過剰・老朽化生産能力の解消と淘汰は供給側構造改革の重要任務である。昨年、国は工業構造調整専門奨励補助基金を設け、過剰生産能力解消を進める企業の職員の配置転換と雇用に資金を充当した。一般の関心が高い奨励補助金の分配方法や脱生産能力に対する作用について、関係政府部門と専門家に取材した。

　財政部の関係責任者によると、工業構造調整専門奨励補助基金の規模は2年間で1,000億元になる。

　国務院が決定した資金管理方法に従い、鉄鋼・石炭産業過剰生産能力解消省庁間聯席会議が決定した生産能力解消目標と配置転換対象の職員数をもとに試算を進め、2016年に中央政府財政から各地方と中央企業に基礎奨励補助基金307.1億元を給付した。

　種々の政策インセンティブの下で、2016年の過剰生産能力解消対策は段階的な成果を上げ、全国で鉄鋼過剰生産能力6,500万トン以上、石炭過剰生産能力2.9億トン以上を削減するとともに、70万人の職員の配置転換を実行した。
　「基礎奨励補助金の他に、脱生産能力の成果が良ければ、累進奨励補助金も獲得できる。2016年の累進奨励補助金は111.59億元で中央政府財政からすでに給付されている」と前出の責任者は述べた。奨励補助金の給付は各省及び中央企業の過剰生産能力解消任務の達成状況と連動する。

　国務院は工業構造調整専門奨励補助金の配分に際して、地方が目標量を超えて達成した場合、累進奨励補助金を給付することにしていた。2016年の脱生産能力目標の超過率が5％以下の場合は超過分の比率に応じて奨励補助金を給付する。脱生産能力目標超過率5〜10％の場合は、超過分の比率に応じて1.25倍の奨励補助金を給付し、超過率が10％を超えた場合、1.5倍の奨励補助金を給付する。

　中央財政奨励補助金は主に職員の分散配置に充当される。

　5月10日の国務院常務会議で明らかになったところでは、今年全国で退出させた鉄鋼生産能力は3,170万トン、石炭は6,897万トンであり、鉄鋼は年度任務の63.4％、石炭は46％を達成したことになる。

　過剰生産能力の解消と淘汰を推進する上で鍵にはなるのは職員の適正な配置転換である。

　「党中央と国務院の政策決定に従い、2017年も引き続き中央政府財政から鉄鋼と石炭の過剰生産能力解消を支援し、専門奨励補助金を速やかに給付する。また、地方と中央企業に対する督促検査を適正に進め、国の現行の政策に適合する職員配置転換対策に資金が充当されるよう確保する」と財政部の関係責任者は表明する。地方と企業が資金と措置を実施に移して、配置転換した職員が活路を見出し、生活を保障できるようにする。

　発展改革委員会、工業情報化部、財政部など23官庁は先頃、《2017年の鉄鋼・石炭産業の過剰生産能力解消と困難脱却・発展の適正な実現に関する意見》を公布した。同意見は職員配置転換と社会の安定化対策を徹底的、周到に適切に行うことを強調し、奨励補助金が脱生産能力に対してより良く作用を発揮できるようにするとしている。

　また、同意見は、企業が様々なチャンネルによって職員の分散配置を進め、企業内部の分散転換のポテンシャルを掘り起こし、再雇用補助金政策を実施に移すことを支持すると明確にしている。同時に、失業者の再雇用に対する支援、職業訓練、就職サービス及び政策支援を強化し、社会保障との連携を適切に進める。生活困難者に対する援助を強化し、「4050」人員（訳注：女性40歳以上、男性50歳以上）に対する扶助を強化し、ゼロ雇用家庭問題を適正に解決する。特別困難地区と特別困難群衆の生活難を解決し、再就職の能力がない人員の基本的生活を確保する。

　会計監査の専門家である張連起氏は、中国経済成長の新たな原動力が台頭し、新旧原動力の転換が加速している中、新しい原動力は大量の雇用を創出し、配置転換職員の「受け皿」になることが出来ると表明した。

　（人民日報 5月22日）