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【石油・天然ガス】

中国の新たな石油・天然ガス改革が加速 石油ガス産業が混合所有制改革の牽引車に (17/05/23)
2017/5/23
中国【石油・天然ガス】

 中国国際経済交流センターの景春梅研究員は今回の石油・天然ガス改革方案の最大の焦点は体制改革であると指摘、石油・天然ガス産業にとって最も解決を要する問題は、独占を打破して市場の開放と公平な競争を促進することであるとした。具体的な道筋は、パイプライン網の独立によってその公平なアクセスを実現すると同時に、市場開放を通して下流の経営主体の多元化を促進することである。

 中国共産党中央と国務院が先頃通達した《石油・天然ガス体制改革の深化に関する若干の意見》は石油・天然ガス領域の全産業チェーンを対象にしており、しかも、上流の探査開発、中流のパイプライン運輸及び備蓄施設の建設、そして下流の市場の推進についていずれも指導意見を提示している。

 意見は、石油ガス探査開発体制を整備して秩序ある開放を進め、資源継続保障能力を完備すること、保護的開発を前提に、参入要件に適合し資格を取得した市場主体が在来型石油・天然ガス探査開発に参加することを許可すること、大手国有石油・天然ガス公司が主導し、多様な経済要素が共同で参加する探査開発体系を形成することを提唱している。また、石油ガスパイプライン網の運営の仕組みを改革し、大手国有石油ガス企業の基幹パイプラインの独立を段階的に推進し、パイプライン輸送と販売の分離を実現するとしている。

 「全体的に見て、中国び石油・天然ガス系企業の大多数は国有企業であり、本業と副業、ネットワークと輸送、貯蔵と輸送が分離していない。極端に言えば、政府と企業も分離していない。そのため、企業の発展過程において、低い効率や重い負担などの問題が付きまとっている。だからこそ、石油・天然ガス改革を通して、国有石油ガス企業から副業と福利機能の分離を促進し、企業の本来の属性に立ち返り、本業に集中する専業の石油ガス企業にするのである。これは国有企業の拡大、最適化、強化につながり、国際市場における中国石油・天然ガス産業の競争力を増強することにもなる」と景春梅氏は言う。

 業界関係者によると、体制改革の方向性が明確になったことで、混合所有制改革にも条件と基礎がもたらされる。

 こうした点について、意見は、国有石油・天然ガス企業の法人管理構造を完備し、条件を備える石油・天然ガス企業が株式の多元化と多様な形式の混合所有制改革を発展させるよう奨励するとともに、国有石油ガス企業の専業化に向けた再編と統廃合を推進するとしている。

 景春梅氏の見方によると、石油・天然ガス分野に民間資本を引き入れることによって、国有企業の管理体制の最適化を実現する一方、管理効率を高め、国有企業を活性化することが可能になる。

 実際、今回の国有企業改革と石油・天然ガス体制改革の二重の背景の下で、中国石油天然ガス(CNPC)、中国石油化工(SINOPEC)、中国海洋石油(CNOOC)など国有石油・天然ガス企業は混合所有制改革改革に向けて歩みを進めている。

 例えば、CNPCは昨年12月、《集団公司混合所有制改革指導意見》を発表した。これより先には油田の混合所有制改革の試みも進めていた。CNOOCは引き続き中海油能源発展股份有限公司の上場を推進する。SINOPECは販売公司の分割と海外上場等を進めている。

 景春梅氏の予想によると、新たな石油・天然ガス改革を背景に、綱領的政策文書がすでに実施に移されているが、改革の徹底を確保するため、今後も一連の実施細則や付帯文書が公布される公算である。また、そうした文書は対象を絞り込み、実際の操作性を備えるものになる。
 
 (人民網 5月23日)