)「一帯一路」イニシアチブの実行と電力をめぐる国際協力の強化
 (18)電力体制改革の深化と電力市場システムの完備

 また、計画は、都市配電網と農村電力網の建設並びに改造や電気自動車用充電施設の建設に対し引き続き資金支援を行うこと、民間資本が広域送電事業、配電網事業、分散型電源系統連系事業、蓄エネルギー装置並びに電気自動車用充電インフラへの投資と建設に参加するよう奨励するとしている。また、電力企業の炭素排出権取引への参加を奨励し、電力事業の老朽化生産能力退出に向け政策を完備する。電力事業の新業態に対する融資プラットフォームを構築し、ベンチャー投資を奨励し、産業基金が様々な方式によって電力事業のイノベーションに参画するよう奨励する。民間資本の投資を積極的に導き、専門債券の発行、株式取引、クラウドファンディング、PPP(公民連携)等の方式によって実証事業の建設を加速するよう奨励する。

 (人民網 12月23日)