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中国
【石炭】

中国2大炭田は世界的希少炭種を盛んに生産 中国原料炭分布状況 (17/05/16)
2017/5/16
中国【石炭】

 原料炭(ガス炭・脂肪炭・コークス炭・痩炭)は石炭の変成作用の産物であり、瀝青炭の変成過程によって4つの品位(等級)がある。うち脂肪炭、コークス炭、痩炭は世界的にも、中国にとっても希少炭種になる。

 全ての炭種の資源総量の中で上掲の4種類の原料炭が占める比率はわずか4分の1である。中国煤田地質総局が行った第3回炭田調査の推定結果によると、中国で発見された石炭資源総量は1.02兆トン、うち4種類の原料炭の資源量は総量の27.6%を占める。

 1. 華北石炭集中区

 華北石炭集中区は最も主要な原料炭の産地である。内蒙古の烏海と烏達、寧夏の石嘴山と石炭井から東、内蒙古と遼寧南部より南、陝西、河南、安徽、江蘇の4ヵ省から北の線によって囲まれる広大な地域を包摂し、山西、河北、山東の3つの省が含まれる。石炭形成の地質年代は石炭紀・ペルム紀である。当該地区の石炭紀・ペルム紀の石炭資源量は全国石炭資源総量の4分の1を占めるが、全国原料炭資源総量の中で当該地区の原料炭資源量が占める比率は4分の3に上る。

 三畳紀末期に発生した深成岩変成作用によって華北石炭集中区の石炭はガス炭(コークス炭とガス脂肪炭3分の1を含む)に変成した。

 2. 華南石炭集中区

 秦嶺?−伏牛山−大別山の線から南側で、陝西、河南、安徽、江蘇の4ヵ省の南部を含み、四川と雲南の大部分からは東の広大な地区である。

 華北と異なるのは、マグマ活動が比較的多かったため、華南地区の石炭の殆どがマグマの熱による変成作用を受けて、無煙炭になった点である。マグマ熱のよる変成作用が適度であったため、原料炭の産地になったのは次のエリアである。

 (1) 貴州省西部の六枝、盤県と水城及び雲南東部の来賓から恩洪一帯。中国南方最大の原料炭産地であり、全国原料炭総資源量の4%を占める。

 (2) 重慶市の南桐、天府、中梁山一帯。その他にも、湖南省の漣邵,江西省の豊城,浙江省の長広等の鉱区もマグマ作用が余り強くなかったため、原料炭の賦存が見られる。

 3. 東北石炭集中区

 遼寧省と河北省の北部及び内蒙古の東部と中部、吉林省と黒龍江省を含む。地質年代は主に白亜紀であり、マグマ作用が極めて弱く、大多数の炭田はマグマ熱による変成作用が発生しなかったため、今に至るも長炎炭と褐炭が保たれている。黒龍江省東部の鶏西、鶴崗、七台河等の炭田はマグマ熱による変成作用により石炭が原料炭に変成した。中国東北部最大の原料炭産地であり、全国原料炭総資源量の3.5%を占める。

 その他にも、マグマ熱による変成作用の結果、吉林省通化、遼寧省本溪及び紅陽には石炭紀・ペルム紀の原料炭が賦存し、吉林省遼源と遼寧省北票にはジュラ紀の原料炭が賦存する。また、撫順には古第三紀の原料炭が賦存する。

 4. 西北石炭集中区

 西北石炭集中区は石炭資源量が最も大きく、新疆、甘粛、青海北部、寧夏北部、内蒙古西部を含む。当該地区の石炭の多くは低灰分、低硫黄の優良炭であるが、品位が極めて低く、深成岩変成作用は石炭品位を長炎炭に引き上げるに止まった。

 少数の炭田の一部ブロックではマグマ熱による変成作用を受けて、ガス炭と少量の脂肪炭を形成した。このような地点は少なくないが、規模が小さく、原料炭の資源量は少ない。例えば、新疆のウルムチ、阜康、イリ、尤爾都斯、三塘湖、焉耆、烏恰、タリム盆地北周縁部や甘粛の靖遠、天祝などである。また、新疆の艾維爾溝と青海の江倉にはガス炭と脂肪炭のみならず、コークス炭と痩炭もある。

 霍西炭田は典型的な原料炭の炭田であり、中国で脂肪炭埋蔵量が最も大きい炭田である。石炭二畳紀の炭田であり、山西省中南部に位置する。石炭確認原始埋蔵量は309億トン、うちコークス炭は102億トン、脂肪炭は98億トン、痩炭は69億トン、ガス炭は20億トン、無煙炭は13億トン、貧炭は7億トンになる。霍西炭田は汾西鉱区と霍州鉱区に分けられる。

 河東炭田は中国で原料炭埋蔵量が最も大きい炭田である。石炭二畳紀炭田であり、黄河以東、呂梁山以西に位置する。確認原始埋蔵量は515億トン、うちガス炭は169億トン、コークス炭は123億トン、痩炭は95億トン、貧炭は61億トン、脂肪炭は41億トン、長炎炭は26億トンである。河東炭田は、河保偏、離柳、郷寧、石隰の4つの鉱区に区分され、中でも離柳鉱区は現在多くの研究が進められている。

 (鋼鉄資訊 5月16日)